あれから光を飛び越えた先にあったものは、広大な宇宙だった。
「……きれいだ。」
意識せずに呟いた言葉がすべてを物語っていた。点在する星々の輝きは見るものすべてを魅了する。それほどの美しさだった。
「とりあえず、どうしようかな?文明のある星を探すか?いや。オールスパークを抜けここに出たということは、この宇宙のどこかにセイバートロン星があるはず。まずはセイバートロン星に行ってみるか。そうすると地球もあるのか?というかセイバートロン星は今戦争中ということも考えられるし。むむむ……」
セイバートロン星における戦争といえば言うまでもなく、正義のサイバトロンと悪のデストロンの戦いだ。最近はオートボットとディセプティコンとも呼ばれてもいるが中身は同じで。両軍はともに平和のために戦っている。片や自由のある平和を、片や圧政による平和を。同じ夢を掲げ、しかし違う方法を求めた両軍が争うのは必然でもあった。まぁ、デストロンの中で平和のことを考えている者などリーダーであるメガトロンを除いてほとんどいないだろうが。そもそもここが初代トランスフォーマーから続くG1世界とは限らない。ビースト作品のようにもう人類の登場しない時代かもしれないし、ユニクロン三作部のような平行世界かもしれない。ともあれ、この広大な宇宙で1つの星を探すというのは砂漠に落ちた米粒を探すようなものだ。
「よし、とりあえず。近場の星から見て回るか。幸い俺は恒星間移動が可能なエイリアンジェットに変形できる。いろんな所を見よう、そして知ろう。きっとその経験は俺の未来を変えるだろうから。」
ここは景気づけだ、かの司令官はこう言っていたはずだ。
「サイバトロン戦士!トランスフォーム!出撃ーーーーッ!!!」
そうそう言い忘れていた。俺はどちらかというとサイバトロン派だ。
速い、さすがは恒星間移動ができるといったところか、点在していた星の光が線となって見える。そこまで宇宙について詳しいわけではないが、恒星と恒星の間が光の速度で何千年、下手したら何億年もかかる距離を一瞬で移動するのだ。自分が今どれだけ凄まじい速度を出しているのかはさすがにわかる。
「これは惑星近くは速度を落とさないと、ちょっとどころじゃなくヤバいか?」
そうこうしているうちに一番近くにあった恒星系に近づいてきた。
「お、記念すべき第一恒星はここか。どんな星があるのかな?楽しみだ。」
しかし近づいてみて改めて思う星のデカさに思わず息を飲む。地球を自分の目で直接見たことがあるわけでないので、はっきりとは言えないが地球より大きいのではないだろうかこの惑星は……
今自分がいるのは中央の赤い恒星から数えて5番目の惑星、見たところガスではなく岩や金属でできた地球型惑星のようだ。
「ふぅん、ここ大気もあるんだ。でも9割近くが窒素かな?酸素はほとんどないっぽいな。火山活動も活発だし。これメガトロンが見たら、『エネルギーの宝庫だわい、さっそくエネルゴンキューブの制作にかかるぞ』とかいいそうだな。さっそく降りてみるか。」
しかし、便利な体である。惑星を見た瞬間、大気の有無や状態などがデータとして見ることができる。無論望遠などもお手の物だ。
「ほえぇ、すっごい景色。火山噴火ってここまでのものなのか。宇宙を飛んでるときも思ったけど、スケールが違いすぎる。今までの常識が常識でなくなっちゃいそうだ。これは改めてプライマスに感謝しないと。え~と、記憶メモリに保存、保存っと。う~ん、でもこの調子で画像を保存していたらそのうちいっぱいになっちゃうか?やっぱどこかに自分専用の基地でも作らなきゃダメか。うん?センサーに反応?こっちになにかあるっぽいな行ってみるか。」
グツグツとマグマが煮えたぎる中、一つの洞窟を見つける。センサーはこの中を示していた。
「この中か、どれどれ……」
しばらく中を歩いていると、行き止まりにたどり着いた。
「あれ?もう行き止まり?でも反応はここから出ているな。もしかして壁の中の埋まってるのか?う~ん、うん!あれか!」
行き止まりの壁の高いところに見えた、光ったものに足のジェットを吹かし近づく。
「これは……チップか?なんだってこんなところに。」
その瞬間洞窟が勢いよく揺れだす。
「ヤバい、ここも噴火するのか。急いで脱出しないと。トランスフォーム!」
落ちてくる岩を上手くかわし、時には備え付けられたビームガンで撃ち落とし、時には壁におもいっきりこすりながら出口に急ぐ。
「脱ッ出!!トランスフォーム!いてて、危なかった。危機一髪ってところだな。咄嗟だったとはいえ、よく武器だせたな俺。やっぱり岩はトランスフォーマーにとっての天敵だな。うん?よく考えればグランドブリッジ開けば簡単に脱出できたんじゃあ……」
[グランドブリッジ]とはワープ移動が可能な亜空間跳躍システムのことである。起動装置を作動させて現れる緑色の光のトンネルを通り抜けることで目的地へと移動できるすぐれものだ。
「まてまてあれはちゃんと練習しないと事故ったら永遠に次元の狭間を彷徨うはめになるって説明受けただろ、俺!ぶっつけ本番にすることじゃないよな。とにかくここにはもうとくになにかありそうもないし次の惑星に飛ぶか。チップのことも気になるしな。ちゃんとした施設があれば調べられるけど……よし、トランスフォーム!」
残りの惑星も見て回ったが、似たような星ばかりですべて見て回るのに時間はそうかからなかった。なにより洞窟からの脱出の経験からか飛行技術も多少は向上し、効率よく見て回れるようになってきたことも大きかった。
「ふぅ、これでこの星系の星は全部見終わったかな。どこの星もそんなに変わらなかったし。それにしてもこの体、太陽の光でエネルギーを充電できるとは思わなかったよ。途中結構慌てたけどホントよかったぁ。さて、次の恒星に飛びますか。今度は文明があるとこだといいんだけど、そう上手くはいかないかな。グランドブリッジの練習もしないとダメだし。よし、じゃあトランスフォーム!出ッ発ーーーーッ!」
次回はちょっとだけホラーっぽい、ほんのちょっとだけね