中々楽しかったです。
それといつも、感想ありがとうございます!
さてさて、今回はそれなりに進みますね。あとですね、この章長くなると言いましたが、逆に短くなるかもです。『この章は』
まぁ、一連の事件は長くなりそうということで。
では、どうぞ!
桜満集、そして楪いのりの自宅となっている、703号室では昨日隣に泊まったという少女が正座で、この家の住人である歳変わらぬ2人の前で表情を硬くしていた。
「えっと…………ちょっと待って。つまり、今の
「そう!しかも、凪沙まで居なくなってんだ!!てっきり、お前の家にでも上り込んでるんじゃないかと思ったんだが、居ないんだ!」
仙都木優麻――もとい、中身が入れ替わっているため、暁古城の方で呼称するが、現状中身である彼は絶賛混乱中であるらしいのだ。美少女がオロオロしている姿は見ていて微笑ましくすらあるかもしれないが、中身が異なるというのは違和感が途轍もなく、集は溜飲が下がらないような、そんな気持ち悪さを味わっていた。
「えっと……一応確認しておきたいんだけど、僕と古城が出会った場所と切っ掛けは?」
「直ぐそこの公園だろ?凪沙が絡まれてんのを助けてくれてたよな?で、最初は桜満の事も疑っちまって、凪沙に叱られたんだったよな?」
「………古城が昨日、私に注意された事は?」
「注意?………あぁ!ギターの事か!?」
いのりはコクリと頷いて肯定する。
「アレだろ?サビのちょい前んトコで弾きが雑になるって」
自室に入ってきてから、この手の質問を既に他にも幾つかしているのだが、関わりある質問は全て合っているので、中身が入れ替わったなどという、現在の状況は嘘ではないのだろう。
「……じゃあ、最後の質問。昨日、古城が姫柊さんを怒らせた回数は?」
この質問に、古城は黙り込む。少し逡巡した後、恐る恐る回数を答える。
「ゼ、ゼロ回?」
「はぁ〜………うん、ありがとう。古城で間違いなさそうだね」
「お、おう?………なぁ、何で最後の質問でそういうのが分かったんだ?俺、昨日は姫柊を怒らせる様な事してなくねえか?そりゃ、ちょっと不機嫌っぽかった時は有ったかもしれんが…」
雪菜に対する鈍感振りは、間違いなく古城本人のそれであった。まだ3ヶ月ほどの短い付き合いとはいえ、彼の性格は何となく掴んでいるわけだ。そもそも、そうでなくては『監視』など務まらないわけなのだが。
と、そこで、いのりの携帯画面が明るく光り、メールの受信を報せてくれる。
「ん、凪沙から。今、深森の所って返ってきた」
「は!?ちょ、ちょっと待て!俺何も聞いてねーぞ!?」
古城が驚愕していることに、いのりはコテンと首を傾げる。不思議なものでも見る様な、そんな表情である。
「深森に会いに行くのに、古城の許可が必要?」
「……いや、そんな事はねーけども………」
どこか釈然としない表情のまま古城は渋々黙り込む。いのりの言う通り、暁家には別段家庭内において離婚だとかそういった問題はない。故にいつ親に会いに行こうが自由である事に問題はないし、自然な事だ。だが、朝起きてみれば姿が見えなかったのだ。心配するのは当然と言えば当然である。
もっとも、連絡も取らず隣人宅に突撃したのは褒められた行為ではないが。普通ならば所在確認のため連絡するのが普通なのだろうが彼本来の身体は行方知れずであり、突然起きた信じられない現象に混乱をしてしまったのだろう。
「……けど、何でまたそんな事になってるんだか。凪沙さんは深森さんに会いに行ったって言うんなら、順当に考えて古城の今の身体に入ってるのは仙都木さんだよね?」
「まぁ……そうなるよな。けど俺の身体をどうしようってんだ?ってか、そもそも何でこんな事起きてんだ?」
