短編 性転換物   作:3442

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女装家編の山城が、主人公の話です。
山川達と別れた後の話。


番外編 山城編

「じゃあ。帰ろうか。雛ちゃん」と山根さんが言った。

「はい。 山城さん。また」と山川さんが言った。

「うん。また」と僕は言った。

二人は、急に仕事が入っただの、ライブに友達と行くだので、帰ってしまった。

 彼女達は、今日の昼にラーメンを食べるまで、僕と同じ30代前半で、女装を趣味としていた男だった。

 しかし、昼食にラーメン屋に入り、ラーメンを食べている途中に、山根さんは、24歳の白百合総合病院の看護師の女性に、山川さんは、15歳の白百合女学館高校の女子高生に変わってしまった。

 僕はというと、山川さん曰く、服装のせいで女装した男の姿のままなのだろうと言われた。

 中性的な顔になり、女装して外出してもおかしくない顔になった。

 僕のラーメンを食べに行った姿は、ボクセラという部屋着用の男性用セーラー服を着ていた。

 山川さんが言うように、部屋着用の男性のセーラー服を着ていたということで、男のままということなのだろうか。

 明日、あのラーメン屋に行って確かめるか。

 レディーススーツを持ってきてあるから、それを着て行ってみるか。

 二人は、心まで、女になってしまったが、僕の意識は、前と変わらないようだ。

 二人と別れた後は、夕食を部屋で食べ、早めに寝た。

 

翌日。

 目が覚めて、髭を剃ろうと洗面台に向かって鏡を見て、髭が全く生えていない事に気がついた。

 永久脱毛でもしたのだろうか?

 僕は、朝食のバイキングを食べ、女物の服しかないから、それを着るしかなく、女装してチェックアウトして、仕事仲間への土産を買いに土産屋に入り、土産を買って店を出た。

 その後、昨日入ったラーメン屋に行こうと思って、向かった。

 しかし、昨日あったラーメン屋は無く、空き店舗になっていた。

「何故?」と僕は呟いた。

 近くを通った地元の人だろう女性に、僕は、「すみません。ここにあったラーメン屋は、どこに行ったんですか?」と聞いた。

「ラーメン屋?ここに、ラーメン屋は、有りませんよ」と女性が言った。

「え?でも、昨日は、確かにここの一階にありましたよ」と僕は言った。

「ここの一階は、大分前から、空き店舗よ。変な()ね」と女性が言った。

「そうですか。ありがとうございます」と僕は言った。

「いいえ。どういたしまして」と女性が言って、僕の元から離れていった。

 僕は、家に帰るために駅に向かった。

 家に帰る途中に、何度も女だと間違われ、男にナンパされ、うんざりしながら、家に帰った。

 

 家に着き、扉を開け、玄関に置いてある靴を見て、驚いた。

 スニーカーは、あれど、パンプス、ハイヒールやブーツはあるが、仕事に履いていた、革靴が一足もなかった。

 部屋に入って、クローゼットを開けると、女物の服とレディーススーツしかない。

 下着の入っている、タンスを開けても、女物の下着しかなく、男物は、一つもなかった。

 昨日、家を出るときは、男物のスーツも服も下着もあった。

 しかし、今は、一つもない。

「何故?」と僕は呟いた。

 僕は、ブラとウィッグを外し、女物のジーンズと男に見える服装をして、メンズスーツを買いに行った。

 スーツを買いに入った店の店員に、メンズスーツを選び、ネクタイを選んでいたら、女と間違われたのか、「彼氏か何かにプレゼントですか?」と言われた。

 僕は、ムッとして、「僕は、こう見えても男だから、自分用です」と言った。

「これは、失礼しました」と言って、店員は離れて行った。

店員に、「試着したいんですが、大丈夫ですか?」と僕は言った。

「大丈夫ですよ」と店員は言った。

 試着してみて、思った。

 まるで、背の高い男装した女性だ。

 だが、男だから、メンズスーツを着て当たり前だ。

 だから、僕は、スーツ、ワイシャツ、ネクタイ、革靴と靴下を買って店を出た。

 その後、服を買いに、店に入り、トランクスや男物の服を買って、家に帰った。

 ここでも、彼氏へのプレゼントかと聞かれ、うんざりした。

 家に帰り、社員証を見たら、名前が山城勇気から山城優樹(ゆうき)に変わっていて、レディーススーツを着て、ウィッグを被って、ナチュラルメイクをした今の僕が写っていた。

 それは、まるで、普段から女装しているようにしか見えなかった。

 

 翌日。

 僕は、メンズスーツを着て、会社に向かった。

 男装した女性に見られているのだろうか?通行人や、電車に乗っていた人や前に座っている男性に、チラチラ見られていた。

 会社に入って、仕事仲間が驚いた表情をしていた。

「お前。山城か?」と上司が驚いた表情で言った。

「そうですが。それが、どうかしたんですか?」と僕は、上司に尋ねた。

「お前が、うちに入社して、ウィッグ無し、スッピンとメンズスーツを着て出社して来るなんて、初めてじゃないか」と上司が言った。

「え?いつもそうだったじゃないですか?」と僕は言った。

 今日一日、仕事仲間や得意先に同じことを言われた。

どうやら、僕は、常に女装して仕事をしているようだった。

 一昨日までは、女装するのは、家に居るときのみだった。

 そういえば、朝、部屋を出て、ごみ置き場にごみを出した時、アパートの大家さんに、「あなた。優樹さんに似てるけど、優樹さんの弟さんかお兄さんですか?」と言われた。

「いえ。本人ですけど」と僕は言った。

「あら。ごめんなさい。女装してないし、化粧してないし、髪型も違うから、わからなかったわ」と大家さんが言った。

「え?僕が、女装しているのをご存知なんですか?」と僕は言った。

「だって。契約したとき、男性と書いてあったし、レディーススーツで、いらしゃったから。そういう方なのかな?と思っていたから」と大家さんが言った。

「そういう方って、僕をニューハーフか何かだと思っていたんですか?」と僕は言った。

「え?違うの?」と大家さんが言った。

「ただの女装好きなだけです」と僕は言った。

「そうなの。そろそろ、会社に行かなくていいの?」と大家さんに言われた。

「あ。じゃあ。いってきます」と僕は言った。

「いってらっしゃい」と大家さんは言った

 

 これから、僕は、女装して毎日外に出ないといけないのか?

 たまの女装だから、気分転換できたが、毎日となるとストレスが溜まってしまう。

 これからは、男物を着るのは、家しかないのか、などと考えていた。

 これから、憂鬱な毎日が続く。




後日談として、実家に帰って、昔の写真や卒業アルバムを見て、小さい頃から女装をしていたことを知るのだった。
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