なぜ俺は一分前投稿になってしまうんだ………
「うおおおおおおお!!」
「………うるさい」
「がべしっ!? う、うおおおおおおおおおおお!!」
「………ハァ」
チャリを漕ぐイッセーにチョップを喰らわせるけど、再び叫び出す。
まったく、時間を考えなさい。近所迷惑でしょうに。
深夜、僕らは二人で住宅街を回っていた。
何をしてるかっていえば、チラシを配るため。
今も一枚、僕は一つのポストに入れる。
そのチラシには悪魔を召喚するための簡易魔方陣があり、これを使って悪魔を呼ぶみたい。
んで、悪魔は呼んだ方と契約して、報酬を得るのが仕事………とのことです。
まあ、悪魔なんて普通は信じませんからね……。
世間一般に知られるわけにもいかないので、この方法は妥当かもしれない。
でもこんなことも言っていた。
普通は使い魔にやらせるみたいだけど、一から悪魔の仕事を知るためだと。
………覚えてもしょうがないってことですよね?
だって自分のためになると言ってましたけど、こういう仕事は後々役に立つんですか?
それに素直に従うイッセーもイッセーだし………ハァ。
「イッセー……次……右折してすぐ……」
「おう!」
……気合の入った声で返すのはよろしいけど、時間を考えろっていってるじゃん。
あ、ちなみに僕はチャリの後ろに乗ってます。イッセーの付き添いで。
え? なんでお前はやらないかって?
僕は悪魔じゃないので。部長にもそう告げたら付添だけでもという話になりました。
僕らが招待されたあの日、悪魔について軽く話してもらいましたからね………。
◇ ◇ ◇
人間から悪魔になった場合は、転生させてくれた方に従わないといけない。
悪魔は上下関係の意識が強いのか、それがルールとなっている。
先輩は従者のことを下僕ってよんでるけど……まあ、大して変わらないか。
―――注意:似てますが違います。
その後にグレモリー先輩はイッセーに近づいて耳打ちする。
「やり方次第では、モテモテな人生を送れるかもしれないわよ?」
その一言で目の色を変える人物がいた。
勿論、聞いているのは僕とイッセーのみだから――
「どうやってですか!?」
イッセーは先輩に迫って聞き出す。
ていうか、無駄にテンション高い。
ここまで来ると、こいつのスケベ根性に感服するよ……。
そしてまた先輩の説明。
要約すると、純粋な悪魔はほとんど滅んでしまい、数を増やす必要ができた。
だけど悪魔は出産率が低いから、使えそうな人間を自分たち側に引き込むことにした。
ただしそれだけじゃあ、上下関係の上の方が少なくなるから、力があれば転生者でも爵位を授けることにした。
そして爵位を持てれば、下僕が作れる………。
こんなところかな?
勿論、これ―――特に最後の部分―――を聞いたイッセーは
「うおおおおおおおおおおっ!!」
「……………耳元で叫ぶな………エロ猿………」
「ま、マジか! お、オレがハーレムを作れると言うのか!?」
聞いてないし………欲望に忠実すぎる………。
というか、よく考えてほしいよ。
そんな簡単にお偉いさんになれたら、ほとんどがなってるって。
時間がかかるとも先輩は言ったのに、それすら頭に無いのかこの変態は。
「やってやる! 成し遂げてみせる! ハーレム王におれはなる!」
……ダメだこいつ。
なんでこんな奴になっちゃったんだろ。
ほら木場君は苦笑してるし、塔城さんなんて冷たい視線を送ってるよ。
「フフ、面白いわ、この子」
「あらあら。部長がおっしゃていた通りですわね。『おバカな弟ができたかも』だなんて」
お姉様二人は笑っているけど、「おバカな」っていうのは僕も同感です。
「で、あなたはどうするのかしら。響君」
………ここで僕に振りますか?
「というか……僕は……悪魔ですら……ないんですが………」
「あら? 私の眷属になると言うことは考えないのかしら?」
ここで勧誘ですかい。
う~ん………。
「……………質問………いいですか………」
「何かしら?」
「………悪魔になって………僕に……どんなメリットが………?」
利益もないのに人間やめたくは無いもの。
なったら戻れないと思うし。
「はっきり言って………僕はモテることに……興味ないんで―――」
「ヒィビィキィィィイイイイ!!」
イッセーが僕の肩に掴みかかってきた。
………しまった。今の発言はモテない男子の怒り買うわ。
「なぁに、ふざけたこと抜かしてんだぁぁぁあああああ!!」
「アババババババババババッ」
肩を揺らさないでよぉぉぉおお。
これじゃ喋れないしぃ。
ぅぅう!!
