一誠
「まぁ、予想はしてた」
化け物との戦いから数日立ったある晩自室の天井を眺めていた。
「兵士って・・・」
チェスの詳しいルールは良く知らないが、兵士が一番下っ端だって事は知ってる。まぁ、普通の高校生だった俺が、下っ端なのは当たり前。
真も言っていたが、ここから爵位持ちを目指すんだよな・・・どうにも先が思いやられる。
「部長の『僧侶』ってどんな人なんだ?」
部長が言うには他の指令を受けているらしいけど。どんな人なんだ?女の子だといいな~いや、男でも好いや。此処最近イケメンの木場と話す事が多く男の友達も悪くないかと思い始めた。
夕麻ちゃんに殺されて、部長に助けられ。あれよあれよと此処まで来たけど。之で良かったのか?あの時助けられ無かったら今の俺は居ないけど・・・それにあの時自分の欲望でこの道に来た。
チラシ配り、契約取りと自分に出来る事を精一杯やって来たつもりだ。ジャンプする魔力が無くてもだ。
職場だっていい所だ、部長は優しくて美人だし。朱乃さんは怒らせなきゃ真以外には無害だし。小猫ちゃんも無口だけどいい子だし。木場なんて親友だ。
でも、ふと思う悪魔に成ってよかったのか?って
子供にも負ける魔力・・・下っ端の兵士。こんな事で本当に爵位もちに成れるのか?だって真の方が強いし・・・いや、あいつは別の生き物だったな。
「仕方ないんだよな」
今此処でどれだけ悩んだって後悔したって何も変わらない、夢が出来たんだ。どれだけ下品でも人間だった時には持てなかった物が、だからやるしかないんだよな。
「アーシア」
綺麗な子だったな。もう一度会って見たい、でもあの子の道と俺の道は正反対。会うことなんてもう無い。
それに会って如何する?
「って、もうこんな時間!?早く部室!」
「なあ?」
「ふぁ~、どうした?」
時刻は深夜今日も今日とて悪魔のお仕事契約取り向う一誠君とその友達俺。ただ今車の居ない道を飛ばす一誠専用自転車の二台に乗っております。
「なんでお前が居る?」
「気分さ~」
前を向きながら聞いてくる一誠、じゃっかん不信感がある様だ。まぁ確かに今までは一誠が帰って来るまで部室に居たのに行き成り付いてきたらそりゃ不振がるわな。リアス先輩達も驚いていたし。
「いや、余りに下手糞な契約取りなもんで見たくなってさ?」
「くっ、見てろよ!今日はバッキリ取ってやる!」
そしてスピードを上げる一誠、いや危ねぇよ。此処住宅街だぞ?そんな事を思いながらも自転車は進み一軒家にたどり着いた。
「探したんだけどな~」
「うん?なんか言ったか?」
「気にすんな」
俺の独り言に?マークを浮べながらも家を見る一誠。一軒家は初めてなので如何すれば好いか分らず困惑しているようだ。
「取り合えずピーポーンをすれば?」
「あぁそうだな」
一誠がブザーに手を触れようとした瞬間動きが止まった。
「どうした?」
「いや、あれ」
ふと玄関口を見てみるとドアが開いている。その中から嫌でも臭って来る血の臭い。そして強い力が一つと知っている力が一つ。一誠も中がヤバイのを勘付いているようだ。
「一誠俺が先に行く」
「!?あ、あぁ」
此処での戦いは一誠にやらせる必要も無いのでアイツはおれが殴る。と言う事で家の中へ。
廊下は暗く、二階へ続く階段、僅かに見える二階も電気が付いておらず暗い。そして廊下の先のリビングらしき部屋だけ僅かに明るい。
「・・・寝てるのか?」
自分で言っといて有り得ないと思ってるのか泥棒の様に移動する一誠。そしてリビングの
ドアの前に着いた。少し開いてるのでこの隙間から光が漏れてるようだ。
「入るぞ?」
「・・・あぁ」
一誠に確認を取りドアを開ける。テレビ、ソファーなど家具が並んでる中、壁に貼り付けてある物。
