錦と美秦   作:黒枝 芳乃

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打ち上げ

 

 

盛岡「んなんっっっっっでっ、俺達が2位なんぞにならねばならんっ」

 

圭太「負けたもんねー、クラス対抗リレーで盛岡が走り始めで緊張しちゃったからだろう?」

 

盛岡「な・・・・・・っんで俺がきき緊張したなんて思うんだよ! 別に応援する声が聞こえてきたとかそれで走り出しが遅れたとか、んなことねぇよ」

 

錦「全部自分で言っちゃってるし」

 

盛岡「んなこたいいんだよ、おい瀬川あああ」

 

錦「ひぃっ! なななんだよ」

 

盛岡「組体操1位取れたのは、お前がびしっと決めてくれたからだっ! そうだろう、みんな!」

 

ゆり「ちょっと、女子のところにまで聞こえるなんて、どれだけの大声を出しているのでしょう」

 

盛岡「んだと」

 

圭太「ごめんね、井上さん、女子の話で盛り上がりたいよね~。優勝チームしかグランド使って打ち上げできないからって、残りのチームの打ち上げは各々のクラスでー、なんていう学校もちょっとあれだけれど。盛岡、ボリューム下げてテンションも少し落ち着かせろって。女子、特にゆるふわ族がびびっちゃうから」

 

盛岡「ゆるふわ・・・・・・! わかった、落ち着くぞ・・・・・・」

 

ゆり「・・・・・・あ、りがとう、長谷川くん」

 

圭太「いえいえ」

 

錦「あれ、そういえば美秦さんは?」

 

ゆり「ああ、あの子なら」

 

 

 

美秦「♪ ピラミッドは、平地にしかできな~い・・・・・・雲は、空にしかできな~い」

 

 

 

ゆり「帰路についてるわ」

 

錦「なっっっぜ!!」

 

ゆり「別に打ち上げまで全員残らないといけない、とは言われてないじゃない?」

 

錦「そうかもしれないけど、せっかく2位になれたんだし、戦闘を称え合わないと」

 

圭太「残念、称え合うのは健闘」

 

錦「・・・・・・それそれ。いつも訂正、どうも」

 

圭太「どういたしまして。そっか、美秦さんは帰ったんだね~。知っていたけれど」

 

錦「えええっ!? 圭太帰ったの知ってたのかよ! なんでそのまま見送ったんだよ」

 

圭太「私は帰るのが普通かな、みたいな顔を自然にしてる人に残れなんて、俺言わないよ」

 

ゆり「女子の群れになるところには、近づこうとしないから。・・・・・・自分の存在が、他の女子とは異質で、浮く、とかよりも、楽しむ空気を台無しにしてしまうって、心の奥で無意識に感じてしまうのよ。私がとやかく言える事ではないと思うから、黙っていたけれど」

 

錦「そんなふうに片付けていいことないだろ!」

 

圭太「落ち着け、錦」

 

錦「・・・・・・なんか難しいけど、うちのクラスの女子だって、女子って言っちゃうと一括りだけど、にゅるふわ系?の人達とかもいるんだろ」

 

圭太「ゆるふわ系、のことだね」

 

錦「・・・・・・そう、それ。だから、いろんな人がいて、互いに互いのことをゆっくり知っていけばいいことなんじゃ」

 

ゆり「女子って、そんな、男の子みたいに単純一筋縄ではいかないのよ。心の奥で察しあったり、推測しながら厳しく生きてる」

 

圭太「でも、男子も変わらないよ」

 

ゆり「いいえ、違う。少なくとも美秦は、女子のやり取りを避けているの。

 ・・・・・・ごめんなさい、空気が悪くなったわね。美秦の事はそっとしておいて」

 

錦「・・・・・・なこと、できるかよ」

 

ゆり「え?」

 

 

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