ゆり「今日も朝から土砂降りね・・・・・・。タオル、一応2枚持っていこうかしら」
ゆり「美秦、おはよう。・・・・・・相変わらずね」
美秦「これは、清水家の宿命」
ゆり「スケールが大きいわね。まだ眠たいんでしょう? ほら、髪の毛整えてあげるから、座ってなさいよ」
美秦「ん」
ゆり「本当に、髪の毛が柔らかくて、ゆるっと天然パーマで、色素が薄くて、お人形さんみたいね」
美秦「この髪は、梅雨がないところでしか生きてはいけないの・・・・・・」
ゆり「日本で何年生きてるのよ、美秦は。ついでに言っちゃえば、清水家のこの髪質の人たちはのべ何年日本にいるのかしら」
美秦「んん~、ずっと?」
ゆり「できた。さ、グダグダ言わないで登校しますよ」
美秦「外に出るの、いや・・・・・・」
ゆり「何か、言った?」
美秦「何も言ってないです・・・・・・。あ、髪の毛」
ゆり「そ。ゆるふわ天パで超ロングだと、こんな日は下ろしてたら周りから見ても鬱陶しいしね。上げていた方がお互いスッキリするから、いいでしょ?」
美秦「ポニーテール、お揃いだ」
ゆり「なに? おそろいが嫌ならツインテールにでもする? お団子? 三つ編み?」
美秦「ううん、このままでいい。あんまり髪型にこだわりないし」
ゆり「無いなら切っちゃえばいいのに」
美秦「切りに行くと、髪型を決めなきゃいけないのが面倒で。行くのサボってたら伸びちゃうの」
ゆり「まずはそこからね」
錦「圭太、大丈夫か?」
圭太「ちょっと待ってて。ほら、圭花、ちゃんと座って。髪の毛結べないでしょ?」
圭花「いーやーっ! お兄ちゃん、結ぶ時ぎゅって痛くするから、いやーっ」
錦「圭太ー、入るー」
圭太「頼むよー」
圭花「あ、にしきのお兄ちゃん! 助けて」
錦「助けてって、そんな言い方、兄ちゃんがかわいそうだろ?」
圭花「だって痛いのいやだもん」
錦「俺も痛いのはいやだな。うん」
圭太「説得されちゃった」
錦「じゃなくて、兄ちゃん、頑張って結ぼうとしてるから、我慢することを覚えよう、そうだそれがいい」
圭太「我慢させないといけないの!? こんな幼い時分からそんなことを、しかもこんなことで覚えさせないといけないなんて・・・・・・」
錦「圭太のせいだろ。あ、それか、錦兄ちゃんが結んでやろうか?」
圭花「・・・・・・ほんと?」
錦「ああ、いいよ。二つでいい?」
圭花「うんっ! へへっ、ありがとう。耳くらいがいいなー」
錦「耳くらいねー。おっけー。んじゃ、じっとしててな?」
圭花「はーいっ」
圭太「おれ、先に行くよ。じゃあな・・・・・・」
錦「拗ねんなって」
圭花「お兄ちゃんが先に行くってんなら、今日の晩ご飯は抜きですよ?」
錦「ですよ?」
圭太「わかったって・・・・・・。つーかお前さ、もうじき10歳になるんだろ? 1人で髪くらい結べって」
圭花「最初に結ばせなかったのはお兄ちゃんだったのに?」
錦「え」
圭太「お前それどんだけ前の話だよ」
圭花「保育園の年長さんのころ」
圭太「四年前の話だろ! 時効だろう!? 」
錦「当時から溺愛してたもんなぁ」
圭太「ちょうど洸太が生意気になった頃に、そんな可愛いことされてたら、たまらないだろ、兄としては、さあ・・・・・・」
錦「どんまい」
ゆり「・・・・・・で、遅刻すれすれで教室に入ってきたかと思ったら、びちょびちょぼさぼさだったのは、どちらが寝坊なさったんですか?」
錦「ちっげぇよ・・・・・・」
圭太「俺らは悪くないよ、なあ、錦・・・・・・」
美秦「なにか、大変だった?」
錦「そっ、そそうなんです」
圭太「誰も粗相はしていないよ」
錦「あれ、美秦さん、今日髪型変えたの?」
美秦「・・・・・・ゆりに、してもらったの」
錦「いいね、似合ってる」
ゆり「あの人どうしたんですか? あんなにいっちょ前のことが言える方だったとは思いませんでしたが?」
圭太「いやぁ、朝から鍛えられたんだよ・・・・・・」
ゆり「? まあ、いいですけど。・・・・・・美秦も、あの髪型のこと、気にしてたみたいだったから、よかった」
圭太「そうなんだ。ところで、お揃いにしたのは、どうして?」
ゆり「別に、ポニーテールしか結べないわけではないです。ただ、美秦の今日のラッキーアイテムがポニーテールだったんです」
圭太「へえ。その占い、なんチャンネル? 当たるみたいだから見てみようかな」
ゆり「あなたにはあたらないかもしれませんよ。第一、この世の人を12に分けられるわけがないですし」
圭太「夢と、信じる気持ちがあれば占いは意味があるものになるし、なんとでもなるもんだよ」
ゆり「そう、かも、しれないですね」