短編 性転換物   作:3442

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ストーカー編の有実視点です。
残酷な描写があります。


ストーカー編 番外編 有実の願ったこと

 私は、県内でも有名な女子高に通っている。

 最近、ストーカーに悩まされている。

 県内でも有数な進学校に通う男子高生につきまとわれ、私の家まで突きとめられ、身の危険を感じた私は、何でも願いが叶うラーメン屋に彼を誘い込み、私は、ストーカーを退治することにした。

 

 私は、背後に感じる気配で、ストーカー男が今日もいると感じ、最寄りの駅近くにある、何でも願いが叶うラーメン屋に入ることにした。

「いらっしゃいませ」と店主の老人が言った。

 私は、窓際のテーブル席の入り口を背にした席に座り、「塩ラーメンください」と店主に言った。

 私は、注文したラーメンが来るまでの間、大好きな作家の小説を鞄から出して、読んだ。

 しばらくして、ストーカー男が、入ってきた。

「いらっしゃいませ」と店主が言った。

 私は、心の中で、『来た。罠にかかったわね』と言った。

「醤油ラーメンください」とストーカー男が言った。

 注文したラーメンが来て、鞄に小説を仕舞い、食べ始めた。

 私は、心の中で、『私を付け狙うストーカー男に、私と同じくストーカーされる恐怖を味あわせたい』と願った。

 ラーメンを食べ終わり、私は、会計のため、レジに向かう。

 入り口付近の窓際の席(ストーカー男の座った席)に、私そっくりで、うちの制服を着た女子がラーメンをすすっていた。

 その席の脇に、私と同じブックカバーにかけられた本が置いてあった。

 顔を見て、私の双子の姉の有花だと思った。

「あれ?有花じゃない。有花もラーメン?」と私が言った。

「え?」と言って、有花は、顔を挙げ、不思議そうに私を見た。

 私は、「有花、一緒に帰ろう」と言い、有花の前に座った。

「何言ってるんだよ。俺は、ゆかじゃない、有次だ」と有花は言った。

「何言っているの?有花。私たち一卵性の双子でしょ。貴女は、姉の有花で、私は、妹の有実でしょ」と私は言った。

「え?一卵性の双子?」と言って、有花は窓を見た。

「え?何で?俺が彼女そっくりになっているんだ。俺は、『彼女と一緒になりたい』と願ったのに」と有花が言った。

 そのやり取りを聞いていた店員が、「『彼女と一緒になりたい』と願ったからじゃよ」と言った。

「え?どういうことですか?」と有花は訊いた。

「解釈によっては、容姿や趣味嗜好が一緒になりたいととれるんじゃよ。それに彼女の願いも一緒に叶えた形じゃよ」と店員が言った。

「え?彼女の願い?どういう願いだったんですか?」と有花は、店員に訊ねた。

「それは、プライバシーの問題で、言えないんじゃよ」と店員が言った。

「ラーメン延びちゃうから早く食べなよ」と私は言った。

「あ。うん、そうだね」と有花は言った。

 店を出る頃には、ストーカー男は、心身共に私の双子の姉の有花になっていた。

 私たちは、仲良く帰宅した。

 

 いつもは、私をストーカー男から守るため、二人で学校に通うが、有花は、今日は、日直だからということで、一人で、先に学校に向かった。

 私たちは、朝が弱いため、有花は、私を起こさず、先に家を出たという。

 私が家を出るときに、鞄を見ると鞄につけられたキーホルダーに『YUKA』とローマ字で掘られてあった。

 有花は、間違えて私の鞄を持っていったのだ。

 私は、有花の鞄を持って、学校に向かった。

 途中、人だかりが出来ていた。

 私は、なんだろうと思いながらも横を通り過ぎようとした時、人だかりの中にいた近所のおばさんが、私に気づき声をかけてきた。

「あ。有花ちゃん。大変よ。有実ちゃんが、刺されたの」とおばさんは、私を有花だと思ったらしく、声をかけた。

「え?有花が刺された?誰に?」とおばさんに訊いた。

「え?貴女、有実ちゃんなの?だって、持っていた鞄に『YUMI』って掘られたキーホルダーがついていたから、刺されたのが、有実ちゃんだと」とおばさんが言った。

 嫌な予感がして、私は、「通してください」と言って、人だかりを掻き分け、先頭に出た。

 そこには、有花が路上にうつ伏せで血を流し倒れていた。

 その傍らには、折り重なるように、私を付け狙っていたストーカー男が一緒に血を流し倒れていた。

 状況をみる限り、有花を刺して、自分も刺したようだ。

 そして、有花は、私と間違われ、刺されたんだと。

「ゆ、有花!イヤーッ!」と私は叫んだ。

 その後、「この男の人、私を付け狙っていたストーカーです」と私は言った。

「有花!ごめんね、私が一緒に登校していれば。こんなことにならなかったのに。ごめんね。ごめんね」と私は、有花に謝り続けながら、その場に座り、顔を押さえて泣いた。

 近所のおばさんが、「有実ちゃん。家には、連絡したから、お父さんとお母さんが来るって」と言った。

 数分後、パトカーと救急車が到着し、有花の死亡が確認され、ストーカー男は、意識不明の重体で、病院に運ばれた。

 私は、お母さんの胸の中で、何度も「有花がこんなことになったのは、私のせいだ。私の」と泣きながら言った。

 有実のせいじゃないと何度も両親が言った。

 その都度、「私が一緒に登校していたら、有花がこんなことにならなかったのに」と私は泣きながら言った。

「山岸有実さんですね。ちょっとお(たず)ねしたいことがあるんですが…」と誰かが言った。

「ちょっ。ちょっと待ってください。今、娘は取り乱していますので、後にしていただけませんか?」とお父さんが誰かに言った。

 私は、ハンカチで涙を拭い、「お父さん。私は、大丈夫だから。有花を刺したのは、私を付け狙っていた男です。有花や家族、友達には、相談していて、警察にも相談していました」と私は、と泣きながら、途切れ途切れお巡りさんに話した。

「じゃあ。なぜ、有花さんは、あなたの鞄を持っていたのですか?」とお巡りさんが訊ねてきた。

「たぶん。今日は、日直だからと早めに出たので、急いでいて私たちの鞄を間違えたんだと思います」と私は説明した。

「なるほど。今日は、このへんにしますが、後日詳しい話を聴く事があるかもしれませんが、宜しいですか?連絡先を教えていただけますか?」とお巡りさんが言った。

 私は、コクリと頷いた。

 それを見たお父さんは、「わかりました」と言って、お巡りさんにお父さんの連絡先を教えた。

 今日は、お父さんと私は、仕事と学校を休んだ。

 葬儀、告別式の時も、自分を攻め、ずっと泣いた。

 

 その後、有花を刺した犯人は、傷が浅かったらしく、意識を取り戻し、有花殺害容疑とストーカー規制法違反の容疑で逮捕された。

 ストーカー男は、自分にも刺したが、死ぬ恐怖から、浅くなり、一命をとりとめたのだろうということだった。

 私はというと、精神的に病み、高校を中退し、自殺を図り、有花の後を追った。

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