「き………気持ち……………わる………………」
「落ち着きなさいイッセー。響が喋れないわ」
先輩の助け舟で、渋々下がるイッセー。
ふぇぇぇ………。
「そうね……あなたの望みが叶うかもしれない、というのは?」
…………望み……ですか?
「………シンキングタイム……プリーズ………」
「?」
「あ、リアス先輩。考える時間ほしいってことです」
イッセーが通訳してくれる。
しまった。いつもの癖で………まあ、それより考えなきゃ。
望み、望み……………あ。
「………ありますね」
「ええ!?」
僕の一言にイッセーが驚愕する。なぜ?
「この間『僕は禁欲なんだよ』とか、いってたじゃねぇか」
………そんな事………………………言った気がする。
いやだって、君らが『性欲ぐらいお前もあるだろ?』とか、R18のDVD見ながら言われればそういいたくなるよ……。
「それで、何が望みかしら?」
「え~っと………ですね………………………………………………」
ゴクリッ
………皆から唾飲み込むような音聞こえたんだけど。
「……髪を黒くして………この傷………消してください………」
「「「「「………は?」」」」」
僕は左頬と髪を指し示す。
でもみんなは呆然としてる………あ、そうか。皆僕のこれについて知らないんだ。
「そ、それだけ?」
「………はい」
僕は確認を採る先輩に頷く。
「えと………理由を聞いてもいいかしら?」
「……………黙秘権を……行使します……」
「………まあ、いいわ」
そういうと、先輩はなにやら僕に近づいて何か取り出す。
それは紅い……
「………駒?」
「ええ。これは悪魔に転生させるための駒―――『
出したのは塔を模った駒。
僕は言われたとおり手を出す。
そして先輩はその駒を置いた。
「…………………………?」
「……嘘でしょ?」
??? 何だろう?
先輩は信じられないような顔をしてる。よく見ればイッセー以外の皆もだ。
「響」
「……はい」
「残念だけど、私ではあなたを悪魔に転生させることが出来ないわ」
………え?
「悪魔に転生させるには、その人間の元々の力に相応するだけの駒が必要なのよ。そして私の持つ駒では足りないの」
………さいですか。
「………なら、協力する形はどうかしら?」
またも先輩に提案される。
でも協力って……
「………具体的には………何を……?」
「はっきり言ってしまえばこの部で私たちの補助をしてほしいの」
えぇ~………。
なんですかそれ、抽象しすぎでしょう。
でも僕にはそれぐらいしかできなさそうだし……
「まあ………出来ることをやる……ということで……」
手伝いをするだけでこの髪と傷消せるなら文句は無いかな?
死ぬようなことはごめんだけど……。
「なら、交渉成立でいいわね」
「………はい」
取り合えず………いいかな?
てか、接触した時点でこうなったと思う……。
「これからよろしくね。ヒビキ」
ウィンクされながらそう言われました。
………なんだろう、背中が痒い。
◇ ◇ ◇
こうして、髪を黒く染めて、傷跡を消してもらいました。
なんか魔法とかで一発………だったみたいです。
………僕の今までの苦労って………ぅぅ。
で、それから一週間。
グレモリー先輩は『部長』と、姫島先輩や塔城さん、木場君は名前で呼んでほしいと言っていたんです。嫌なわけでもないので僕はさん付けとかしてるけど、名前で呼んでます。
そして今は恩返しのために仕事してます。
イッセーの配達を付き添ったり、朱乃先輩と書類仕事やったり、小猫さんにお茶菓子用意したり
祐斗君に剣の試し切りさせられたり、部長にマッサージしたり、部室を掃除したり……
………あれ? なんかイッセーより下僕っぽいことしてない?
というか祐斗君。なんで銃刀法違反で捕まらないの?
……あ、悪魔だからか。
そして今日も
「ちわ~っす」
「……こんばんわ~」
僕はイッセーと一緒に部室に入る。
中では僕ら以外、全員がそろっていた。
「来たわね」
待っていたかのように部長はいう。そして朱乃先輩に指示を送る。
「イッセー君、魔方陣の中央にきてください」
イッセーを手招きする朱乃先輩。
それに従って、イッセーは向かうと、用意された魔方陣の中央に立った。
「イッセー、あなたのチラシ配りも昨日で終わり。よく頑張ったわね」
あ、そうなんですか。
じゃあ夜のサイクリングに行くこともなくなったか………。
毎度イッセーが叫びながらチャリ漕いでたからちょっとうれしい。
「改めてあなた
………………え? 今なんと?
