短編 性転換物   作:3442

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女装を趣味としている主人公とその仲間二人が、旅行で訪れたホテル近くのラーメン屋に入り…。


女装家編

 俺は、大学の時に、文化祭で行われた催しで、当時、テレビでやっていた、彼氏が彼女に着替えたら?という企画が文化祭で催され、当時付き合っていた彼女に誘われ、女装したことをきっかけに、女装に芽生えた。

 俺は、家の中のみで、女装を楽しんでいる。

 本当は、女装して外を歩きたいとも思っているが、勇気を持てないでいる。

 明日、SNSで知り合った、女装仲間と一泊二日で旅行に行く予定で、一日中女装することになっている。

 一人では、恥ずかしいが、女装が、何人もいれば、恥ずかしさも半減する。

 俺は、明日、大学時代付き合っていた元カノから貰った、彼女が通っていた、お気に入りの女子高の制服を持っていき、ホテルで着替え、町へ出掛ける予定だ。

 

 翌日

 俺は、待ち合わせの場所に、昼前に着いた。

 待ち合わせの場所には、すでに、二人の男性が待っていた。

「久しぶり」と俺が言うと、

 二人も、「久しぶり」と答えた。

「じゃあ。ホテルに行こうか」と30代くらいの眼鏡をかけた男が言った。

「はい」と俺と30代くらいの少し髪の長い男性が言った。

 ホテルに着き、チェックインして、三人で、部屋に入り、女装の用意を始めた。

「山川さんと山根さんは、何を持ってきたんですか?」と眼鏡をかけた男性が言った。

「俺は、ナース服」と少し髪の長い男性が、鞄から出して、見せて言った。

「山川さんは?」と俺に山根さんが言った。

「俺は、白百合(しらゆり)女学館高の制服」と俺は、きれいに畳まれた、制服、ブラウスとピンクのリボンタイを出して、見せた。

「ピンクのリボンと言うことは、看護科だね」と山根さんが言った。

「うん」と俺は言った。

 白百合のリボンの色は、専攻科で違う。

山城(やましろ)さんは?」と山根さんが言った。

「僕は、ボクセラという男性用のセーラー服の部屋着をネットで見つけて、買ったんだ。それを持ってきた」と眼鏡をかけた男性が言った。

「あーっ。携帯ニュースに、2日で完売したと載っていたやつか」と山根さんが言った。

「山川さん。よく白百合の制服をゲットしたね」と山城さんが言った。

「実は、大学時代に付き合っていた彼女の母校でね。別れた時に、文化祭で、一回しか着てないのに、『元カレが着た制服を持っていたくない』と言われて、投げつけられ、そのまま別れたから、貰ったんだ」と俺は言った。

「文化祭で、着た?女装カフェかなんかやったのか?」と山根さんが言った。

「いや。昔、彼氏が彼女に着替えたら?というのが、テレビであっただろ。それの企画に彼女に誘われ、出たときに、着たのが、この制服なんだ」と俺は言った。

「へえ」と二人が言った。

「じゃあ。準備して、外に出掛けますか?」と俺は、着替え始めた。

 他の二人も着替え始めた。

 着替えも終わり、化粧をして、ウィッグをつけて、出来上がりだ。

 俺達は、遅い昼食を食べに町に出た。

 

