リリカルでなのはな凡人転生記   作:セキシキ

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何とか間に合ったああああ!

製作期間約一日の力をみよおおお!


番外編1  聖夜の一幕

クリスマス。

 

 

とある宗教の救世主の降誕を祝福する聖誕祭であり、古くは豊穣神に祈りを捧げる収穫祭でもあった。古来より人々は己が信仰する神に祈りをささげ、あるものは教会へと赴き、あるものは歌い、あるものは踊り、あるものは腹一杯に食べ、あるものは家族と共に過ごし、各々が思い思いに聖夜を過ごしていただろう。

 

が、時は下り現在、この聖なる祭りの在り方はねじ曲がり、街にはリア充が跳梁跋扈し、駅の周辺はお前それ電気代いくらかかると思ってんだよと突っ込まずにはいられないほどに眩いばかりの光に包まれ、某ネズミィランドにはカップル共が湧き出ている、唾棄すべきただの”イベント”へと成り下がっているのだ!(多分日本だけです)

 

そんなクリスマスを語るのに必要不可欠な要素。それは誰もが知っているだろう、トナカイの引くソリに跨り子供たちに夢を届けるため夜天を駆ける男ーーーーサンタクロースである。

 

彼も元々は某十字教の聖人の一人であり、プレゼントを届ける習慣は前述した収穫祭において配り歩かれた『大地の恵み』を象徴する木の実や果実などが原型になったと言われている。

それが長い年月を経て変遷をたどり、現在の子供たちにプレゼントを配る赤い服を着たおじさんとして受け継がれたのだ。

 

 

閑話休題。

 

 

まあつまり何故こんなことを長ったらしく語ったかといえば、その聖夜を過ごす幾多もの人びとの内のたった二人の一幕を、何の意味も脈絡もなく唐突に書き連ねるからである。

 

俗にいうクリスマススペシャルだと思って、是非楽しんでいって欲しい。

 

 

*    *    *    *    *    *

場所はミッドチルダの首都クラナガン。中心部から少し離れ街中の喧騒も遠く感じる場所に立つマンション、その一室である我が家で厳かに、何てものとは程遠いくらい軽いノリで、クリスマスパーティーが始まった。

 

 

「メリークリスマース!Prosit(プロ―ジット)(乾杯)!」

「メリークリスマス。……Prosit(プロ―ジット)?」

 

無駄にテンションの高い俺の声ともう一人、平坦な女の子の声ーーーシュテルの声に続き、グラス同士がぶつかり合う甲高い音が部屋に響いた。

 

……ぷはぁ!やっぱり乾杯は一気飲みに限るね!未成年だからオレンジジュースだけど!

 

「……んくっ、……んッ…………ふぅ……。」

 

一気にグラスの中身を空にした俺に続き、品よくゆっくりと中身を飲み干すシュテル。……なんでだろう、凄く色っぽいんだけど。

馬鹿な、相手は11歳ボディだぞ!ロリコンか俺は!?

 

なんて冗談はさておき。

 

「ユート、一つよろしいですか?」

「ん?なんだ?」

「さっきの掛け声は、確かドイツ語だと記憶しているのですが、なぜわざわざドイツ語で?」

「ああ、そんなことか。」

 

余りにも簡単なことだったので思わず笑みがこぼれる。

聞かれたならば答えねばなるまいて。俺は眼をカッ!して、堂々と胸を張って答える。

 

「ノリだ!!」

「つまりいつも通りということですね。」

 

せっかくドヤ顔しながら答えたのにバッサリと両断されてしまった。ユート君寂しいッ!

 

「気持ち悪いのでやめてください。」

「アッハイ」

 

 

 

 

 

気を取り直して。

 

 

「なあシュテル、これ、だいぶ量多くないか……?」

「そうですか?」

 

テーブルの上にぎっしり並べられた皿を見て思わず呟いてしまう。やばいよこれ、全部山盛りだもの。二人じゃ食いきれないぞ?一緒に作った俺が言うことではないかもしんねーけどさ。

だというのにこの子ったら、何を言ってるのかわからないと言いたげな顔で小首を傾げている。可愛いな。

 

流石にこの量はなあ……と若干引いている俺に、シュテルが笑みを浮かべながら続ける。

 

「まあ確かに、張り切ってしまったのは否定できませんね。二人きりなのだと考えると、つい止まらなくなってしまいました。」

「むむ……。」

 

