時計塔なんてわいの知識にはなかったんや…にわか仕込みでごめんなさい。
「ねぇ、士郎。明日の試験終わったら遊びに行くわよ。」
「試験が終わったらな。行きたい場所あるのか?」
「特にあるわけじゃないけど。私は遊びに行きたいのよ。士郎と二人で、ね。」
「ッ!…遠坂がそういうなら…」
「何よ、照れてるの?…身長伸びて、あいつに近づいてもそういう所は変わらないわねー」
「うるさいな、今あいつは関係ないだろ…」
「そうね、ごめんなさい。でも士郎ってば、いつまで経ってもそんな風に照れてくれるんだもの。つい、ね」
午後の講義も終わり、夏の日差しも強まってきた初夏のある日。
衛宮士郎と遠坂凛の二人は時計塔の中を歩いていた。
必修科目である「全体基礎」の試験は明日に控えているものの、二人に試験前日の焦りはない。
学年次席である遠坂凛と、凛に毎日鍛えられている士郎。
二人は今更焦るような学習方法は取っていなかった。
「遠坂、明日は朝食抜きはだめだからな。」
「抜きにするっていっても、士郎は絶対作るし食べさせるじゃないの。」
「食べさせるって…あのなぁ、遠坂を朝起こす俺の身にもなってくれよ。
やたら朝は不機嫌だし…せめて試験日くらいだなぁ…ん?なんだ、あの光」
「朝食くらいで大げさなんだから…?…あぁ、そこね。
そこは
光はいつもの実験ね。
出来もしない第二魔法の真似事を繰り返してんのよ。厳密にはちょっと違うけどね。
平行世界への移動とかなんとか言ってたかしら。」
「へぇ…大師父の信者の集まりか。…実験の度にこんな不気味な発光してるのか?この部屋…」
「…そういえば変ね…扉から漏れてる光は白だった気がするけど、…緑色ね…
色もそうだけど、|いつもに比べて光がやけに強いような…気のせいかしら」
他愛のない話の最中、扉が軽く開いている部屋に差し掛かる。
凛は違和感があるもののいつもの光景である、と判断を下し、気にすることなく歩いていた。
士郎は警戒しながらも扉の前を通過する。
そして、警戒していたからか。
何かの予兆を感じ取っていたのか。
ちょうど部屋の前を通過するその時。
急激に強くなる光、そして一瞬空気が吸い込まれるように部屋の中に流れる。
目前にまで近づいた危機に気付いたのは士郎で、凛は気付かなかった。
「ッ!遠坂!」
直後、轟音とともに爆発が巻き起こり、士郎は咄嗟に凛に覆いかぶさった。
目が開けられないほどの発光、そして爆風。
部屋の中から響いた爆音と衝撃は士郎を襲う。
凛は爆発の衝撃は直接受けなかったものの、それでも意識を刈り取られるには十分な衝撃を受けていた。
光の濁流は二人を飲み込み、収まった頃二人の姿は時計塔にはなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「…ふぅ。アーニャ、買い出しに行くよー。」
「今掃除終わったばかりなのにー…シルは人遣い荒いにゃー…」
「ほらほら、ぼやいてないで。」
「はいはいすぐ行きますにゃー」
「にゃー…猫の手も借りたいにゃ…猫落ちてないか…にゃ…?」
「どうしたの?」
「…シル、落ちてる。人が1人。行き倒れ?にゃ。」
「え?…あら本当。オレンジ色頭の…男性ね。…!
…あ、アーニャ、大変、ち、血が出てる。オレンジの頭だからわかりにくかったけど、
頭から血が出てるよ!」
「大方酔っ払い同士で喧嘩でもしたんじゃないかにゃ?
こんな裏路地で倒れてる理由なんてそんなもんにゃ。」
「そ、そうなのかな…?…あ、アーニャ!アーニャ!」
「今度は何にゃー?買い出しなら早く終わらせるにゃ」
「ひ、ひとりじゃないの!二人いるの!男の人の下に!女の人!」
「…酔っ払いの喧嘩じゃなくてちじょのもつれ?だったにゃ。」
「それを言うなら痴情のもつれ!じゃなくて!それよりもアーニャ、この男の人全然動いてないの!
誰かに襲われたのかも!助けないと!」
「シルってばお人好し…それじゃ、リューを呼ぶにゃ。シルと私じゃ運べないにゃ。」
「そ、そうね。行ってくる!」
「……本当にお人好しにゃー。…それにしても…喧嘩にしては抱きしめるようにして…
いや、覆いかぶさると言う方が正しい…かにゃ。まるで何かから守ったようにも見えるにゃ。
頭の怪我は後頭部…上から?…後ろから?やっぱり守った?
…じゃあ何から?…酔っ払いが襲ったのなら、気絶した後ここに無事で?倒れてる理由にならないにゃ。
上の煉瓦が落ちてきた…わけでもにゃさそうにゃ。
仮にそうだとしても、二人揃って気絶した理由とは思えにゃい。
…よく見ると服がちょっと焦げてるにゃ。…火事なんて最近あったかにゃ?
……????
にゃーにはわからにゃいにゃ… …でも事件の匂いにゃ。んふふ…面白くなってきたにゃー」
そんな迷宮都市オラリオのとある裏路地。
こうして二人の魔術師は迷宮都市に迷い込む。
衛宮士郎、遠坂凛 オラリオ入り
↓
2週間後、ベル・クラネルギルド登録
そんな時系列をイメージしてます。
アーニャかわいい