俺たち夫婦は、娘がほしいと願っていたが、息子の優翔が生まれてから、子宝に恵まれなかった。
明日、一つ上の兄貴と久し振りに会うことになっている。
翌日の昼前に俺たちは、落ち合い、近くにある何でも願いが叶うラーメン屋に入った。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」と店主が言った。
俺達は、ラーメンを注文し、届いたラーメンを食べ、妻の
食べ終わり、兄貴の方を見ると、高校生くらいのショートヘアーの女の子が座って、ラーメンのスープを飲んでいた。
スープを飲み干したその女の子は、「上手かった」と言った。
「こら。優理。女の子が、「「上手かった」」なんていうもんじゃない」と俺は言った。
ん?ゆうり?ってと俺は思った。
「何言っているんだ。尚樹。俺は、裕樹で、お前の兄貴だろ」とキョトンとした顔で娘の優理は言った。
どうやら兄貴は、俺の娘になったようだった。
何故、兄貴が高校生くらいの俺の娘に?と思いながらも、
「何言っているんだ。優理。お前は、俺の娘だろ」と俺が言うと、
娘の優理は、「はあ?尚樹の娘?お前ん家、中一の息子の優翔一人だろ」と言った。
そう。俺の家は、さっきまでは、息子の優翔一人だった。
「優理。父親に向かって、お前とか、尚樹と呼ぶんじゃない」と言って、俺は娘の頭を軽く叩いた。
「痛いな。何すんだよ」と娘は、頭を押さえて言った。
「優理。お前さ、今年、高校受験なんだから、少しは、女の子っぽくした方がいいぞ」と俺は言った。
「え?高校受験?」と優理は言った。
「何言っているんだ。中三なんだから、当然だろ?」と俺は言った。
「え?中三?」と優理は言った。
「それに、志望校、聖愛女子だろ。少しは、女の子っぽくしないとな」と俺は言った。
「そろそろ、帰るぞ」と言って、俺は、伝票を持って、席を立った。
「あ。うん」と言って、優理も席を立った。
俺が、会計を済ませていると、「お手洗いをお借りします」と優理が言ってトイレに向かった。
「うわーっ」とトイレから優理の叫び声が聞こえ、トイレの方に俺は向かった。
次に、「お、俺、女の子になってる」と叫んでいるのが聞こえた。
トイレの前に着き、俺は、「トイレで、何を叫んでいるんだ。優理」と扉を叩きながら言った。
「う、ううん。何でもない」と優理が返事した。
店を出ると、雲行きが怪しくなってきたため、「雨が降ってきそうだから、早く帰ろ。降られる前に、洗濯物を取り込まないと」と優理は、言って、俺の車に駆けていった。
「ああ」と言って、俺は、優理の後を追った。
優理は、妻が仕事の時は、料理を作ったりして、妻の手伝いを小さい時からしているしっかりした自慢の娘に成長した。
裕樹が女性になったのは、弟の尚樹が願った、妻の手伝いをする優しい娘がほしいと言う願いからです。