第一話 転生
白い、ただ白い空間に自分はいた。ここはどこなのか、なぜ自分がここにいるのかはわからない。ただここは心地よく、まるで母に抱かれたかのような安心感を感じる場所だった。このままずっとこの空間にいたい、そう思ったとき目の前で光かがやくなにかを見つけた。
「人の子よ、どうしてあなたはここにいる」
そんなことはこっちが知りたい、ここはどこであなたはだれだ。
「ここは人の子が普通入れる場所ではない。ここはオールスパーク、全てのスパークがここで生まれ、還る場所。」
驚愕を隠せない、今あの光はオールスパークと言ったか。
[オールスパーク]それはトランスフォーマーにとってのあの世である。トランスフォーマーの魂、スパークはオールスパークより来て、死んでそこに還っていく。
そうトランスフォーマーという作品に登場する架空の存在。聞き間違えでなければあの光はそれがここだという。そしてそんな場所で暖かく心を安心させるあの光は……
「そう私はプライマス、全てのトランスフォーマーを創造したもの。」
プライマス、トランスフォーマー達の神、あの星帝ユニクロンと対をなす存在……
「ここはあらゆるスパークが眠る場所。しかしそんな場所に一つの異分子が紛れ込んだ、それがあなただ人の子よ。本来ありえないことだったことゆえに直接会って確かめようと思った。」
それでなぜ自分がここにいるのかあなたにはわかったのか。
「わからない、なぜあなたがここにいるのか。ただ一つ言えることは、あなたの人でいう魂は我々のスパークによく似ている。それが原因かもしれないし、そうでないかもしれない。」
あのプライマスでもわからない、自分はこれからどうなるのか安心感しか感じなかったこの空間で初めて不安を覚えた。どうする、どうする……
「人の子よ、もしあなたにその気があるのなら。私にいい考えがあります。」
いい考え?
「そう、先程私はあなたの魂がスパークに似ていると言った。もしかしたら私ならあなたに新しい体を創ることができるかもしれません。しかしそれは同時にあなたが人を辞め、トランスフォーマーとして生まれ変わることを意味します。もしトランスフォーマーになればもう元には戻れません。どうしますか?」
人のままではだめなのか?
「ここはスパークが集い、旅立つ場所。人の身でここを出ることは不可能に近い。しかしトランスフォーマーとしてなら別です。申し訳ありませんがここはそういう場所なのです。」
もはや、選択肢はあってないようなものだ。ここはいつまでもいたいと思える程落ち着ける場所だが、いつまでもここにはいられない。こんな所にいるのだ、もう家族には会えないと思ったほうがいいのかもしれない。正直言って未練はある。まだまだ家族とは一緒にいたかったし、もっと親孝行したかった。けど自分がここに来たのはなにか意味があるのだと、そう感じてやまない。だから……
「覚悟を決めたのですね。それならば始めましょう、あなたの魂に合わせたボディをあなたに……」
今まで見えなかった体が見え始める。銀色にところどころ赤のラインがあるスラリとしたボディ、足にジェットがあり背中には鋼の翼が。これが新しい体……
「そういえば、あなたの名前を聞いていませんでした。」
そういえばプライマスの名前に驚き、名を名乗るのを忘れていた。波風(なみかぜ)仁(じん)それが自分の名前だ。
「ならば、あなたの名前は今日からウィンドウェーバーというのはどうでしょう。ピッタリだと思いますよ。」
ウィンドウェーバー……なぜかしっくりくる。まるでこれが本当の自分の名前だと思えるぐらいに。
「今あなたはトランスフォームすれば人の言うエイリアンジェットに変形でき、恒星間移動も思うがまま。もちろん様々な場所で機械や生物をスキャンすることでスキャンしたものに擬態することもできます。それにちゃんと計算すれば単独でグランドブリッジも開けるはずです。ただ気を付けてください、グランドブリッジは使い方を間違えれば次元の狭間に落ち、そこで永遠に彷徨うことになりかねませんから。」
怖いことを言わないでほしい、アニメ[プライム]におけるサウンドウェーブの二の舞だけはごめんだ。
「では、行ってきなさい。道はこちらが用意します。あちらに見える緑の光に向かって行けばここから出られるはずです。」
なにからなにまで世話になった。感謝してもしきれないほどに、だから……
「行ってきます!プライマス!」
「いってらっしゃい、私の新しい子よ。あなたの行く未来に幸あらんことを。」
「トランスフォーム!、出ッ発ーーーッ!」
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