私が、彼氏の山崎君と休みの日にランチに行くため、待ち合わせ場所に向かって歩いていた時、前方から、懐かしい顔の二人が歩いてきた。
数ヵ月ぶりに会う、山川雛、山根南の二人だった。
「あら。山根さんと山川さんじゃない。久し振りね」と私は二人に声をかけた。
「え?」と二人は驚き、私の顔を見た。
「あの。もしかして山城優樹さんですか?」と山川さんが言った。
「え?雛ちゃん?山城優樹って。数ヵ月前に会ったあの」と山根さんが言った。
「何となく面影がありましたので」と山川さんが言った。
「でも、雰囲気が変わったような」と山根さんが言った。
「ふふ。その山城優樹で、合っているわよ。今は、あのラーメン屋の力で、完璧な女性になったの」と私は言った。
「え?でも、あのラーメン屋の店主、願いを叶えられるのは、一人一回だけだと言ってましたよね。南さん」と山川さんが山根さんに訊いた。
「そうね。確か、そんなこと言っていたわ」と山根さんが言った。
「あら。二人ともあのラーメン屋にもう一度行ったことがあるの?」と私は二人に訊いた。
「数ヵ月前。山城さんと別れた後、駅に向かう途中で、屋台を引いた店主と会ったんです。その時に聞きました」と山川さんが言った。
「私、一年中女装しなければいけなくなった後、あのラーメン屋を探していたの。もう一度、あのラーメンを食べて、女性になるために。でも、見つからなかった」と私が言った。
「そうだったんですね。でも、もう一度ラーメン屋見つけても、一人一回だけですから、女性には、なれないはず。性転換手術でもしたんですか?」と山根さんが言った。
「いいえ。私の部署に配属になった、新入社員が女装した私に一目惚れをして、あのラーメン屋に一緒に入って、彼が、『私を女性にして、彼女にしてほしい』と願ったみたいで、私は、完璧な女性になれたの」と私は言った。
「その新入社員さん。山城さんが女装した男性って知っていたんですか?」と山川さんが言った。
「私が彼の指導役になったの。その時に、上司が、『わからない時は、彼に聞くように』と言った後、彼が、『彼?ですか?彼女じゃなくて?』と上司に聞いて、男だと知って驚いていたわ」と私は言った。
「山城さんの女装姿は、一見すると女性にしか見えませんでしたから」と山根さんが言った。
「と・こ・ろ・で。山城さん」と山根さんがニヤニヤしながら言った。
「な。何よ」と私は言った。
「今日は、おめかししてますが、その新入社員の彼氏さんとデートですか?」と山根さんはまだニヤニヤしながら言った。
「そうなのよ。これから、彼とランチなの」と少し顔を
「南さん。長く引き留めるのもあれなので、私達、そろそろ行きませんか?」と山川さんが言った。
「そうね。じゃあ、山城さん。お幸せに」と山根さんが言った。
「また、3人で集まりませんか?彼との
「そうですね。また、3人で集まりましょう。山城さん。また会いましょう。早く行きましょ。南さん」と言って、山川さんが手を振って、私のもとから離れて行った。
「あ。雛ちゃん、待ってよ」と言って、山根さんも離れて行った。
「じゃあね。二人とも」と言って私は、手を振った。
私は、二人と別れ、彼との待ち合わせ場所に急いだのだった。
この後、3人で会ったときに、山城も、二人を下の名前でちゃん付けで呼ぶようになります。
ただ、二人からは、優樹さんと呼ばれます。それは、3人の中で一番年上だからというのと、山川が、山根をさん付けで呼んでいるからです。その成り行きで、山根も優樹さんと呼ぶようになります。