 ホテルから少し歩いたところにラーメン屋があり、三人で、そこに入る事にした。

 三人で、ラーメンを注文し、ラーメンを食べた。

 ラーメンを食べている途中に、前の二人を見ると、ナース服を着た、若い女性とセーラー服を着た、中性的な顔の人がいた。

「え? あなた達、誰?」と服装で、何となくわかるが、二人に訊ねた。

「何を言ってるの?山川さん。私は、山根ですよ」とナース服を着た、女性が俺の方を見て、言った。

「そうよ。私は、山城ですよ」とセーラー服を着た人が言った。

 俺は、ナース服を着た、女性に、「山根さん。女性になっていますよ」と言った。

「え? そう言う、山川さん?も、高校生くらいの女の子になっているよ」とナース服を着た、山根と名乗る女性が言った。

「え?」と言い、俺は、手鏡が入っているハンドバッグを置いてある右側の椅子を見たら、スクールバックに変わっていた。

「エーッ」と俺は、大声をあげた。

「何?どうしたの?」と山城と名乗るセーラー服を着た人が言った。

「見て」と言って、俺は、白百合女学館高校のエンブレムが入ったスクールバックをテーブルの上に載せた。

「白百合のスクールバックね」と山根さんと名乗る女性が言った。

「入った時に、持っていたハンドバックが無くなって、スクールバックがあったの」と 俺は言った。

山根さんが、手鏡を出して、自分の顔を見ていたから、「私にも貸して」と言って、手鏡を借りて、自分の顔を見た。

 自分の顔を見て、可愛いと思っていた。

 山根さんを見たときも美人だと思っていた。

「私にも貸して」と言って、山城と名乗る人が言った。

山城さんを見て、今の私達と何か違うような気がした。

「何か、私だけ二人と違うような」と山城と名乗る人も気がついたらしい。

「そういえば。何だろう」と山根さんが言った。

 俺は、顎に手を当て、考えて、気がついた。

「もしかして」と俺は言った。

「何?」と二人が聞いてきた。

「服装に関係があるかも」と俺は言った。

「服装?」と二人が言った。

「山城さんが着ているのは、ボクセラという部屋着用の男性用のセーラー服よね」と俺は言った。

「そうだけど」と山城と名乗る人が言った。

「男性用のセーラー服だから、私達と違い、顔以外は、男のままなのかも」と俺は言った。

「え?」と言って股間を触ったらしく、「有る」と山城と名乗る人が言った。

「だからね。中性的な顔しているけど、肩幅が広いと思った」と山根と名乗る女性が言った。

「ねえ。見て」と言って、山根と名乗る女性が、免許証を見せた。

「名前が、山根(みなみ)になってるのよ。歳は、24になってるの」と山根さんが言った。

 山根さんの名前は、確か、(あずま)だったと思う。

 俺も、スクールバックの中を見て、生徒手帳が有り、それを見ると、山川(ひな)で誕生日が、3月3日となっていて、15歳になっていた。

俺の名前は、5月5日生まれだから、(かぶと)だった。

 だから、16だと思っていた。

「あれ? 私も。山川雛になっている。学年は、高1。でも、年齢が、まだ、15なんだよね」と俺は言った。

「あれ?誕生日来てるよね」と山城さんが言った。

「そうなんだけど。なぜか、誕生日が3月3日に変わってるの」と俺は言った。

「え?確か、5月5日だよね」と山城さんが言った。

「ええ」と俺は言った。

「もしかして」と山根さんが言った。

「何?」と俺は言った。

「確か、名前の由来は、端午の節句の5月5日生まれの男の子だから、兜となった。と言ってたよね」と山根さんが言った。

「うん。親から、そう聞いてる」と俺は言った。

「だからだよ。女の子になったから、女の子の節句は、3月3日でしょ。だから、3月3日に生まれたことになって、名前が、雛祭りから、雛になったんじゃないかなと思ったの」と山根さんが言った。

