飛行機墜落事故から、早3年。この3年の間に、オレはエイリア学園と闘ったり、FFI(フットボールフロンティアインターナショナル)で、優勝したり、たくさんいろんなことがあった、雷門中学校を卒業したり、有名進学校の、稲妻高校に入学したり、そこでサッカー部に入って、2年生になった今年、キャプテンになったり色々な事があり、正直言うと、飛行機墜落事故のことはほぼ、忘れてしまっていた。その忌まわしい事故を思い出す機会が、高2になった今日、急に訪れた。
オレの父さん・・・といっても、実父母を亡くしたオレを引き取った、養父だが・・・その妹である、オレにとって、一応伯母にあたる女性も、養子を引き取ったそうだ。だから、父さんに
「今から会いに行くぞ」
と言われたため、会うことになった。
伯母さんの家に行くと、伯母さんの後ろから小さな女の子が顔をのぞかせた。そして、
「自己紹介・・・しなさい」
と、伯母さんに言われてから、ちゃんと顔を見せ、自己紹介をした。
「わ、私は・・・山吹楓(やまぶきかえで)・・・です。6歳です・・・お、お兄さん・・・これからも、よろしくお願いします・・・」
小さな、でもはっきりとしたかわいらしい声で、しっかりと自己紹介をした。「山吹楓」・・・その名前に聞き覚えはなかったが、その顔には、見覚えがあった。
灯さんの、娘・・・光山楓さんだ。
よく考えれば、下の名前の「楓」も、一緒だ。
それに、灯さんには、3年前の飛行機墜落事故で亡くなっている。
だから、この山吹家に養子として、引き取られることになった。・・・そう考えると、すべてのつじつまが合う。
「楓ちゃん・・・というのか。オレは、鬼道有人。これからも、こちらも宜しくな。楓ちゃん。・・・春奈に似ているな・・・」
オレは、楓ちゃんが、今は離れて暮らしているが、今年から稲妻高校1年生に入った、実の妹・音無春奈
おとなしはるな
に、似ていると思った。だから、声に出していってしまった。それを聞いていた楓ちゃんは、案の定疑問に思ったのか、質問してきた。
「春奈・・・?だぁれ?女の子ぉ?・・・ですか?」
そんなしゃべり方も、春奈に似ていると思い、また、微笑んだ。
「春奈か・・・春奈というのはだな・・・オレの妹だ。昔は一緒に住んでいたが、今は離れて住んでいる。・・・別に、仲が悪いわけじゃないがな」
そう説明すると、楓ちゃんは、笑顔で
「へぇ~っ。いつか会いたいな・・・会いたいです。あと、私の事は、楓でいいです。有人お兄さん」
と言ってくれた。なぜか、嬉しかった。
そのあと、オレは、ふと不思議に思った。
楓は、オレのこのゴーグルを見て、不思議がらないのか?
オレは、中学3年間で、この事を質問しない人はほとんどいなかった。しなかったのは、円堂と、豪炎寺くらいだ。それは、高校になってもおんなじことだ。毎度のように聞かれる。その為、今日行くときも、ゴーグルを外した方がいいと、父さんに言われたほどだ。まぁ、自分のトレードマークをはずすつもりは全くなかったのだから、外さずにきたが。だから、楓に質問した。
「楓は、このゴーグル、不思議に思わないのか?」
すると、楓は少し困ったような顔をした。
「あ・・・すまない、忘れてくれ」
「ううん、大丈夫です!でも、自分の事を質問するなんて不思議に思っただけ・・・です。だって、自分のトレードマークを、否定されるのは、嫌じゃないんですか?それに、私は、全然不思議に思いませんでした。だって、有人お兄さんにとっても似合っていますから!」
楓は、人の事を褒めるのが、上手だと今気がついた。
「・・・こう言ってくれたのは、円堂と豪炎寺に次いで3人目くらいだな」
オレは嬉しくなり、楓に話した。
「豪炎寺?円堂?・・・それって、誰ですか?お兄さんの大好きなサッカーの、お仲間ですか?・・・サッカーって言えば、ママ、好きだったなぁ・・・」
楓の話した内容に、「ママ」という言葉が出てきたため、オレは、また、聞き返してしまった。楓が、困ってしまうと分かっていながら、聞き返してしまった。
しばらく、楓は黙りこくってしまい、俯いた。