美秦「リンちゃん、私、みんなの足を引っ張っているみたい」
ゆり「みたい、じゃなくて、今現在ここにいることでまたさらに引っ張ってるのよ。さ、戻って練習するわよ。まあ、美秦以外は練習なんてしなくてももう出来上がってるんだけど」
美秦「ゆり、いつの間にいたの?」
ゆり「はなからいたわよ」
美秦「・・・・・・いや」
ゆり「何か言った?」
美秦「いけず」
ゆり「はい?」
美秦「・・・・・・ごめんなさい」
ゆり「わかればいいのよ、わかれば」
錦「いーやーだーっ!」
圭太「錦、わがままいうなって。みんな、勝ちたいんだって」
錦「いや、俺も勝ちたい、けど!」
圭太「ほら、組体操のピラミッドの頂上なんて、1人しかなれない特権だって」
錦「お前、面白がってるだろ。他人事だと思って」
圭太「いやいや、そんなこと、ないって・・・・・・ぷふっ」
錦「ひっでぇ! もう信じないぞ!」
圭太「いや、これも何かの訓練の一つだと思えばいいんじゃないの? ぷっ」
錦「どうせ俺はクラスの男子の中では小さいし筋肉もそんなにないから軽いしもってこいだったのかもしれないけど!」
圭太「昔っから、高いところ駄目だもんねぇ、錦」
錦「るっせぇ! ・・・・・・だがいどごろダメじゃだめだっでのかよおおおお」
圭太「泣くなって、男だろ」
錦「お前がいうおとこは漢字の漢の方だろ。世の中広いんだから、普通の男は泣くかもしれないし高いところ苦手かもしれねえだろ」
圭太「お、言うようになったね。いい兆候だ。そのついでにピラミッドのてっぺん目指そうか」
錦「ついでが目的じゃないかよ!」
井口「美秦さん! 大丈夫? 練習できそう?」
美秦「ごめん、なさい・・・・・・」
井口「大丈夫、大丈夫! 美秦さんが途中で詰まってもすぐに立て直せるようにみんなで練習してたんだよ。だから、美秦さんも全力で、何も気にせずに思うままに走っていいんだよ!」
美秦「私が、みんなとスピードを合わせられないからこんなことに・・・・・・」
ゆり「ほかの人が言ってたら、そのセリフはもはや立派な嫌味よね」
井口「いやぁー、本当に美秦さんって足が速いね! 羨ましいな~」
美秦「そんなこと、ない。こうして裏目に出てしまっては元も子もない」
ゆり「でも、美秦が引っ張ってくれると、十人十一脚で勝てる率がぐんと上がるのよ」
美秦「そう、なの・・・・・・!?」
井口「まあ、そのレベルになるには、他のみんながその分頑張れることが条件だったから、これはいい機会だったんじゃないかな??」
美秦「そっ、か・・・・・・。そうなんだ。わかった」
ゆり「偉いぞー、美秦」
盛岡「おい瀬川、戻ってきたってこたぁ、腹を据えたんだろうなぁ、ああん?」
圭太「はーい、喧嘩腰にならないならない」
錦「おおおおおお、おう、やっやってやるよ。ピラミッドの天辺は、おおおおお俺がいっただいたっ!」
盛岡「はああ、どもりまくりの噛みまくりじゃねぇかよ! んなんでうちのクラスが勝てるたぁおもえねぇなぁ、ああん?」
錦「なっななななんだよ、やるのかよ」
圭太「やらないやらない。盛岡、もう錦、大丈夫だと思うから、天辺は心配ないからね」
盛岡「長谷ヤンがそう言うなら、まあいいか」
錦「俺の信頼無しかよ!」
盛岡「ああん、一旦逃げたやつが何言ってんだよ!」
圭太「錦ー、火に油を注ぐの得意だねぇ」
錦「あ、や、あれはまじでほんとにすみませんでした」
盛岡「男なら、任されたことに背を向けちゃあならんだろう」
錦「だから、お前らのおとこは漢字の漢の方だろっ!」