【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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栗拾い 2

 煙から方角を推測し、ランボの泣き声で居場所をツナ達は特定した。最初に目に入った光景が、まぁまぁと宥めながら山本が獄寺を後ろから抑えてる姿だった。そして2人から少し離れたところで大泣きしているランボがいた。

 

「みんな!!」

「10代目!? オレ達はうまくやってます!!」

 

 誰がどう見てもその嘘は無理があると思うだろう。

 

 はぁと優は溜息を吐き、時計を確認する。そしてリボーンの顔を見る。

 

「もうすぐ終了時刻だし、試験も終わりでいいよね?」

「ああ。もう十分だぞ」

 

 まだ時間は30分ほどあると気付いていたが、優が目で頼んできたのでリボーンは話をあわせた。優の真意が聞けたので十分収穫はある。

 

 ツナと優がランボをあやしながら事情を聞けば、ランボがお腹がすいたと駄々をこね始めたことが発端だったようだ。

 

「食べに戻れば良かったのに……」

「それが迷っちまってよ」

 

 ハハッと笑う山本にツナと優は何も言えなくなった。これはフォロー出来ない。仕方がないと息を吐き、優はカバンをあさる。ご飯は食べてしまってもう無いが、おやつは持ってきていたのだ。あまり良くないが、渡しすぎなければ大丈夫だろう。

 

「ランボ君、クッキーあったよー。でも食べるなら、おてて拭いてからね」

 

 優の言葉にランボは目をキラキラさせ、優が渡したウエットティッシュで手を拭き始める。

 

「優って慣れてるよね」

「まぁねー」

 

 前の世界では家政婦のような扱いだったと言えないので、笑って優は言葉を濁した。優にお金があったから、引き取ってたようなものだった。

 

 獄寺達は気付かなかったが、僅かに優の顔が濁ったことにツナは気付く。

 

「優……」

「どうしたの? ツナ君?」

 

 いつもと変わらない笑顔。ツナは何でもないよとしか言えなかった。

 

 ザッと土の音が響き、一斉に振り向く。

 

「ヒ、ヒバリさん!?」

「やぁ。この煙は誰の仕業かい?」

 

 突如現れた雲雀が口にした言葉に身をかたくする。言えるわけない。

 

「迷子になっちまって、SOSだぜ」

 

 山本の機転……というより、本気でそう思ったことを口にした。

 

「ふぅん。君が居たのに迷子になったんだ」

「私は救出の方ですよー。煙を見て来ました」

 

 本当にそうだったというように優は山本の話にのる。こっちは確信犯である。

 

「そう。でも群れすぎだよ」

 

 ウソまでついたが、回避は不可能だったようだ。雲雀がトンファーを構える。

 

「ちゃおッス」

 

 今すぐ咬み殺し始めような雲雀を牽制するかのようにリボーンが雲雀とツナ達の間に立つ。

 

「やっぱり会えたね。赤ん坊」

 

 リボーンはニッと笑う。雲雀の動きを止めたのは確かめたいことがあったからだ。今ので2つはわかった。雲雀は優からの電話で、ここに来た。そして、優にではなくリボーンに会いに来たことが。

 

「オレとバトルしてぇんだな。こいつらに勝てればしてもいいぞ」

 

 ツナの驚きを無視し、リボーンは話を進める。まだまだ知りたいことがある。

 

「リボーン君、危ないよ!!」

「いいよ。皆つぶすつもりだったし、さっさとはじめよう」

 

 雲雀はやる気だ。優の頼みよりリボーンとの戦いを選んだ。

 

「おめぇら、こいつらの中には優も入ってるぞ。勝たねぇと優の番が来るぞ」

「な、なんで優も!! 絶対ダメだ! 絶対!!」

「お前らが勝てばいいだけの話じゃねーか」

 

 そう言ったものの、今のツナ達の実力では勝てないとリボーンはわかっている。そしてそれを雲雀も気付いているはずだ。雲雀がどこまで優に甘いのか1度はっきりさせるために言ったのだ。

 

 巻き込まれた優はというと、うーん……と悩んでいた。リボーンの様子からまだ優の強さがばれていない。そのため出番が来ても助けてくれるだろう。ツナ達との実力を考えると雲雀と戦うには時期尚早だ。どうにかして雲雀をなだめる方法がないのかと考えていたのだ。

 

「…………帰る」

 

 へ?とツナと優の声がかぶる。

 

「お腹すいた。帰るよ」

 

 優の方を見て雲雀は言った。仕方ないように優は溜息を吐き、ツナの方を向く。

 

「栗拾いの勝負で勝ってればツナ君が豪華商品をもらってね。後、ランボ君のことよろしくね。道は……わかるよね?」

 