「う、うーーん…………多分、魔術…だよね。そうなると、僕やいのりは専門外だしなぁ」
集の言葉に何かを思い付いたのか、古城は閃いたとでも言わんばかりに自らで捻り出した思考を述べる。
「そうだよ!魔術!『異能』じゃんか!」
「ん?」
「楪の力で何とか何ねえかな!?確か魔力とかだけじゃなくて、『異能』が絡んでりゃ何でも結晶に変えてくれんだろ!?」
「…………」
古城の言葉に集は考え込む。だが、ものの数秒もしない内に、集はそれによって何が起こるのかを予想してみせた。
「……あまりオススメは出来ない、と思う」
「ど、どうしてだ?」
「その魔術がどういう風に作用してるのかが分からないからだよ。精神ごと入れ替えて、はい終わりって類のものだと、いのりの力は反応しないと思う。もしもその状態を維持するために術式だとか、魔力が使用され続けているんなら話は別だろうけど」
「ま、まぁ、一回試してみるだけでも――」
「それと、もう一つ危険だと思うことがある。多分、今の古城に掛かっている魔術自体はどういうものかは分からないけど、恐らく体内で発動してるだとか、そういうタイプのモノだと思うんだ。だから、もし今の状態で結晶化したら……」
「………し、したら?」
「……最悪、体内の結晶で串刺し」
見えかけて光明がむしろ死出の入り口になるかもしれないと知って、古城はガックリと肩を落とす。確かに詳しく分からない現状で、いのりの力は危険である。もしも、脳に関わっているのならば、その時点でアウトである。脳内に結晶が溢れて、串刺しになってしまう。他にも神経に関与しているのか、臓器に関与しているのかが分からない。仮にそのいずれであっても、身体を傷付けるという結末は変わらないだろう。
「はぁ゛〜〜…………」
古城は辟易した様に重く長い溜息を肺腑から吐き出し切り、同時に項垂れる。この数ヶ月、彼にとって平和な時が少ない事に改めて気付いての行動でもある。と言っても、世界でたった4人の強大な力を有する真祖の1人なのだ。こればかりは仕方ないものである。
「とにかく、古城からしたら凪沙さんの所在が判っただけでも、良かっただろう?今は古城自身の問題を何とかしないと」
「まぁ…だよなぁ。やっぱ、姫柊のとこに行くのがいいか。すまなかった、桜満。早速行ってくるわ」
古城は軽く礼を言うと、集の自宅を後にした。そのまま2つ隣の雪菜の家へ向かったのだろう。古城が出て行き、何とも微妙な表情をした、いのりが集へと向きなおる。
「………古城、優麻の身体で平気だと思う?」
「……正直、色々と問題はあるよね。と言うか何より……」
「「違和感が凄かった」」
2人は間違えて異物を口に入れてしまった時と似た様な心持ちを味わうこととなった。
◇
アイランド・ウェストの少し小洒落た喫茶店。普段はどちらかと言うと落ち着いた雰囲気のこの店舗も、波朧院フェスタの熱に当てられてか、店内にはカボチャをくり抜いて作ったジャックオランタンや、ブラックペーパーで象られたコウモリや、魔女の三角帽、星や、色調を変えてオレンジ色の装飾品などで華やかに彩られていた。
店内は女性客が多く男性客が居たとしても、カップルか学生の男女数名のグループである。そんな状況であるがゆえに、集はまるで針の
彼のグループは6人席であり、集、いのり、古城、雪菜、アスタルテ、夏音である。しかし、現在古城の姿は仙都木優麻のそれであり、つまりは他人からは女性として周囲には認識されてしまう。しかも、優麻の姿は雪菜や、いのり、夏音、アスタルテにも負けじ劣らずの美少女である。