壁に貼り付けらた死体。恐らくこの家の人だろう。体中切り刻まれ手足と体の中心を大きな釘で壁に打付けられている。
「ツッ!?オェッ!ゴッ」
一誠がその場で吐いている。俺だってこんなもの行き成り見たら吐いている。正直今だって吐きそうだ、でも此処にいる奴を殴らないと気がすまない
「な、なんで。だれが」
「後ろにいる奴だろ」
驚きながら後ろを振り向く一誠。俺も背後を向くと気付かれると思っていなかったのか多少驚いた顔をしている白髪の神父らしい奴がいた。そいつは驚愕の顔から気味悪い笑顔に変わった。
「おお!気付いちゃうなんてね!」
「な、なんで」
「あぁ?『悪魔との契約は死刑よ!』って聖なるお方の言葉さ!」
なにがそんなに嬉しいのか歯をむき出しにしながら笑う白髪。そんな白髪の様に驚愕と怯えを含んだ視線を向ける一誠
「おぉ?これはこれは悪魔くんが一人。んん?そこの君は人間かい?駄目だよ~人間が悪魔と一緒にいるなんて!」
俺の事を人間と知って多少の驚き、だが直ぐに愉快そうに笑っている。どうやら俺も殺す対象になった様だ。
「俺の名前は~フリード・セルゼン~。悪魔祓い組織の下っ端で~す。あ!俺は名乗ったけどお前等は名乗らなくて好いよ!俺の脳容量に悪魔の名前なんて要らないから!てか直ぐに死ぬから。最初は痛いけど、直ぐに泣いて喜ぶ位の快楽があるさ!」
あぁ、此処まで人をイラつかせる奴も中々いないよな。気をつけないと力加減が出来ないな。
「おい!なんでこの人を殺したんだ!」
「イェース!大当たり!俺が殺りました。これさ悪魔を呼び出す常習犯でさ~もうね?殺すしかないでしょ!?」
「な、なんだよそれ!?」
白髪の言葉に困惑する一誠。その様子を見て大袈裟に驚く白髪、相変らず口元はニヤケたままだ。
「あれれ?驚いてる?流石悪魔頭が可笑しいねぇ~。て言うかさ、悪魔と取引するなんて人間として最低レベル!クズ過ぎっスヨ!いや、悪魔と協力する方がもっとクズか!そこらへん理解出来ませんかね~あ、悪魔だもんねそんな事出来るはずないか!」
「人が人を殺す方が駄目だろ!殺すのは悪魔だけじゃないのか!?」
「ア”ァァ?え、なに?悪魔の分際で俺に説教すんの?アハハハ、笑える。お腹痛いよ~、お笑いの賞取れますよ。よく聞けクソ悪魔。悪魔は!人間の欲を勝てに生きてるんだよ。で悪魔はクズで、そのクズに頼る人間は人間として終わってるんだよ!そんな奴は俺が殺してあげないとね!それがお仕事なんです」
「お前がやってるこれの方が悪魔だけどな」
「はぁ~?なに言ってんの?悪魔に協力する人間は言う事が違うねぇ!、悪魔はね何回も言うけどクソなんですよ!存在自体が認められないんですよ。てめぇには分んねぇが常識なんですよ?分んねぇならマジ胎児からやり直した方がいいって。人間から転生した悪魔とその協力者じゃ分んねぇか」
そう言って白髪は懐から拳銃と剣の柄だけを取り出した。そして柄から光の刀身が作られた。驚きながらも身構える一誠。
「一誠、下がってろ」
「おぉ?人間からかい?俺様的には二人とも殺すつもりだから、どつちも斬っちゃうけどね!」
言うなり光の剣を持って走って来る白髪、人間とは思えない速さだ。そしてそのまま勢いで剣を振るってくる。
「真!?」
縦に振り下ろされた剣を左手で弾く、一瞬驚くがすぐさま銃を太ももに打ってくる。だが足に気を込めると弾は潰れてしまった。
「!?」
白髪のムカつく顔を殴りつける。軽く殴ったので頭が軽く跳ねる、そしてがら空きになった腹に蹴りを入れる。
「ぐはぁっ!」
こちらに向ってきた以上の速さで壁に激突する白髪。気絶するぐらいの速さで殴ったのだがどうやら意識がある様だ。