 山根さんに、言われ、納得して、「そうかも」と俺は言った。

「貴女にぴったりの名前ね」と山城さんが言った。

「え?」と俺は言った。

「だって。山川さん。可愛いもん」と山城さんが言った。

「男の人に可愛いと言われると照れ臭いです」と俺は、少し照れて言った。

 可愛いと言われ、何故、照れたのかわからなかった。

 山根さんのナース服の左胸に、店に入るまで、何も無かったはずなのに、白百合総合病院と刺繍がされてあった。

 それを見て、俺は、「山根さん。白百合総合病院で、看護師をしているんですか?」と聞いた。

 何故、そう聞いたのかわからなかった。

「そうよ。何で?」と山根さんが言った。

「私の夢は、白百合総合病院で、看護師として働くことなんです」と私は言った。

 この言葉を発して、俺は、気がついた。精神が、身体に順応し始めていることに。

 そして、それは、山根さんも一緒だった。

「へえ。じゃあ。将来、私の後輩になるかもしれないってことね」と山根さんが言った。

「はい。その時は、宜しくお願いします」と私は言って、頭を下げた。

「頑張ってね。私も応援しているから」と山根さんが言った。

「はい。ありがとうございます」と私は言って、もう一度、頭を下げた。

「何で、私だけ、女装のままなの?私も女性になりたかったな」と山城さんが言った。

「違う服を着て、明日、来ればいいじゃないですか」と山根さんが言った。

「のびちゃうから、早く食べませんか?」と私が言った。

「そうね」と山根さんが言った。

 食べ終わり、私が、「お会計は、別でお願いします」と伝票を出して言って、財布を出そうとすると、

山根さんが、「高校生には、払わせられないから、私が払うよ」と言った。

「余計に持ってきてますので、大丈夫です」と私は言ったが、

「いいの。いいの。将来、私の後輩になったら、その時にでも。ね」と山根さんは、ウィンクして言った。

「わかりました。その時は、必ずお支払いします」と私は言った。

 そして、私達は、ホテルに帰ったのだった。

 

 ホテルに帰ったら、男だからだろうか、山城さんのみ別の部屋になっていた。

 部屋に戻って、私と山根さんは、ウィッグを外そうと試みたが、外れなかった。

 どうやら、地毛になったようだ。

 ラーメン屋に入る前、山根さんは、ロングヘアーのウィッグを後ろで結んだ髪型にしていて、私は、肩にかかるくらいのセミロングのウィッグをつけていた。

 私は、かねてからの夢だった、白百合総合病院のナース服を山根さんに頼み、着させてもらい、スマホで、写真を撮って貰った。

 身長が、20センチくらい縮んだらしく、同じくらいだった山城さんを見上げる高さになり、山根さんも山城さんを見上げているから、同じくらい縮んだのだろうが、山根さんは、男の時の私より、10センチくらい高かったから、女になっても、私より、10センチくらい高いので、少し服が大きかったけど、いい記念になった。

