これは、今から10年前、ホーリーロード地区予選、1回戦目の時。
その時は、まだ、楓も聖帝を本当に裏切ることが、出来ずにいた。その為、体調不良・・・という嘘をついて、試合には出なかった。そして、翔と一緒に、観客席の影から、試合を観戦していた。
「試合は、忘れちまったけど、雷門が負け・・・じゃなかったっけ?」
「えぇ。雷門中学校サッカー部の負けよ。どうせ、剣城が、試合に出るわけもないし、唯一化身を出したことのある、神童先輩でさえ、まだ完ぺきに使いこなせる状況ではないわ。だから、シードも、イレブンの中に入っている相手の方が、断然有利ね」
「あぁ。それに、使いこなせたとしても、威力がどれくらいか、わかんねぇし。シードの化身、なめんなよって感じだぜ」
「そう言ってるあなたは、サッカー部に入部しなかったじゃない。やっぱり、化身が出せないから?・・・かしら」
「うるせぇよ。・・・楓、裏切るつもりじゃねぇだろうな、聖帝のことを・・・」
「そんな事、あるはずないじゃないの。・・・まぁ、剣城が裏切ったら、裏切ろうかしら」
「なんだって?!」
「ふふっ。私ね、結構、剣城のこと、気に入ったわよ?まぁ、少なくとも、あなたよりは強いみたいだしね」
「テメーっ、俺をなめてんじゃねぇぞ!」
「なめてなんかないわ。本当のことを、述べたまで」
「の、のべた・・・?意味わかんねぇ」
「やっぱり、あなた、バカなのね。・・・って、いつの間に、雷門が・・・先取点を・・・?!」
そう、2人が話している間に、雷門は、先取点をとっていたのだった。
「?!・・・やっぱり、裏切りやがったか・・・」
「いや、あの、隼総の様子からすると、剣城は裏切っていない・・・つまり、天馬たちに、誰かが乗ったのよっ!目を離すんじゃなかった!」
「楓!もうすぐ前半が終わる!終わったら、雷門の控室に行けっ!そして、後半から・・・」
「出る・・・なんてことはしないわ」
「なんでだよっ!意味わかんねぇ」
「あのね、私たちがなんで、こんなに隠れてまで雷門にシードとして入れられたか、分かってるのかしら?翔。・・・いや、お兄ちゃん!」
「!・・・もう、俺たちは、他人だ。10年前の飛行機事故のせいで、俺たち兄弟は、行き別れる羽目になった!そして、再びシードとして再会した。でもな、その時から、俺はもう、お前の1歳上の兄・光山翔じゃなく、お前の、同級生・河原翔なんだ!もう、二度と『お兄ちゃん』なんて、呼ぶなっ!」
「そうね、分かったわ。でも、やっぱり、途中からは出ないわ。・・・私たちは、天馬たちに賛成する仲間・・・そういう立場になってほしいと、聖帝・イシドシュウジではなく、豪炎寺修也という人間から頼まれたのよ。しかし、他のシードにそのことを悟られてはいけないの。まぁ、そうにきまっているけれどね。だから、もし、今出て行って、天馬たちに味方する・・・なんてことは絶対にしてはいけない。だから、私は出ない」
「・・・あぁ。分かった。じゃあ、俺、もう帰る。またな、楓」
「・・えぇ。さようなら」
そうして、翔は、帰って行った。
それから、楓は自分の任務を果たさないと・・・という気持ちに、何度も押しつぶされそうになった。しかし、そのたびに相談に乗ってくれた、天馬、キャプテン、お兄さん・・・
本当の私として、大好きなサッカーを、プレイさせて下さった、イシドシュウジさん・・・いや、豪炎寺さん・・・
感謝しています。
そして、その後、楓も試合が、雷門勝利!ということを見届けてから、笑顔で帰って行った。
次は、ちゃんとプレイがしたい・・・と、願いながら・・・
そして、今・・・
再び、雷門中学校VS天河原中学校の試合が開かれている。
しかし、真・フィフスは、またも、勝敗を決めてしまった。しかし、両チームの監督が話し合った結果、本気でやり、再び「革命」を起こそうと、決意していた。
その光景を、楓は今度は、ちゃんと目の前で見ることができた。