「・・・」
それを見ていた一誠は、呆然とそれを見ている。
「ぐっ、ゴイヅ」
意識が有るだけで動けないのか床に這い蹲ったまま此方を睨みつけている。口から血が出ている。
「さてこの神父をどうするか」
「・・・普通だったら警察だよな。う~ん取り合えず部長に連絡してみる」
あいつが動けないのに安心したのか携帯を取り出す一誠、そこに近寄るひとつの気。
「な、なんで」
ドアの方から聞き覚えのある女性の声。
「アーシア」
一誠も声に気付いたのか、驚いた顔でアーシアを見ていた。白髪も目線だけは、アーシアを見ている。
「え、これ・・・いやぁぁぁぁ!!」
アーシアが壁にある死体に気付いたのか、悲鳴を上げてその場に座り込んだ。
「か、可愛い悲鳴有難う御座います!お、御蔭で元気でました。アーシアちゃんは初めてか、何事も始めては痛みが伴うね」
手足をフラフラさせながら立ち上がる白髪、壁に寄りかかっている所見ると相当無理してるようだ。こいつの体どうなってんだ?手足折っとけば良かったか。
「よーく見ときなさい、こ、之が悪魔に魅入られたクズの最後さ」
「うるせぇな」
「じゃ、じゃあ!その二人は!」
目尻に涙を浮べながら俺たちを見るアーシア、一誠はその視線に目を逸らす。手に持っている携帯壊れそうなほど握り締めている。
「あぁ、そこのクズ眼鏡は人間だけどもう一人はクソの悪魔だよ。なにを勘違いしてるのかな」
「イッセーさんが・・・悪魔?」
目を大きく開いて一誠を見つめるアーシア、一誠はただ目を合わせ様としない。アーシアはそんな一誠を見ていた。
そんな二人の様子で何かを感づいたのか、面白そうに笑う白髪。
「なになに?もしかしてお知り合い?その時恋しちゃったの?悪魔とシスタの許されざる恋とか?マジ」
「黙れよ」
「ゴフッ」
近くに在ったテーブルを白髪にぶつけるテーブルに気を込めたので、テーブルは壊れずに壁を壊して瓦礫と一緒に白髪を押しつぶした。
「・・・ごめん、アーシア」
一度目を閉じて深く深呼吸したアーシア。
「それでも」
目を開いた時涙はもう引いていた。さっきまでとは違う、一誠もそう思ったのかアーシアの目を見る。
「行って下さい。フリード神父が気絶している間に」
「・・・見逃してくれるのか?悪魔だぞ?」
「悪魔でも・・・いい人はいます。それにやっぱりこんな事間違ってます!」
目尻に涙があるが、強い眼差しで語るアーシア、一誠もアーシアを見つめるている。ちょっとした疎外感。正直このままアーシアを帰すのは納得いかない。
このままアーシアを連れて逃げるか?とそんな事を考えてると床が突然青白く光りだした。
「まぶしっ」
暗闇になれてる時のこの眩い光は俺を太陽拳状態に陥れた。眩しすぎて片手で両目を隠す。リビング全体を明るく照らした光は、よく見るとリアス先輩の紋章じゃないか!
「ま、まさか!」
一誠も紋章を見て気付いたようだ、そしてより一層輝きを増す魔法陣。その中から出てきたのは、やっぱり何時もの人達だった。
「あらあら。お邪魔でした?」
朱乃さんがニコニコ笑いながら出てきた。両手に雷をバチバチやってる所を見るに、ヤル気満々の様だ。
「ここに『はぐれ悪魔祓い』がいる筈なんだけど」
剣を構えた木場が不思議そうな顔で聞いて来る。来るの遅せぇよ。木場の後から出てきたリアス先輩も小猫ちゃんも不思議そうな顔をしている。
「え~と居たんですけど」
「イッセー無事?怪我は無い?『はぐれ悪魔祓い』は?」
「だ、大丈夫です」
一誠を見るなり矢継ぎ早に質問するリアス先輩。何時もと違う雰囲気にオドオドしながらも答える一誠。
あの~俺には無いんでしょうか?