語るまでも無いかもしれないが、美少女5人に囲まれて座っている少年が居るのである。当の本人の気持ちは想像に難く無い。因みに全員が全員、波朧院フェスタ開催に伴い仮装しており、雪菜が某有名童話の登場人物が着ていそうなエプロンドレスに、夏音はシスター姿、アスタルテはジャックオランタンの仮装で、カボチャの被り物をしており、本人曰く大層気に入っているようである。優麻、もとい古城は元々優麻が来ていた魔女の仮装なのだが、普段着るはずなどないミニスカートにどこか落ち着かない様子である。
そして、集は昨夜届いた狼男のボロ衣装を着ない訳にもいかず、狼の被り物だけバックに入れて持ち歩いている。なので、血塗れのチンピラのような格好になっているのだが、こればかりは仕方がない。スポンサーには逆らえないのが、ツライところである。
いのりは赤ずきんの仮装であり、頭巾からは2つの突起物が出ている。頭巾を取ってみれば犬耳が付いており、1人で狼役、赤ずきん役をこなせそうだ。
「はぁ〜〜………こんな心境、古城だけで十分だよ〜……」
「おい、桜満。今のどう言う意味だ!?」
「いや、多分基樹も同じ事言うと思う」
その意見が理解できると、いのりと雪菜は首肯する。基樹と然程接点のない夏音は首を傾げ、アスタルテは我関せずといった調子で、オーダーしたパンプキンパイをせっせと口に運んでいる。彼女にとって野菜を用いた甘味というのは、知識はあっても口にしたことは無いため、カルチャーショックであったらしく、おそらく会話のほとんども聞き流しているに近い状況だろう。
「それにしても、魔術って何でもありだねぇ。まさか、古城の精神が仙都木さんの中に入ってるなんて」
「いえ、その表現は少し違うかもしれません」
集の魔術に関する感想を雪菜は否定した。さすがは、魔導災害を専門にする獅子王機関の剣巫であろう。本人は未だ見習いだと言っているが、その実力は今までの事件から折り紙つきである。
「確かに精神をそのまま『入れ替える』という魔術も存在しています。けど、それには大なり小なり魔術結界が必要なんです」
「んー………人格の入れ替えってそんなに難しいのか?」
「その魔術自体はそれほどでもないです。しかし、先輩の身体となると難しいどころの話ではありません。既にある精神を『入れ替える』となると、それは大規模な魔術行使をしないといけないレベルです。もしそんな大事になれば、隣の私が気付かないはずが無いです」
それは確かにと、古城も集も首肯する。それに、古城は知らないが、暁家には雪菜がコッソリと簡易の式神を忍び込ませている。それが反応しないということは、魔術発動時に周囲に広がる魔力痕がほぼなかったという事だろう。
「詳しい説明は省きますが、そもそも人の持つ精神というのは主にその肉体と魂によって構成されます」
雪菜が自らオーダーしたアップルジュースを一度口に含んだ後、軽く咳払いをして再び口を開く。
「肉体、精神、魂。この3つが『存在』を維持するのに必要なものと考えられています。パソコンに例えるなら、肉体がハードウェア、精神がソフトウェア、魂がメモリもしくはバックアップといったところでしょうか」
「………姫柊、お前パソコンの事分かるんだな」
「………今、先輩の言葉がすごく頭にきた気がしますが、一旦置いておきますね」
古城は、しまったと内心後悔していた。集からすれば、またか、と言いたくなる様な状況である。そして、雪菜の説明は続く。
「………気を取直して続けさせてもらいますが、その内の1つがすげ替わっては、血液の拒絶反応の様な状態になる場合があるんです。特に神からの呪いである真祖の身体は尚のことですね。それと、昨夜の先輩がアスタルテさんと夏音ちゃんの入浴に忍び込んだ――失礼しました。『偶然』『事故で』飛ばされた事と、昨夜その………ゆ、ゆ、優麻さんとその………キ、キスした事を加味すると、べ、別の魔術の可能性が見えて来ます」
