短編 性転換物   作:3442

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勇次と優奈が付き合って初めてのお正月の話。


アラフォー兄弟編 番外編 初詣

 勇次君と付き合い始めて初めての大晦日。勇次君からラインで明日、一緒に初詣行こうと誘いが来た。

 もちろん。オッケーを出す。

 母に、「明日、勇次君と初詣行くことになったから、私抜きで初詣に行って」と伝えると。

「あら。よかったじゃない」と母親。

「じゃあ。あれを着ないとね」とお姉ちゃん。

 あれ?と疑問に思っていると、

 母は、着物と草履を出してきた。

「え?これで行けと言わないよね?」と私が言うと、

「何言っているの、これ着ていくに決まっているじゃない。ねぇー」と母と姉。

「いつもと違う優奈を見せて惚れ直させるのよ」と姉。

「あと、勇次君のお母さんに、あなたに、私の着物着せていくと伝えたから」と母。

「え?いつ?」と私。

「さっき着物取りに行った時に」と母。

「勇次君のお母さん、勇次君にお父さんの着物着せるって言っていたよ」と母。

「じゃあ。なおさら着物じゃないと釣り合わないわね」と姉。

「何か、着物着ていくようにどんどん外堀埋めてない?」と私が文句を言うと、

「だって彼氏が着物で彼女が普段着って釣り合わないよね?逆なら分かるけど」と姉。

「分かった。着ていけばいいんでしょ。着ていけば」ともうやけくそになる私。

 どこかに電話する母。

「あ。お義母さん?今から、うちに来れますか?優奈に試しに着物着せたいので。サイズ合うかなどの調整で。わかりました。あ。お義父さんも来る?お待ちしています」と母。

 電話をきり、「おばあちゃん、着付けに来てくれるって」と母。

「え?もしかして、今も着るとか言わないよね?」と私

「着るに決まっているでしょ。サイズ合わせないといけないし」と母。

「明日でよくない?お昼に行くわけだから」と私が言うと、「明日じゃ遅いの。髪のセットとかもあるし」と母。

「明日、朝イチで、おばあちゃんたち来るって言うから」と母。

 そして、本当におじいちゃんとおばあちゃんが来たのだった。

 2人は、美容師をしている。

「どんな髪型にする?」と母に聞くおじいちゃん。

 いろいろ髪飾りを持ってきていた。

 おばあちゃんはというと、私に淡々と着物を着せていく。「ちょっと長いわね。ここらへんね。ねえ。縫っちゃっていい?」とおばあちゃんが母に聞く。

「ええ。優奈にあげるつもりだから、大丈夫です」と母。

「じゃあ。いったん脱いで。ミシンある?」とおばあちゃん。

「今、お持ちします」と母。

 着物の丈を直している間、おじいちゃんが髪飾りを刺す。

「これがいいと思うけど、どうだ母さん」とおじいちゃん。「いいんじゃない」とおばあちゃん。

「よし、あとは、ウィッグで髪を盛ってと」とおじいちゃん。

「母さん。こっちは、出来たぞ」とおじいちゃん。

「こっちも裾直し終わったから。じゃあ。着物着つけるから、あなたは、あっち行っていて」とおばあちゃん。

「出来たわよ。入って来て」とおばあちゃんがおじいちゃんに声をかけた。

 母がさりげなく写真をスマホでパシャリ。

「この写真を勇次君のお母さんにこの姿で行きますと送信と」と母。

「ちょっと。まだ着物で行くなんて、言ってないのに、何勝手に送っているのよ」と私。

「さっき了承したよね。ほら」とスマホでさっき私が発言した内容を再生する姉。

〈分かった。着ていけばいいんでしょ。着ていけば〉と流れた。

「何さりげなく録音しているのよ」と私。

「女に二言はないよね」と姉。

「それ男だから」と私は即突っ込む。

「おばあちゃん。少しお化粧したほうがいいんじゃない?」と姉。

「そうね。目立たないくらいにお化粧しましょう」とおばあちゃんが、なぜか化粧道具まで持参していた。

 前日のはずがなぜか、当日感が凄かった。

「ねえ、このまま、午前零時前に行っちゃえば。着物着たんだから」と姉。

「未成年だけで深夜行かせるのは、危ないから無理ね」と母。

「あ。勇次君のお母さんからラインだ。あら。勇次君も似合うわね」と母

 優奈のスマホに勇次からラインが届く。

〈明日の初詣、優奈の着物姿楽しみにしている〉との内容だった。

「これで完全に明日、着物確定じゃん」と私

 正月の買い出しから帰ってきた父。

「あ。父さん、母さん来てたんだ。懐かしい着物だな。付き合って間もない頃、初詣で着ていたやつだよな」と父。

「ああ。邪魔しているよ」とおじいちゃん。