「マコトも怪我とない?」
「無いデス」
優しく微笑みながら聞いてくれるリアス先輩、何だかんだ言ってリアス先輩は優しいです!と朱乃さんが周りを見渡しながら不思議そうな顔をしている。
「壁等壊れてるので、戦闘が在ったのは分かりますが肝心の悪魔祓いは?」
「そこの壁に埋まってます」
白髪が埋まっている壁を指差す。よく見ると足が出てビクビク動いてる。どうやら押し潰されていない様だ。頑丈さだけは人間じゃないな。
「先輩が?」
「もちろん」
驚いてくれると思ったのでドヤ顔で言ったら、小猫ちゃんは普通の反応だった。あれ~?人間が倒したんだよ?もうちょっと驚いてくれても良くないですか?
「それは本当かい!?悪魔祓い倒すなんて!」
流石木場君俺が望んだ通りのリアクションをしてくれる、よく見ると朱乃さんとリアス先輩も驚いている。なんで小猫ちゃんだけ反応薄いの?
「なんとなく先輩が強いのは分ってるので」
さも当たり前のように言ってるけど凄くね?正直今の小猫ちゃんで俺の強さを分るって無理だと思ってた。
俺の観察眼もまだまだだな。これじゃ神様に怒られる。
「あの~」
若干置いてけぼりになっている一誠&アーシアカップル。アーシアは至っては悪魔ばかりなので怯えて一誠の後ろに隠れている。
「これから如何するんですか?」
「そうね・・・朱乃ここに悪魔祓いの反応は?」
「今の所は」
「そう。でも向こうも直ぐに気付いて応援を寄越すと思うから早く此処からお暇しましょう」
「この人たちはどうするんですか?」
ここから帰るの別にいいがここの人達をこのまま置いて帰るのは、なんだか寝覚めが悪いというか。
「そうね。壁から下ろして置きましょう。今私達に出来るのは残酷だけどその位此処の家族は失踪と言う形で処理されるわ」
「そ、そんな。俺たちと契約したばかりにこんな」
「イッセーさん・・・」
リアス先輩の言葉に動揺を見せる一誠。悪魔の戦闘などを体験した一誠、自分達の命の危険なんかは理解してたんだろ、でも自分達と関わった人たちの事までは考えて無かったんだな。
「残酷だけね、仕方ないんだ。僕達人外の世界の事は知られたらいけないんだ」
そんな一誠に優しく語り掛ける木場、一誠はただ俯きながら聞いてた。頭では理解出来てるんだろうでも納得は出来ていないようだ。
「一誠さんその女の子は?」
「え?あぁ、俺がこの前真と道案内した女の子です。神父と一緒に居たみたいで・・・でも!俺たちを逃してくれようとしたんです!」
神父と一緒と言う言葉に身構える小猫ちゃん達を見て、アーシアを庇うように前に出て味方と言うことを伝える一誠。
「どうして教会のシスターがはぐれ悪魔祓いと一緒に?」
「そっそれは」
「部長!」
小猫ちゃんの質問に動揺するアーシア。そんなアーシアの態度に小猫ちゃんが更に詰め寄ろうとした時、朱乃さんが何かを感じたのか声を上げる。
「ここに複数の堕天使らしき反応がありますわ」
「・・・イッセー本拠地へ帰還するわ」
あれ、俺ジャンプ出来なくね?俺だけ徒歩?いや、むしろ此処でアーシアを連れ帰れるから好都合か。いやいやそう言う問題でも無いよな
朱乃さんがなにやら呪文めいた事を喋りだした。どうやら余り時間が無いらしい
「部長!アーシアも一緒に!
一誠がアーシアの手を握りながら部長に講義していた。俺の事は?
「魔法陣を移動できるのは悪魔だけなよ。しかもこの魔法陣は私の眷属だけ」
「ツッ!そ、そんな!」
いや、だからさそれは好いんだけどなんで誰も俺の心配しないの?俺悪魔の協力者人間だよ?堕天使に見付かったら殺されちゃうよ?
「先輩、早く逃げないと大変ですよ?」
なにが嬉しいのかニッコリ笑いながら言って来る小猫ちゃん。
「君ならできるよ」
イケメンスマイル木場君、だったらお前がやれ。
「ふふふ」
なにも言わない朱乃さん、一番怖いかも
「アーシア!」
「イッセーさんまた会いましょう」
そんな俺達を置いてシリアスな二人の別れ、リアス先輩達が来た時のように床が青白く光る。そしてその光が止んだ時一誠達の姿は無かった。