今のセリフの中で、雪菜は目まぐるしく表情を変えていたのだが、古城は大して気にした様子はない。一方の集は若干ハラハラした様子である。雪菜が爆発しないよう、集は先を促す。
「……すみません。……とにかく!その魔術というのは、先輩の神経と優麻さんの神経を空間魔術の一種で擬似的に『繋ぎ変えた』ものだと思われます」
「……つまり、あれか?俺は今、自分の体を動かしてるつもりで、実は優麻の体を動かしてるって訳か?」
「そうなりますね。昨夜起こった空間異常はそれの副産物と考えれば、辻褄が合うかと」
「はぁーー……取り敢えず、俺の体を動かしてる優麻を見つけないと始まらねえって訳か」
「そうですね。雪霞狼で無理矢理術式破壊をしようものなら、互いの神経が無茶苦茶に繋ぎ直されてボロボロになる可能性が……」
「コエーよ!死ぬじゃねえか、それ!」
「先輩は大丈夫じゃないですか?どうせ生き返るんですし」
「俺の命、軽っ!?」
「問題は、優麻の方?」
タルトを食べ終えた、いのりが今までの会話に入って来る。頬についたカケラを集に取ってもらい、赤面するがそのまま会話を進めるようだ。
「はい、そうです。優麻さんの正体は恐らく、魔術師もしくは魔女でしょう。まぁ、先輩が見た影というものから、後者だと思いますが」
ここで、集といのりは首を傾げる。魔術師と魔女を雪菜は分けて言及した。その意味が分からないのだ。そこに追加説明を入れるのはパンプキンパイを食し終えたアスタルテである。
「補足。魔術師も魔女も魔術を使用します。しかし、人の身で行使できる魔術には、限界が多いです。故に太古から、魔女と呼ばれる存在は悪魔と契約してきました」
「魂を悪魔に売る、みたいな事?」
「肯定。しかし、契約によって対価は様々。そして、契約をした悪魔は『守護者』と呼称の変更が生じます」
なるほどと、集もいのりも頷く。契約を交わした相手は、言うなれば仕事相手である。故に契約者を守るのだろう。それ故に、『守護者』なのである。
「とにかく、優麻さんが何の目的で先輩の体を使っているのか知りませんが、早急に対処した方が良いのは事実です」
「んー、やっぱ今の状態って不味いのか?」
「ま、マズイどころの話ではありません!!」
ガタン!と雪菜はテーブルを叩いて立ち上がる。あまりに古城の危機管理能力が欠如している事に彼女の方が焦ったのだろう。周囲の注目を集めている事に気付いて、何事も無かったように、ストンと座り直して小さく咳払いをする。
「……先輩の体は取り扱いとしては、核兵器と同等並です。それが、管理を離れて大手を振ってこの島を歩き回っているんです。焦りもしますし、順当に考えて緊急の対処も取るケースも考えられます。ですが、それは先輩の望むところではありませんよね?」
「もちろんだ」
「ですから、早急に対処しましょう。問題が起こってしまう前に」
「んな、優麻が問題起こす事を前提に話されてもなぁ。あいつの目的だって、もしかしたらただのイタズラって可能性だってあるぜ?むじろ、俺からすればソッチの方がしっくり来る」
この発言には集も雪菜も頭を抱える。どこまでこの男は能天気なのだと。
「………あのさ、古城。仙都木さんが魔女だとしたら、古城の正体には気付くよね?」
「そ、そうか?」
「うん、多分。前に南宮先生もそんな事言ってたし。そしたら、普通真祖の身体を乗っ取ろうとか考えないと思うんだ」
「………そうか?魔女だっつうなら、研究対象とかにしそうだけどなぁ」
「それはそうかもしれないけど、それで真祖の怒りを買う可能性っていうデメリットもあるし、研究対象の対価としては見合わないと思うんだ。それをイタズラ程度の考えでは普通やらないよ。それに、研究対象にしたいんだったら仙都木さん、古城に直接言うんじゃないかな?」
