錦と美秦   作:黒枝 芳乃

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模試

 

 

圭太「勉強わからないところ、ある? 今なら少し時間あるから見てあげられるよ」

 

錦「待て。今考えてるから、待って。」

 

圭太「回答時間終了まであと1分です」

 

錦「嘘だろ!? ちょっと待て・・・・・・」

 

圭太「そういえば、美秦さんの受験する高校聞いたかい?」

 

錦「だから待てって・・・・・・待て。聞き捨てならんな。美秦さんがなんだって」

 

圭太「わぁお、ひと単語だけにはすごい聴覚と集中力だけど、回答時間終了です。自己採点にうつってください」

 

錦「そんなことどうでもいいよ。美秦さんが、どうしたんだ」

 

圭太「・・・・・・それが聞きたいなら、その模試の自己採点の結果を教えなさい」

 

錦「現実と向かいあえ、と・・・・・・!」

 

圭太「まあ、そうだね」

 

錦「鬼だな、鬼いさんだな」

 

圭太「で、どうなの?全教科6割はいった?」

 

錦「せんせーい、数学がギリ6割でした!」

 

圭太「錦・・・・・・。よく、頑張ったな。だけど、そんなんじゃ美秦さんと同じ高校には行けないよ?」

 

錦「だから、美秦さんがどこの高校受験するって?」

 

圭太「東西学院だよ・・・・・・」

 

錦「ええええ・・・・・・。到底無理じゃん、超名門じゃん、エリート高校じゃん、そりゃあ美秦さんならさらっと特進科に合格するだろうけど、その後だってエリート国立大学とかにまたまたさらっと受かっちゃったりして・・・・・・もう、会えないじゃん」

 

圭太「エリート国立大学だったら、確実に県外だねぇ。錦が県外まで行くなんて」

 

錦「多分当分ないよなー」

 

圭太「まあ嘘なんだけど」

 

錦「え」

 

圭太「え」

 

錦「嘘?」

 

圭太「うん、嘘」

 

錦「え、どこからどこまでが嘘?」

 

圭太「東西学院だよ・・・・・・のくだりから」

 

錦「嘘かよおおおお! え、じゃあ本当はどこの高校受けるんだよ」

 

圭太「うん、錦と同じ、林田高校だよ」

 

錦「まじでか!!! それは、ちゃんと本当の事なんだな!?」

 

圭太「本当だよ。ちゃんとしたソースからの情報だからね」

 

 

 

圭太「美秦さんなら東西学院を受けに行くんでしょ?」

 

ゆり「私もそう思っていたのよ。けれど、遠くまで行くのは嫌だからって、林田に行くなんて言ってて」

 

圭太「先生や親御さんはたいそう怒ったんじゃない? せっかくのチャンスを無駄にするな、とか」

 

ゆり「・・・・・・そうね。もっとも、そんなお節介を言ってくれるのは、先生と私位なものよ。ほら、美秦、あんな感じだから、言っても伝わらない気がするんじゃない?」

 

 

 

圭太「・・・・・・だから、錦はもっと集中して受験に立ち向かいなさい」

 

錦「はい、先生っ」

 

圭太「・・・・・・まあ、お互いのためにも、その選択は良かったのかな」

 

錦「何か言ったか、圭太?」

 

圭太「集中しなさい。さっき間違えたところ、自分で次解けるように、覚え込むんだよ」

 

錦「入んないって~・・・・・・はっ、でも美秦さんが待っている・・・・・・。錦、頑張って覚えるんだ! でも、どうやって解いたらいいんだか!」

 

圭太「だから、そんな時のために俺がいるんだよ。頼れよ、俺を」

 

錦「先生!」

 

 

 

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