くう、可愛いこと言いおって。思わずどもってしまったじゃないか。

 

そう、今日は俺とシュテルの二人だけのパーチーなのだ。

何故か両親は「せっかくなんだから、二人で楽しんでなさいね~」とか言って兄さんと弥生を連れて出かけてしまったし、俺達のデバイスもなんかデバイスたちが集まるスレみたいなのでお祝いをしているらしい。そんなのもあるんだねぇ……。

 

「でも、さすがに二人じゃ食いきれないんじゃないかな。ぱっと見5~6前はあるぞ。こりゃ急だけど、父さんたち呼んで食べるしか……。」

「…………。」

「……どうしたの?」

「…………別に、なんでもありません。」

 

……なんかじと目でこっち睨んでくるんだけど……。若干頬も膨らませてるし……。なんか、怒ってる?いや、どっちかって言うと拗ねてるのかな?

 

でも、何に対して拗ねてるんだろう。話の流れからして俺の言ったことにだろうけど…………皆を呼ぶのが駄目……?

 

…………。ああ、そういうことか……。さっき言ってたもんなぁ、『二人きりだから張り切った』って。だから嫌だったわけか……。

 

俺は体をテーブルに乗り出してシュテルの頭に手を乗せ、ゆっくりと、壊れ物を扱うように優しく撫でる。

 

「悪かった。せっかく二人きりなんだから、楽しまないとな。」

「……そう、ですね。せっかく、ですから。」

 

頭を撫でられながら少し俯いてシュテルはそう返す。注意深く見なければ分からないかもしれないが、その顔は嬉しそうに笑みを浮かべいる。

 

……うがぁ~、超はずかしい!多分今、顔真っ赤にしてるぞ俺。

 

ま、まあいいか。機嫌直してくれたみたいだし。

 

 

「さて、じゃあ食べようか!昼抜いてたから腹減ってたんだよな!」

「はい、頂きましょう。お残しは許しまへんで、ですよ?」

「うへ、まじっすか。いただきまーす。」

「いただきます。」

 

ちゃんと手を合わせてから皿の上に乗っている料理を食べ始める。

 

今日用意したのは、バケットを始めチキンやポテト、サラダやキッシュ、パイにスープなどの、およそ一般的と言えるクリスマスメニューだ。

さすがに全部作るのはきつかったので、買ってきた物もあるが殆どは二人で作ったものばかりだ。

 

作ってる途中でシュテルが、「二人の共同作業、夫婦みたいですね。」と真顔で言ってきたときには、頭が真っ白になって包丁を落としそうになったが。急にそんな事言うのはやめていただきたい。あれか?狙ってやってんのか?

 

まあそんな事はおいておこう。チキンを一口かじり、スプーンでスープを啜る。

 

「お、うまいなこれ。」

「そうですか。なら良かったです。」

 

小さくであるが、ホッと胸を撫で下ろしている。そう言えばこのスープ、シュテルが一人で作ったんだったな。

何故か料理のどれかを一人で作りたいって頼んできたから、スープの調理を任せたんだな。

 

……ふ~ん?

 

「……なにニヤニヤしてるんですか?気持ち悪いですよ」

「いや別に?嬉しそうにしてるシュテルちゃん可愛いなーって思ってだけだよ?」

「………何のことでしょうか」

 

シュテルはテーブルに身を乗り出してペシペシと俺を叩いてくる。十中八九照れ隠しだ。だって顔真っ赤だもの。

 

「ほらほら、そんなことより食べよう。こんなおいしいのに、冷めちゃもったいないって」

「……んもぅ……。」

 

むくれたままのシュテルを何とか宥め食事を続ける。

そのまま雑談をしながら食べ進めること暫し、シュテルが何故かニヤニヤしながら話しかけてきた。なんた、イタズラでもする気か?