「ん、んーー………ま、まぁ、確かに」
そこでふと、先ほどまでアイスティーを飲んでいた夏音が何かに気付いた様で、自らの持っているポーチをゴソゴソと探る。夏音が手にしていたのは、白いヘアブラシだった。何でそんなものをと、古城が考えていると夏音はスススと、古城の背後に回る。
「あの、お兄さん。少し髪を直してもいいですか?」
「え、あ、あぁ、まぁ」
急な事で、古城は焦るが女性の髪など、古城には分からない。古城は夏音の言う通り、されるがままになる。
「あ、コッチも、でした。………あの、お兄さん。さっきから気になってましたが、朝髪を直しましたか?」
「え、あ、あぁ、簡単にだけどな」
古城の『簡単に』という言葉に、雪菜が目を細める。この男、基本ガサツである。なので、もしかしたらと思ったのだろう。
「あの、先輩。参考までに、どの様にして寝癖を直してましたか?」
「え?そりゃ、水で濡らしてタオルでパッパーと……」
あまりの適当さ加減に、女性陣は溜息をつく。これには、集もまた内心ビクリとしたのは彼だけの秘密だろう。
「もう!ダメですよ、お兄さん!それでは髪の毛が痛み放題です!それに、さっきから気になっていましたが、足をそんなに開いて座ったらダメでした!あと、頬杖もダメでした!」
「お、おおう」
意外なほどスパルタな夏音の指導に古城は狼狽える。普段の夏音からは想像ができない強目の口調で注意されたからだ。しかし、言われてみれば望んでないとはいえ、古城が現在主導権を持っている身体は借り物だ。それを傷付けるのは、古城からしても気が引ける。
「あ、もしかして先輩、日焼け止め塗ってないんじゃないですか?ダメですよ、肌が傷付きます!」
「す、すまん……」
今度は雪菜からの追撃であった。そんな事をしていると、いつの間にやら、アスタルテが何処から出したのか、大き目の化粧ポーチを出して来る。以前、集達と行った射的の景品の中に入っていたものだ。
「補足。化粧の類も一切していないものと判断します。こちらをお貸しします」
「お、おう?」
「この際、丁度イイですね。先輩には、女子の大変さを分かっていただきましょう」
「え!?い、いや、どうせ元に戻るんだし……」
「行きましょう、先輩」
いつの間にやら、古城は両側から後輩に腕を掴まれ立たされる。女性が普通化粧直しをするとすれば、女子トイレだろう。雪菜と夏音の視線もそちらへ向いていて、古城は冷や汗をかく。
「い、いやいやいやいや!そこまでする事はないだろ!?な、なぁ、桜満!?」
「そこで、僕に振らないで欲しかった…」
古城の助けを求める目と、雪菜、夏音、アスタルテの期待の眼差しが集へと殺到する。集は1つ、頷くと手を前で合わせる。所謂、合掌の形だ。
「………まぁ、社会勉強という事で。がんばれ、古城」
「う、裏切り者ぉぉ〜〜〜!!」
「さぁ、行きますよ、先輩!」
「覚悟して下さい、お兄さん」
「健闘を祈ります」
「………ん」
ズルズルと引き摺られていく古城を集、いのり、アスタルテで見送った。
そんな時だった。その瞬間、集たち全員が、とある感覚に襲われる。ズンと全身に一瞬だけ走る感覚。魔力が放出される事で引き起こる低振動。一般人には感じる事ができないその感覚を、全員が感じ取ったのだ。慌てて外に飛び出た古城と雪菜を尻目に、集といのりは会計を急いで済ませ、夏音とアスタルテを連れ外に出る。
感じた方角は、現在彼らがいるアイランド・ウェストから東方面からであった。すなわち、キーストーンゲートか、アイランド・イーストなのだが外に出る事でそれは明らかになった。キーストーンゲートの屋上、雪菜の霊視の目はただ一点を見ていた。
◇
キーストーンゲート屋上にて、黒装束と赤装束の魔女――メイヤー姉妹で