 最後の言葉はリボーンに問いかけた。頷いた姿を確認した後、優はもう去ってしまった雲雀の後を追った。

 

 その2人の後姿をツナ達は信じられない、でもどこか納得するような目で見ていた。

 

 2人の気配が完全になくなったところで、リボーンは口を開いた。

 

「ヒバリは優を咬み殺すことはできねーみたいだな」

「……うん」

 

 鈍いツナでも時間をかければわかる。優本人は気付いていないようだが、あれは雲雀の気まぐれではない。

 

「帰るぞ、お前ら」

 

 豪華商品という名目で優をファミリーに入れることは出来なかったが、収穫は十分すぎるほど得た。優を危険な目にあわせれば、雲雀のファミリー入りが難しくなるとわかったのだから。

 

「リボーンから守ったのかなぁ」

 

 ボソリとツナが呟いた。やめるだけではなく、優を連れて行ったから。

 

「ツナ、それはどういう意味で言ってるのかわかってんのか」

 

 ひぃとツナは声をあげる。ただ思ったことを言っただけなのに。……その思ったことを口にしたのが間違いである。

 

 ツナの絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 優は足を止め振り返る。ツナの声が聞こえた気がしたから。風で声を拾ってみたが、今は何も聞こえない。

 

 気のせいかと首を振り、優は前を向く。

 

「わっ、雲雀先輩!?」

 

 前を歩いていたはずの雲雀が目の前にいたので優は驚いたのだ。気を抜きすぎたと反省しながら、優は心臓を押さえる。

 

「なに」

「ツナ君の声が聞こえた気がしたんですけど、多分気のせいだと思います」

「ふぅん」

 

 再び前を歩き始めた雲雀を見て首をひねる。今のは機嫌が悪い「ふぅん」だ。いったいどこで機嫌が悪くなったのだろうか。

 

(リボーン君と戦えなかったから? でも自分からやめたのにね)

 

 とことん自分のことになると鈍い優である。ここまでくると酷いを通り越し笑える。

 

「あ、雲雀先輩」

「なに」

「ちょっと失礼しますね」

 

 雲雀に駆け寄り、背を伸ばす。ちょうど雲雀の髪の上にカエデの葉がのったのだ。

 

「ついてました」

 

 優は雲雀にわかるようにカエデの葉を見せる。

 

「そう」

 

 雲雀は納得し再び歩き始める。だが、今度は先程と違って優の隣に居た。優が楽しそうにカエデの葉を見つめてるので、危なっかしいのだ。

 

「それ、いつまで持ってるの?」

「今日の思い出に栞にしようかと思いましてー」

 

 カエデの葉を眺め、ふふっと笑う優を見て、雲雀は溜息を吐いた。どうやら捨てる気はないらしい。

 

「……君の髪の色に似てるね」

「あ、本当ですね」

 

 自分の髪を持ち上げ、見比べ始める優。さらに危なっかしくなった。

 

「やっぱりこっちの方が綺麗」

 

 ポイっと自分の髪を捨てるかのように離し、優はカエデの葉を見て笑う。すると、捨てたはずのものを拾い上げられる。

 

「僕はこっちの方が好きだけど」

 

 信じられないような目で雲雀の顔をジッと優は見つめた。

 

「不快と思わないんですか?」

「どうして?」

「え、だって……」

 

 もごもごと口を動かした後、何もなかったように優は笑った。

 

「なに」

「気にしないでください」

「なに」

「何もありませんよ」

「…………」

「…………」

 

 片方は睨み、片方は笑い、水面下で激しい戦いが起こる。はっきりいって、怖い。

 

「はぁ」

 

 よしっと優は心の中でガッツボーズをする。雲雀が折れたと思ったから。だが、そうではなかった。優の取り扱い方を知ってるのはリボーンだけではない。

 

「……遠くからでも君がいることがわかる。綺麗な色だよ」

「は、初めて言われました……。誰の子かわからなくて、目立つし気持ち悪いとしか……」

「こんなに綺麗なのに?」

 

 雲雀が誤魔化すことはあっても、ウソをつかないことを優は知っている。だから胸に響く。

 

「ありがとう……」

 

 泣きそうな目をしながらも笑ってる優に「行くよ」と雲雀は声をかけた。

 

 

 

 バイクで雲雀の後ろに乗り、家に帰ってきた優は口を開いた。

 

「栗料理は時間がかかりますし、明日にしましょうか?」

「今日でいいよ」

「じゃぁ軽く先に何か作りますね」

「どうして?」

「え? だってお腹減ってるんですよね?」

 

 不思議そうに首をひねる優に雲雀は「いらない」と押し切った。

 

 優が料理にかかったのを見て、雲雀は溜息を吐く。

 

 最近は誰かさんのせいでウソをつくようになり面倒なことがおきる、と。

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