短編 性転換物   作:3442

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女装した山城に一目惚れした後輩の男と山城の話。


番外編 山城編2

 僕が、一年中女装しなければいけなくなってから、数ヵ月がたった4月に新入社員が入ってきた。

 山崎(やまさき)(たかし)という有名大学を卒業して我が社に入社し、僕の所属する部署に配属された新入社員だった。

 新人研修で僕が指導することになった。

「今日から、うちで働くことになった、山崎貴君だ。山崎君挨拶を」と上司が私達に紹介した。

「今日からお世話になります、山崎貴です。宜しくお願いします」と山崎君は挨拶した。

 僕達は、パチパチと拍手をした。

 一通り、職員の自己紹介が終わり、

「指導役は、山城に頼んである。わからないことがあったら、()に聞くように」と上司が言った。

()?ですか?()()じゃなくて?」と山崎君が首を傾げて言った。

 女装しているし、中性的な顔だから女と間違えたのだろう。

「ああ見えても山城は、男だよ」と上司が言った。

「え? エーッ」と山崎君が叫んだ。

 山崎君は、僕の目の前に来て、「宜しくお願いします。山城さん」と山崎君は、私に右手を差し出して挨拶をした。

 僕は、彼の右手を握り、「よろしく」と挨拶した。

 これが、僕と山崎との出会いだった。

 

 研修も大詰めとなったある日。

 僕達は、営業のため、外回りをしていた。

「もうすぐ、お昼なので、どこかでご飯食べませんか?」と山崎が言った。

「そうね。どこかで食べましょう」と僕は返事を返した。

 私は、女言葉も親から、強要されていたみたいで、会社でも入社時から女言葉で話していたという。

 実家に帰った時に、男の格好で親と会ったら、「どうしたの?優樹、男の格好なんてして」と母親に言われたのだ。

 なぜか母親は、僕が女装をしているのを知っていた。

 女装を始めたのは、会社に入ってからなのにと僕は思いながら、

「何で、僕が、女装しているのを知っているんだよ」と僕は、母親に言ったら、

「どうしちゃったの?男言葉まで使って。貴方があまりにも可愛かったから、生まれてすぐに女装させて、学校に取り合って、女装して通えるようにしたじゃない。それに、無駄毛が生えないように、永久脱毛させたじゃない」と母親に言われたのだ。

「え?」と僕は、母親の言葉に驚き、階段を駆け上がり、自分が使っていた部屋に向かい、幼稚園から高校までの卒業アルバムを見た。

 そこには、女子の制服や服を着た若い頃の自分が写っていたのだ。

 それ以来、実家や地元に帰った時も、女装を強いられることになったのだ。

 などと回想していたら、

 山崎は、「ここのラーメンでいいですか?」と僕に(たず)ねた。

「いいわよ」と僕は答えて、二人でラーメン屋に入った。

「いらっしゃい。二名様ですね。お好きなお席にどうぞ」と店主が言った。

 店主の方を見ると、見覚えのある老人がいた。

 ここって。僕をこんな目に遭わせたラーメン屋?

「お久しぶりです。探していたんですよ」と僕は言った。

「以前、うちのラーメンを食べたことがあるんじゃな。うちは、基本的に、一人一回なんじゃが…。連れが居るなら、仕方ない」と店主が言った。

「山城さん。来たことあるんですか?」と山崎が言った。

「ええ。数ヵ月前に一度。でも、入った店は、ここではなかったわ」と僕は答えた。

「その時は、普通のサラリーマンでね、家のみの女装だったんだけど、この店に入ったあと、一緒に入った人が、服装で女装した男性のままなのだろうと言われたわ」と僕は答えた。

「服装?ですか?他の人は、どんな服だったんですか?」と山崎が言った。

「女装仲間と入ったの。一人は、ナース服。もう一人は、白百合女学館の制服だったわ。白百合総合病院の看護師と白百合女学館の看護科の生徒になったの」と僕は答えた。

「その時の山城さんの服装はなんだったんですか?」と山崎が言った。

「ボクセラという男性の部屋着用のセーラー服。あの時、レディーススーツを持っていたから、それを来てくれば、私も女性になっていたかもと思ったわ。だから、この店を探していたの」と僕は答えた。

「家に帰ったら、何もかもが変わっていたわ。服、靴、下着も全部女物に変わっていたし、周りの人の記憶も。四六時中女装する男になっていたの」と僕は続けた。

 僕達は、ラーメンを注文して食べ始めた。

 僕は、『今度こそ、完璧な女性になりたい』と願った。

「山城さん。俺、山城さんを初めて見た時、一目惚れしました。俺と付き合ってください」と山崎が言った。

「貴方も知っている通り、私は、男。性の対象も女性よ。だから、山崎とは、付き合えない。ごめんなさい」と僕は言った。

「知っています。だから、この店に来たんです。貴方を女性にして、俺の彼女にするために」と山崎が言った。

「え?何て願ったの?」と僕は訊ねた。

「俺は、『山城さんを女性にして、俺の彼女になってほしい』と願ったんです。山城さんは、俺の好みのタイプだったので、男性だと聞いて、驚きました」と山崎が言った。

「私なんかでいいの?私、今年、35よ」と私は言った。

「はい。改めて言います。俺と付き合ってください」と山崎君が言った。

「はい。山崎君が良ければ、宜しくお願いします」と言って、私は、右手を差し出した。

 山崎君の呼び方が、山崎から山崎君に、変わっていることに気づいた。

「こちらこそ、宜しくお願いします」と言って、私の手を握った。

 私と山崎君は、こうして付き合い始めた。

「山城さん。良かったの。あんたは、彼に感謝するんじゃよ。何せ、うちは、一人一回じゃからの。お主が女性になるには、他の誰かが願わなきゃいけんかったからの」と店主が言った。

「はい」と私は、返事をした。

「お幸せに」と言って、店主は、離れて行った。

 こうして、私は、無事に女性になることができた。

 この数年後、私達は、結婚することになる。

 あの時、集まった、山根さんと山川さんとは、男だった時は、あの日以来会っていなかったが、暇を見つけては、3人で会っている。




山城編の後日談で、女性になる話を書きました。
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