 私は、お母さんや高校の友達に見せようと思った。

 大学時代に、付き合っていた彼女の身長も、150を少し超えたくらいだった気がする。

 サイズのあっていなかった白百合の制服がぴったりになっていたので、 服のサイズにあった身長になったみたいだ。

 山根さんからも白百合に通いたかったから、制服を着てみたいとの事で、服を交換した。

 山根さんには、少し小さかった。

 山根さんのスマホで、山根さんを撮った。

 その後、私達は、浴衣に着替え、山城さんも浴衣に着替え、ウィッグを外して私達の部屋に合流した。

 山城さんが、私達の部屋に入るなり、「ウィッグ外さないの?」と聞いてきた。

「それが、外そうとしたんですが、私達の髪、ウィッグではなく、地毛になったみたいで、外れなかったんです」と私が言った。

「じゃあ、私が外してあげる」と言って、山城さんが、私の髪を掴んで、髪を引っ張った。

 私が、「痛い。痛い」と叫んだら、

 山根さんが、「山城さん、何するんですか?離してあげて下さい」と山根さんが言った。

 山城さんは、私の髪から手を離し、「ゴメン。ゴメン。本当に地毛になったみたいだね」と悪びれもせず言った。

 私は、少し涙目になりながら、手櫛で、髪を整えた。

 夕御飯まで、三人で、トランプをしていると、友達から、LINEが来た。

 見ると、〈明日、12時に、白百合前の改札前で。〉とあった。

 私が、〈明日って何かあったっけ?〉と返事をする。

 すると、〈何、言ってるの? 明日、貴女が好きなバンドのライブがあるから、一緒に行かない?って誘ってくれたんじゃない。〉と返ってきた。

〈あれって、明日だっけ。 忘れて、旅行に来てた。〉と返事を返した。

〈忘れてたの? 全く。明日、来るんでしょ〉と返ってきた。

〈もちろん。行く。〉と送った。

〈じゃあ。明日、12時ね。〉と返ってきた。

〈うん。また明日ね。〉と返事を返した。

〈また、明日。〉と返ってきた。

「どうしたの?」と山城さんが訊ねてきた。

「明日、友達とライブに行く約束してたのを忘れていたんです。だから、私、帰ります」と私が言った。

 山根さんのスマホも鳴り、「師長からだ」と言って、部屋を出ていった。

 戻ってくると、「ごめんなさい。私も帰らなきゃいけなくなりました」と山根さんが手を合わせて、謝りながら、言った。

「どうしたの?」と山城さんが言った。

「明日出の人が、風邪をひいたみたいで、急遽、私が出ることになったんです。ごめんなさい。山城さん」と山根さんが言った。

 私も、「ごめんなさい。山城さん」と一緒に謝った。

「いいよ。仕方ないね。早く帰りな」と山城さんが言った。

「あ。でも、帰る前に、私、露天風呂に入りたいです。ここのお風呂、美肌の湯で有名なんですよ」と私が言った。

「美肌の湯? 私も入りたい」と山根さんが言った。

「三人で入る?」と山城さんが言った。

「え?でも、山城さん。男の人ですよ。ここ、混浴じゃないので、駄目ですよ」と私が言った。

 山城さんを見ると残念そうにしていた。

「じゃあ。二人で入りましょ」と山根さんが言った。

「日帰りで、入れますかね?」と私が言った。

「フロントで聞いてみましょ」と山根さんが言った。

 フロントで私と山根さんが、日帰り温泉に山根さんと二人で入り、温泉を満喫した。

山城さんは、男湯に独りで入ったのだった。

「じゃあ。帰ろうか。雛ちゃん」と山根さんが言った。

「はい。 山城さん。また」と私は言った。

「うん。また」と山城さんが言った。

 私達二人は、露天風呂に入っている時に、お互い、親しみを込めて、下の名前で呼ぼうと決めた。

 山根さんは、私を雛ちゃんと呼び、私は、山根さんを南さんと呼ぶことにした。

 南さんは、貴女も『ちゃん』でいいよ。と言ってくれたが、歳上を『ちゃん』付けでは、呼べないと言って、私は、『さん』付けにした。

 女の子になってから、私は、二人と話す時、丁寧語で話すようになっていた。

 南さんも山城さんと話す時は、敬語になっていた。

 山城さんとは、あまり会わなくなるだろうが、南さんとは、女子同士だから、暇を見つけては、ショッピング等をするために会うことになるだろう。

 私達は、山城さんと別れ、駅へと向かった。

 

 駅に着き、ホテルを出た時に、電車の時刻をスマホで調べていたので、私は、「電車まで、少し時間がありますので、下見に来た時に、ケーキ屋を見つけたんです。店内でも食べられるみたいなので、行ってみませんか?」と言った。

「ケーキ屋?良いわね。行きましょ」と南さんが言った。

 私達は、ケーキ屋で、私は、チーズケーキとミルクティーのセットを、南さんは、チョコレートケーキとコーヒーのセットを頼み、お互いに買った、ケーキを半分に分けて食べながら、おしゃべりをして、電車の時刻まで、時間を潰し、時間が来たから、店を出て、来た電車に乗り、私達は、帰路についた。

 

 後日、山城さんから聞いた話では、翌日、あの場所を訪れたが、そこにラーメン屋は無く、地元の人に聞いたら、以前から空き店舗だったという。

 

山根にナース服を借り、着て写真撮影してもらった山川のイラスト

 

【挿絵表示】

 




明けましておめでとうございます。
投稿は、去年のうちに済ませて、見直しと手直しをして、元日に載るように予約投稿しました。
本編で出た、ボクセラの話は、12月の上旬のdocomoニュースに実際に載っていました。
最初から一人だけ、ボクセラを着せ、女性にならず、顔つきだけ、中性的にして、女装しても変じゃないようにしようと思っていました。
だって、ボクセラは、部屋着用男性用のセーラー服ですからね。男性でないと(笑)。
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