「おお! ついに俺も契約を―――」
「チョイ待てイッセー………部長……今、『達』と聞こえた気がするのですが……」
「勿論、あなたにも言ってもらうからよ。ヒビキ」
「………理由を説明してください」
悪魔じゃないのになぜ僕が?
「実は今日、小猫と祐斗に予約が二件入ってしまったのよ。あなたたちにはそれぞれ一件ずつやってもらいたいの」
「………部長や朱乃先輩は……?」
「私達はこれから予定があるの。だから頼めるのがあなただけなのよ」
………手伝い担当だからって………それはないでしょうに。
でも逆らえそうにないし、恩返しはしたいのも事実だし………ハァ。
「わかりました………で、イッセーは何やってるんですか?」
話の途中で朱乃先輩に静かにするよう言われたからか、喋っていない。
僕はそれがちょっと気になっている。
「朱乃は今、イッセーにある刻印を魔方陣に読み込ませているところなの」
聞けば、この部屋の床に書き込まれた魔方陣は『グレモリー』を表すものなんだと。
そんでもって、召喚されるためにはそれに自分の刻印を読み込ませないといけないと………。
ちょっと面倒臭そう。
そして読み込みが終わったのか、朱乃先輩はイッセーから離れて、代わりに部長がそこへ行く。
「一誠、手の平をこちらに出してちょうだい」
言われるがまま手を出すイッセー。
瞬間、手の平から魔方陣が浮き出て同時に光りだし始める。
ぅぅ、ちょっと眩しい………。
「これは転移用の魔方陣を通って依頼者のもとへ瞬間移動するためのものよ。そして、契約が終わるとこの部屋に戻してくれるわ。朱乃、準備は良い?」
「はい、部長」
にしても瞬間移動か……………目の前で起こるとなると、好奇心をそそられる。
「魔方陣が依頼者に反応しているわ。これからその場所へ飛ぶの、到着後のマニュアルも大丈夫よね?」
「はい!」
「良い返事ね。じゃあ行ってきなさい!」
そしてイッセーは光に呑まれていった。
◇ ◇ ◇
今、光に包まれてる俺。よし! これで一気に瞬間移動を――――――
移動を………移動を……………って、んん?
俺は閉じていた目を開けてみる。
そこに広がっていた光景は―――――部室だった。
え、あれ? どういうこと?
部長は額に手を当てて、朱乃さんは「あらあら」と言い、木場は溜息を、そしてヒビキは俺と同じく呆然としている。
「イッセー」
部長が俺を呼ぶ。
「はい」
「残念だけどあなた、魔方陣を介して依頼者のもとへジャンプできないみたい」
………え? どういうことですか?
「この魔方陣には少しの魔力さえあればだれでも使用できる。子供でもそれは可能よ。だけれど、あなたは転移できていない。これはつまり………あなたの魔力が子供以下、ということになるかしらね」
「え………」
「魔方陣が反応しないほど低いレベルで」
そ、そうなんですか? ま、魔力が………子供以下?
「な、な、なんじゃあそりゃああああああああ!?」
俺は絶句した。
こ、子供以下って………え、俺悪魔ですよね? 悪魔なんだよねぇ!?
「「……無様」」
無表情でいう小猫ちゃんと、苦笑しながらいう………ヒビキィィィイイイイ!!
でもそれ以上に、この二人の突っ込みが痛いぃぃぃぃぃ!!
「困りましたわねぇ。どうします、部長?」
朱乃さんも困り顔で部長に尋ねている。
部長はしばし考え込んで、俺に向き直る。
「イッセー」
「は、はい」
「前代未聞だけどその足で直接現場に言ってちょうだい」
「足ぃ!?」
「ええ、魔力がないんだもの。足りないものは今、自分にある物で補いなさい。今回はチラシ配りと同様に移動手段を使うべきね」
「チャリで行けってことですか!? チャリでお宅訪問って、そんな悪魔が存在するんですか!?」
ズビシッ!
小猫ちゃんと……ヒビキィ!! お前は絶対楽しんでやってるだろ!
見たことないぐらい笑顔だぞ!!
俺のガラスのハートを傷つけるのがそんなに楽しいか!?
「ほら早くしなさい、悪魔の仕事は契約を取ってくること。人間をまたせてはダメよ」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!! がんばりますぅぅぅぅぅぅぅ!!」
部長に急かされた俺は、涙を流しながら部室を後にした。
アンケート、待ってます。