運命   作:御沢

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マネージャーたちの悩み

あの、大興奮のショーから、丸1日・・・

朝8時10分ごろ、雷門中サッカー部2年が、皆集まっている2年3組の教室では・・・

 

 

サッカー部2年生は、朝から様子が変だった。頭が痛いなどの、体調不良ではない。学校に来てから・・・いや、学校に来る前から、ずっとニヤニヤして、上の空なのだ。普通のクラスメイトは、気持ち悪いと言って、近寄ろうとしなかった。

それは、サッカー部1のしっかりものであり、10年前の神童拓人以来10年ぶりとなる、2年生にして雷門中サッカー部キャプテンとなった、戸田唯斗(とだゆいと)も例外ではなかった。幼稚園からの幼馴染、露住潤一郎(ろすみじゅんいちろう)と、2人してずっと天井を見ていた。

 

 

その光景を見て、心配している人物がいた。

唯斗と潤一郎と幼馴染の、白川空(しらかわそら)だ。空は、サッカー部のマネージャーでもあった。そのため、昨日のショーのことも当然知っている。しかし、空自身があまりサッカーのことについてくわしくないため、さほど興奮もしなかったのだった。だから、なぜ男子部員たちが、あんなことになってしまったのかが、理解できていなかった。

「唯斗も、潤ちゃん(潤一郎のこと)も、大丈夫・・・なのかなぁ・・・?」

 

 

しばらくして、空と同じく、サッカー部マネージャーであって、空の親友の、岩田菜那(いわだなな)がやってきた。菜那は、とにかく乙女!な空とちがって、クールであねごはだの頼れる女の子だった。しかし、空にだけは、少しおっちょこちょいな部分も見せているが。

「おはよ、菜那」

「はよ、空。なぁ、この魂が抜けてるようなものは、何だ?」

「菜那、そんなこと・・・でも、男子達ね、なんか昨日のことが影響してるんじゃないかな?」

「あぁ・・・あの監督やコーチの試合か・・・」

「うん。今日の放課後の部活、どうなっちゃうんだろ・・・」

その、空の発した『放課後の部活』という言葉に、サッカー部員は、一斉に反応し、空と菜那の2人のところに、来た。そして、

「「「「『放課後の部活』!!!」」」」

とだけ、言い残して、また放心状態になった。その後、菜那が言った。

 

 

「そういや、今日の朝練、誰か行ったのかよ?」

 

 

時はさかのぼること、約2時間前・・・

 

 

朝6時ごろ・・・

サッカーグラウンドには、監督、コーチ陣が集まっていた。監督、コーチ陣以外にも、秋や葵、茜に水鳥、夏未、春奈、冬花もいる。皆、朝から珍しく暇だったのだ。しかし、グラウンドには、誰1人こない。その理由を察することができたのは、昨日の出来事を知っている、監督、コーチ陣の中でも、頭のよくきれる、楓、剣城、神童、鬼道、豪炎寺だけだった。

 

 

しかし、そんなことを知る由もない円堂、天馬、信助は、頭を抱えていた。(錦は、龍菜を可愛がりまくっていた。簡単に言うと、親バカ)

 

 

「皆、なんでこねぇんだ?サッカーが、嫌いになったのかよ?」

「ホントですよ!円堂さんの言うとおりです!ね、信助?」

「うんうん、天馬や円堂さんの言うとおりだよ!だよね、皆さん?」

「ねぇ、あの、皆さん・・・?本当に、理由がわかんないんですか?」

「・・・あぁ」

「「・・・うん」」

「「「「「はぁ~・・・」」」」」

「なんだよ、鬼道、豪炎寺?」

「楓と、剣城も」

「あと、神童キャプテンも」

「円堂、本当に分からないのか?」

「おまえが原因だが」

「あと、天馬もだ」

「信助も、あるな」

「えぇ」

「「「はぁ~!?」」」

 

 

結局その日1日、この3人は、悩み続けたのであった。

 

 

そして、さかのぼり、今に至る。

 

 

「あの・・・空さん、菜那さん・・・ちょっと・・・」

空と菜那は、ふとドアのところから、自分たちの名前が聞こえたため、振り返った。そこには、サッカー部マネージャーの1年、山内海帆(やまうちみほ)が、ドアの隙間から覗いていた。

 

 

「海帆ちゃん!どうしたの?!」

「空さん、あの、部員たちが、おかしいんですっ」

「ってことは、1年もってことだな」

「菜那さん・・・1年もってことは・・・2年生も・・・?」

「あぁ」

「・・・やっぱり、昨日のことが関わってるんでしょうか?」

「多分・・・」

「どうすれば戻るのかなぁ・・・唯斗、しっかりしてるのにぃ・・・」

「そういや、悠基(ゆうき)もおかしいな」

「悠基・・・?」

「あ、あぁ、青木のことだよ」

「ふぅ~ん、菜那、青木くんの事、悠基って呼ぶんだぁ~」

「べ、別に、小学校2年の時、悠基が転校してきてから、ずっと卒業まで同じクラスだっただけだよ。変な意味じゃないし、なっ。それに、悠基の事、皆の前では『青木』って呼ぶようにしてんだよ。そうしてた方がいいって、水鳥さんが・・・」

「ん?最後の方聞こえなかったよ?まぁ、いいやっ。それより私、何も言ってないよぉ~?」

「そ、そうだな・・・ごめん・・・そ、それより、戻す方法だろ」

「あ、うん。海帆ちゃん、何か考えある?」

「ん~・・・これから、指導してもらうのに、大丈夫でしょうか・・・戻す方法は、ないような気がしますが・・・」

「まあな。時間がたてば、戻る気もするけど・・・」

「そうかなぁ・・・まぁ、直っちゃうのが、男の子なんだよね」

「はい」

「あぁ」

そして、マネージャーの意見はまとまった。

「放っておく」

 

 

その後は、恋バナになった。

「そういえば、海帆ちゃん、外村とは、どうなの?」

「哲平くん・・・ですか?優しくしてくれてて、やっぱり、好きです」

「そっかぁ~っ。確かに外村、優しいもんね。ウチの学年にも、人気あるよ」

今話しているのは、外村哲平(とむらてっぺい)という2年生のサッカー部員のことだ。容姿もそこそこ良く、何より性格がいい。

外村と海帆は、海帆の入学式の時に、お世話をしてもらったため、かなり面識があり、サッカー部としても、仲がいいのだ。サッカー部では、

「2人は、絶対相思相愛だよね!」

という噂が、飛び交っている。この2人は、1歳の年の差を感じさせないのである。簡単に言うと、お似合いの2人・・・なのだ。

マネージャーの人だけは、うわさ通り2人が付き合っていることを知っているため、こうやって相談に乗っている。なにせ、外村は学校中でも、ファンが多い。だから、ねたまれないようにという理由で、隠れて交際している。

 

 

そんな楽しいマネージャーのお話も終わり、時は流れ、放課後になった。

 

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