美秦「ゆり、歩くの、速いよ・・・・・・!」
ゆり「今はっ、このくらいが、ちょうどいい風を、感じられるのっ」
美秦「体育祭の後で、この運動量・・・・・・、それがちょうどいい・・・・・・」
ゆり「美秦、もっと速く! じゃないと」
圭太「じゃないと、どうなるの」
ゆり「ひゃあっ」
圭太「わっ、ごめん」
美秦「ゆりっ」
錦「待てって圭太・・・・・・って、ぅおお、なんて体勢、ん、体制? 態勢?」
圭太「・・・・・・お前のその悩み、文字面見ないとわかんないって。そのレベルまで育ったことは認めよう」
錦「じゃなくて、・・・・・・二人とも、きつくないの、井上さん軽そうだけど、片手で抱えるのは圭太でもきつ」
ゆり「離してっ」
圭太「ごめんね、はい」
ゆり「あ、ありがとう、ございます・・・・・・」
圭太「俺がいきなり声かけたのが悪かったんだから、俺は謝らないといけないね。ごめんね、井上さん」
ゆり「・・・・・・!」
美秦「ゆり、耳が赤い・・・・・・」
ゆり「そん、なことないわよ!」
錦「おい圭太、なんで急に走り出したんだよ、こっちはいつもの帰る道とは逆だろ?」
圭太「ごめんね、錦。まさか何も言わずついてきているとは思ってなかったからさ」
錦「えー、俺ずっと追いかけながら声かけてたよ、どこいくんだよ圭太、待てよ圭太ってさ」
圭太「それ、声かけるじゃなくてかけ声の間違いじゃないの、走るリズムにそのうち合わせて言っちゃってたりとか」
錦「聞こえてたのかよ!」
圭太「全く聞いてないし、想像しやすくてね」
美秦「行っちゃう」
圭太「え」
ゆり「来ないで! 美秦、帰りましょう」
美秦「・・・・・・」
ゆり「・・・・・・美秦」
美秦「・・・・・・いや」
圭太(小さい子の反抗期みたいだ・・・・・・)
ゆり「なんで・・・・・・」
美秦「まだ、みんなでやっちまった、をしてないから、教室に、みんなのところに、行きたい」
ゆり「やっちまった? ああ、さっきの・・・・・・」
美秦「私も、いていいのなら、帰る必要はない・・・・・・?」
圭太「あらあら、クエスチョンマークが付いちゃった」
ゆり「・・・・・・いいに、決まっています。戻ろう、みんなのところへ」
美秦「ゆり・・・・・・」
ゆり「さ、また早歩きよ」
美秦「そんなぁ」
圭太「井上さん、さっきの」
ゆり「あああああ」
圭太「忘れていいから」
ゆり「あああ・・・・・・え?」
圭太「忘れて、無かったことにしていいから。こんなに逃げられるくらいなら、また同じ立ち位置に戻っていたほうが、お互いのためだし」
ゆり「・・・・・・長谷川、くん」
圭太「だから、逃げなくていいから、4人で一緒に、走ろう!」
ゆり「ええっ、走るのですか!? よくそんな元気が残っていますわね、頭大丈夫ですか」
圭太「学級委員をする程度ですよ~」
ゆり「~、そうでなくて、ですねっ!」
錦「なんだかよくわからないけれど、いつも通りになれるかな」
美秦「いつも通り・・・・・・が、いいの?」
錦「んー、誰かが辛そうな時は、いつも通りの、わいわいしている方が、俺はいいと思う!」
美秦「・・・・・・いつも、通り」