「おかえり。そうよ。これ、私の母のお下がりで、孫に来てもらって喜んでいると思うわ」と母

「さすが父さん達だ。見違えるくらい綺麗だぞ」と父

「褒めても何も出ないわよ」とおばあちゃん。

「勇次君も驚くだろうな」と父。

「明日の反応が楽しみね」と母。

 そんなこんながあり、なぜか、おじいちゃんとおばあちゃんが泊まっていくことになった。

「明日は、もっときれいにするぞ」となぜか手を合わせオーと言って張り切る2人だった。

「なんで皆、私の意見無視するの?」と私。

 そんなこんなで、夜は、更けていった。

 翌朝

 なぜか、祖父母二人に朝早く起こされた。

 しかも、もう二人来ていた。

 母方の祖父母。

「あけましておめでとうございます」とあいさつする私。

 台所には、おせちの準備、お雑煮の準備をする母と姉。

「あけましておめでとう」と母方の祖父母。

「なんでいるんですか?」と私。

「だって。優奈ちゃんが私の着物着ると聞いたら、見てみたいじゃない?」と母方の祖母。

「実は、あの着物、俺たちのお見合いの日に着ていた着物でな」と母方の祖父。

「おせち食べたら、準備に取り掛かるからね」と父方の祖母。

「え?行くのお昼すぎだよ。早くない?」と私。

「駄目だ。お前を綺麗にするためにいろいろ試す必要があるからな。髪飾りとか、髪型とか」と父方の祖父。

 よく見ると、全身が映る鏡と椅子があった。

 なんか、父方の祖父母二人に変なスイッチが入ってしまったようだった。

「これ、私がお見合いの時に着けた、髪飾りこれも候補に入れてね」と母方の祖母。

「あ。これ。私が初めてお父さんと初詣に行った時の髪飾り。まだあったんだ」と母。

「おせち作り終わったから、食べましょう」とテーブルにおせちとお雑煮を並べている姉。

 並べられたお雑煮の数を数えると人数分ある。

 朝ごはんが終わると、私は、姿見の前にある椅子に座らせられた。

「じゃあ、始めるぞ。まずは、ウィッグをつけて、髪をまとめるぞ」と父方の祖父。

 違うところでは、姉、母、父、母方の祖父母、父方の祖母で髪飾りを選んでいた。

 ここまで来ると逃げられないと悟った私は、流れに身を任せることにした。

「髪のセット終わったぞ。髪飾り決まったか?」と父方の祖父

「これがいいと思う」と父方の祖母。

「柄と一緒だな。じゃあ、刺すぞ」と父方の祖父。

「今のうちにトイレ済ませたほうがいいわよ。着物だと用をたすの大変だから」と父方の祖母。

「まだ早いから大丈夫でしょ。とお昼に勇次君、迎えに来るらしいから」と私。

 勇次君が来る時間の1時間前に私は、無理やり着物を着せられ、化粧も施されるのだった。

 そして、勇次君が来た時、親戚が大勢いることに驚いていた。

「あの。何かありました?こんなに人集まって」と玄関の靴を見て勇次。

「あけましておめでとう。勇次君。これ、優奈を綺麗にする大作戦に集まった人たち」と姉。

「そ、そうですか。あけましておめでとうございます。優理さん」と勇次。

「優奈。勇次君来たよ。早く出てきなさい」と姉。

「ねえ。本当にこれで行くの?草履絶対歩きにくいって」と私。

「何言っているの?勇次君待たせる気?誰か優奈連れてきて」と姉。

「お待たせ。勇次君。あけましておめでとう」と母が私の手を引っ張って玄関に連れて行く。

「あけましておめでとうございます。おばさん」と勇次。

「じゃあ。優奈をよろしくね」と姉。

「あけましておめでとう。優奈」と勇次。

「あけましておめでとう。勇次君」と私。

「似合っているじゃん。化粧の匂いするから、化粧しているのか?」と勇次

「うん。おばあちゃんに施された」と私。

「じゃあ。行こうか」と私の手を握って言う勇次君。

「う。うん」と言って私は、草履を履いた。

「じゃあ。行ってきます」と勇次。

 二人の姿を見て、満足そうに見送る家族だった。

 勇次君の歩くスピードが速いので、「ねえ?歩くスピードもう少し落としてくれないかな?着慣れない着物だから」と私が言うと、

「あ。すまない。そうだな」と少しスピードを緩めてくれた。

神社について、お参りを済ませ、おみくじを引いて、恋愛欄を見る。

 私のには、〈早とちりに気をつけよ〉と書いてあった。

 勇次君のには、〈誤解を招く言動に気をつけよ〉と書いてあった。

 

着物を着て初詣に行く2人

 

【挿絵表示】

 

おみくじを見る2人

 

【挿絵表示】

 

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