メイヤー姉妹の前には中空に浮く本が一冊、ドス黒い魔力を放ちながら周囲を軋ませていた。
「おや?いい塩梅の空間の軋みがすると思ったら、魔女か――ん?」
その場にもう1人来訪者が現れる。現れた瞬間、メイヤー姉妹は顔を硬くし警戒する。現れたのは派手な白いスーツに碧眼金髪の美青年であった。彼は見知った顔がいる事に疑問の声を漏らす。
「古城……いや、違うな。器を替えているだけか。君は一体誰かなァ?」
来訪者たる、ディミトリエ・ヴァトラーは何かが気にくわないとでも言いたげに自らに魔力を迸らせ、他を威圧する。メイヤー姉妹は警戒し、自らの魔道書を開こうとするが、それを黒外套の少年が手で制し、恭しく頭を垂れる。
「お初にお目見えいたします、アルデアル公。私は仙都木優麻。『
「『書記の魔女』……確かLCOの『
ヴァトラーが口にしたLCOという組織。別名『図書館』と呼称され、数千人規模の魔術師、魔女から構成される組織である。その目的は力ある書物――魔道書の収集、保護、研究である。収集された魔道書は相応しい持ち手へと貸与される。しかし、LCOは構成員の好奇と欲を満たすという側面が強く、設立から犯罪的組織に成り代わるのに然程時間を要することはなかった。現在では何人もの指名手配犯を擁する組織となってしまっている。
そして、そのトップたる『
「ふゥ〜ん、なるほど。で?」
「御身の同族である第四真祖の肉体をお借りすることは、御身のお怒りに触れる事と重々承知しております。しかし我が母、仙都木阿夜を監獄結界から解放するまでお目こぼしを」
「…監獄結界、ねェ」
ヴァトラーは既に魔力は解いている。だが、その目は魔女たちをグルリと見回し、メイヤー姉妹に止まる。しばらく見た後、ニヤリと口角を上げる。
「ハハッ!そうか!そう言うことカ!中々面白い余興じゃないカ!いいネ、イイよ!前座としては悪くない!あの女の言葉はこういう事カ!ハハハハハ!!」
突如、高笑いを始めたヴァトラーへ疑問の目を向けていると、ヴァトラーは再び視線を戻す。
「あァ、気にしなくてイイよ。コッチの話さ。それにしても……そうカ。流石は海運王の娘だ」
「……海運王、と申しますと?」
「ん?あァ、狡猾な男さ。今もまだ生きている筈だが。しかし、そうだな。ここまで見事にこの島に引き入れるとは。血は争えない、カ…………中々に面白い。彼女に対する評価は修正しておく必要がありそうだ」
古城の身体を駆る優麻は、許しを得たと胸を撫で下ろし、中空に浮いている魔道書に手をかざす。『魔道書No.539』――彼女が作られた要因の1つたる魔道書だ。
そして、それを中心に空間が歪み始めた。
執筆する際、よくユー〇ューブで音楽メドレー聞きながら執筆してるんですが、ク〇ナドの画像を見るたび目頭が熱くなる今日この頃ですw
さてさて、ようやく魔導書も出てきました。監獄結界が出てくるのは次回ですねぇ・・・
久々、質問コーナー!
『放課後ヒロインは二人だけですか?』という質問でした。
これに関しては『Yes』ですかね。これ以上あまり増やしたくはないと言いますか・・・
増やし過ぎると、いのり可哀そうですし。一方の古城は最新刊で、まぁた増やしてましたがw(やべぇ、原作は第2部始まっちまった)
原作だと今、雪菜、浅葱、紗矢華、ラ・フォリア、優麻、アスタルテ、夏音、結瞳、ユイリー(?)、そして新たに出てきたカス子さん。この辺は確定?吸血されとるし。微妙に加わりそうなのが、アヴローラ、グレンダ、セレスタ、オシアナスの5人娘、霧葉とか?全部加味すると、約20人とか?んーーーーーーー・・・・・・・・・・
(コイツ、本当にその内刺されるんじゃないか?)
では、また次回!