ネイビーは自身のベッドで寝そべり漫画を読んでいた。
時間はもう夜の帳が降りきっている。現在10歳である彼にはもう眠っていてもおかしくない時間帯だ。
ましてや明日はポケモントレーナーとしてこの町マサラタウンを旅立つ日。門出を汚す寝坊など慎むべきなのだが、しばらくの間帰ってこないことを考えるとつい読みたくなってしまったのだ。
『ポケットモンスター』縮めて『ポケモン』。この世界特有の生物を指す名前なのだが、彼にとっては別の意味を持つ。
彼の前世では、ポケモンはあるゲーム群の名を指していた。彼もそれなりに遊んだ経験があり、ブラック2、ホワイト2が売り出された頃に不慮の事故で死んでしまった。
自分がいわゆる転生者だと気が付いたのは、今から5年前。この町にあるオーキド研究所で初めてピカチュウを紹介されたときだった。
正直其れまではポケモンを見ても大して思う気持ちはなかったんだと思う。マサラタウン周辺のポケモンはポッポ、コラッタ、オニスズメの3種ぐらいで、デカい
ハトとスズメとネズミぐらいの感想しかなかった。しかしピカチュウは違った。前世においてポケモンと言えばだれもが思いつくポケモンであり、現実には絶対存在しない電気を放つネズミ。それがキーワードとなって彼は前世の記憶を思い出した。
自分がどういう人間だったとか、ここが前世においてゲームの世界だったとか、どれくらいポケモンをやっていたかだとか、あまりに多い情報量にその場で気絶してしまった。幸い周りにはポケモンを見た感動のあまり気絶したと勘違いされたおかげでこの事実を知るのは彼だけだ。
「ふぅ、そろそろ寝るか」
読み終えた本を閉じ、時計を見ると10時を指していた。これ以上起きているのは明日に差し支える。
本を片付け明日の荷物に目を向ける。リュックにはすでに必要なものが詰められているので明日軽く確認するくらいである。着る服も畳んで置いてあり、その上にはトレードマークのゴーグルもあるので問題なし。
(明日…ついにあいつが貰える)
マサラタウンのトレーナーが最初に貰えるポケモン。『ヒトカゲ』、『ゼニガメ』、『フシギダネ』の三匹に、今回旅立つのがネイビーの他にも3名いるのでもう1匹いるのだが彼が欲しいポケモンはすでに決まっていた。
つい力が入ってしまった手を開き、電気を消して布団に潜り込んで目を閉じる。これ以上考えているとほんとに眠れなさそうだ。
「おやすみなさい」
自分に言い聞かせるようにそう言って、ネイビーは眠りについた。
ネイビーはゲームのポケモンは知っていますが、漫画やアニメのポケモンは知りません。
また、作者はポケダンなどの派生ゲームをやったことがないのでそれも知りません。