 

「今日はクリスマスですね。」

「……そうだな。」

「クリスマスとは、その一年良い子にしていた子供たちに贈り物をする日だと聞きました。」

「……うん、そうだね。俺が言ったね。」

「というわけで、私にもあって然るべきだという結論に至りました。」

「……」

「……」

 

何かを期待するかのごとく、俺の方をチラチラと見てくるシュテル。可愛いんだけど、なんか残念な感じがするのは気のせいだろうか……。

 

「わざわざこんなことしなくてもあげるのに……。」

「なんだか、我が儘言っているみたいになっちゃうじゃないですか。」

「もう十分なってるよ……。」

「……!?」

 

なんかショックを受けているのはおいといて、椅子の下に隠しておいた小さな紙袋を取り出す。

 

「はい、プレゼントだ。」

「……開けてもいいですか?」

「もちろん。」

 

言うないなや、素早い手付きで袋を開き、中の箱を開けていく。箱の包みを破らず、丁寧に開けているのは性格の現れだろうけど、箱につけられた複雑な装飾も瞬く間に解体されている。

 

シュテルのやつ、顔はいつもと変わんないけどすごくうれしそうだなぁ。

 

「これは……。」

「どうかな?女の子にプレゼントしたことないから、自信ないんだけど。」

 

箱の中に入っていたのは十字架の形をしたペンダントだ。中央には小さな水晶がはまっている。

 

 

「……いえ、すごく嬉しいです。……本当に、ありがとう、ございます……。」

 

 

シュテルはそう言うと、ペンダントを本当に大切そうに胸で包んでいる。

気に入って貰えて何よりだ。っと、そうそう、言い忘れてた。

 

「そういうやつってペアルックが喜ばれるって聞いたから、もう一個買ったの袋に入ってるんだけど……。」

 

どうする?と聞こうとした瞬間、シュテルが袋からもう一つのペンダントを出して俺の手に握らせていた。

 

な、なんなんだ今の……!動きが全く見えなかったぞ!?

 

「ユートとは思えない素晴らしい気遣いです。……ふふっ、お揃いですね。」

「あ、ああ。そうだな……。」

 

驚きすぎて返事がおざなりになってしまったけど、嬉しそうだからいいか……。

 

 

さて、少し押されてしまったが、こっからは俺のターンだ。

 

「さてシュテル。俺があげたと言うことは、次は貰う番と考えてよろしいかな!?」

「なるほど、選手交代、と言うわけですね。残念ですが、私の準備は万全ですよ?」

「ほう、何をくれるというのかな?」

 

テンションが上がりすぎて変な方向へ行っている俺を尻目に、シュテルは脇の袋をごそごそとまさぐっている。

 

「っと、ありましたね。……よい、しょと」

「んな!?」

 

シュテルが袋から取り出し、頭に着けたのは……ね、ネコ耳だとぅ!!?

 

「男の人は、こう言うのが好きだと聞きましたので。」

「まあ、そうなんだか……。」

 

これはなかなか破壊力高いぞ……。このタイミングでこれを出してくるとは、シュテル、恐ろしい子……!

 

「……、にゃん♪」

「!!!!」

 

ネコ耳をつけたままネコのポーズ……しかもノリノリで鳴き声もだと……?や、やべぇ。すげー可愛い。思わず抱きしめて撫で回したくなった。

 

「ユート、鼻血でてますよ。」

「……あ、ほんとだ。」

 

興奮しすぎて鼻血って、こういうの本当にあったんだ。吃驚だわ。

 

「ふふっ、可愛いですね。ユート?」

「……お前に言われたかねぇよ。」

 

くそ、なんでだ。すごく艶っぽく微笑んでて、顔を直視できない……!

俺よりもこいつの方が一枚上手だったってことだろうか。

 

「ほら、早く食べましょう?まだケーキもあるんですよ?」

「しまった、完全に忘れてた。食べちまうか。」

「はい♪」

 

さっきの意趣返しなのか、似たようなこと言って食事を続けるシュテル。本当に楽しそうですね。

 

……早くたべよう。ケーキホントに残ってるし。残したらいけない。

 

 

「ユート?」

「……なんだよ。」

 

突然顔の目の前までやってきたシュテルにキョドりながら何とか返事を返す。

 

 

「今夜は、寝かせませんよ?」

 

 

「……え。」

 

 

 

 

その後、飯を食い終わった後、シュテルのコスプレ大会が始まり、そのあまりのかわいさと興奮の性で本当に寝れなかったのは、また別の話である。

 

 

 




ギリギリ間に合った……。

ほんとはもっと、シュテルにミニスカサンタ着せたりしたかった……!でも、時間が足んなかったんだよぉ!

一週間じゃ間に合わないとか思って諦めた過去の自分を殴りたい。

というか今バイト中なのでこれくらいで。少し遅くなったけど、メリークリスマス!
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