「大人のお話会」と題したお話会も終わり朝になった。今は、佐久間と不動一家が、帰ろうと玄関の前まで来ていた。その見送りに、鬼道一家が出てきているのだ。
「鬼道!また話そうな!じゃあ、学校で」
「じゃあな、鬼道クン」
「明王、もう少し感謝しなさい、バカね。では、鬼道さん、冬花さん、ありがとうございました」
「ありがとう!」
「ありがとうございました」
「いや、また来てくれ。たのしかったしな」
「えぇ。楽しかったよ」
「明!光里!また会おうな!」
「うん!じゃあな!」
「暖くん、またね!」
そして、お話会は終わったのだった。そして、佐久間と不動一家が、鬼道邸の門から出ようとした時、その門の前に、人影が見えた。2人いるようだった。その人影の、2人が門の方にやって来た。だんだん近づいててきて、顔が見えたとき、佐久間と鬼道が叫んだ。
「「あぁー!!今日、打ち合わせだ!!」」
鬼道邸に向かってきていたのは、神童財閥の総帥、神童拓人と、山吹財閥の総帥、剣城(山吹)楓だった。
先日行った、「サッカー部同窓会」で、楓の発した
「なら、鬼道財閥と神童財閥、それに山吹財閥が組んで、何かしませんか?」
という言葉により、巨大プロジェクトを始動することになっていたのだ。今日は、そのプロジェクトの第1回目の会議、それぞれの財閥の総帥の、話し合いの日だったのだ。しかし、そんなことを忘れてしまっていた鬼道は、まだお酒は残っているし、寝不足だしで、体調が万全ではなかった。そんなときに、忘れていなかったしっかり者の、神童と楓がやってきたのだった。
「すまない、神童、楓。すっかり忘れていた。秘書の佐久間もだ。本当にすまない」
「い、いえ、鬼道さん・・・楽しかったのなら、全然、構いません・・・だよな?か、楓?」
「は、はい。お兄さんが、楽しかったのなら、また、繰り越しでも・・・か、構わないです」
「2人とも・・・」
「神童のお兄さんも、楓姉ちゃんも、父さんが忘れてたから『呆れてる』んだよね?」
「暖くん・・・そ、そんなことないのよ。ただ、楽しかったらそれで・・・」
「楓ちゃん、拓人君、隠しきれてないよ?」
「「冬花さん・・・そんな・・・」」(本当は、『冬花さん・・・そんな、本当のことを・・・』と言いたかった)
「2人とも、本当にすまなかった。あと、1時間待ってくれ。それだけあれば、すぐに元に戻れると思うんだが」
「鬼道さん、無理されなくてもいいですよ」
「はい、また今度でも・・・」
「いいや!今日やるんだ!やると言ったら、やるんだ!いいな!あと1時間だ!」
「「は、はい・・・」」
それだけ言うと、鬼道一家は、急いで家に入って、準備を始めた。
待っている間、神童と楓は、近くのファミレスに入った。
「こういうところも、悪くはないよな」
「はい。なぜか落ち着きますよね」
「あぁ。それにしても、鬼道さん、キャラ崩壊してたよな」
「お兄さん、春奈さんと、お酒がからむとああなるんです。幼いころから見てきています」
「そうなのか・・・それにしても、あのプロジェクト、大丈夫なのか?雷門中サッカー部だった人たちを、大ぜい巻き込むぞ」
「皆さんも『大丈夫』と言って下さっていますが、わたしも、そこは心配で・・・なにせ、サッカーを自由にするためとはいえ、時空を超えるのは、体に負担がかかります。それも、現実ではなく、異次元に行くなんて・・・さらに、時空がゆがむ、なんてことがおこる可能性もあるのではないでしょうか?」
「時空の歪みは、心配ないし、向こうには、住民がいないから、向こうには迷惑はかけないが、こちらの体が耐えられるか・・・というところか」
「はい。負担をかけない方法や、この企画を、新旧の天才ゲームメーカーが、どう組み立てていくのかが、楽しみです」
「楓、鬼道さんはともかく、俺はサッカーに関してだけだぞ?」
「そういう人は、他の才能もあるんです」
「そういうものか?でも、楓も頑張れよ。全体の指揮をとることを得意としていて、なおかつ、頭の回転が速く、勉強面、運動面の、どの分野においても天才的な才能を見せる、巨大財閥の若き美人総帥さん?」
「・・・期待になるべく応えられるよう、がんばります」
「あぁ。俺も、がんばらなくてはな」
「はい」
その1時間後、鬼道邸の小会議室で、第1回巨大プロジェクトの会議が始まった。
そのプロジェクトは・・・
「異次元に入り込み、サッカーを気軽に楽しめるようにする」
というものだった。