【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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お見舞い

 朝からケイタイの着信音が鳴り響く。寝起きの悪い優は当然無視する。休日でこんな時間にかけてくる人物は1人しか居ないからだ。だが、一向に鳴り止む気配が無い。切れてもまたかかってくるのだ。

 

 あまりにもしつこい。嫌がらせなのだろうか。優はケイタイに手を伸ばし、通話ボタンを押し叫んだ。

 

「何ですか!!!」

『すみません。草壁です』

 

 聞こえた言葉に固まる。そういえば、ケイタイ画面を確認しなかった。

 

「す、すみません……。雲雀先輩と思いました……」

『いえ、こちらこそ朝から何度もすみません』

 

 電話だというのに、優は首を振った。常識のある草壁がこんなことをするのは雲雀が原因だとわかっているからだ。

 

「どうかしたんですか?」

『委員長が今日入院し、ご飯を持ってきてほしいと伝言を受け取りまして』

「雲雀先輩が怪我したんですか?」

 

 雲雀が怪我をするなんて余程強い相手だったのだろう。もしかすると転生者かもしれない。

 

『いいえ、風邪をこじらせたみたいで……』

「えっ、風邪ですか?」

 

 思わずもう1度確認する優。咳き込んでる雲雀が想像できなかったのである。しかし返って来たのは肯定だった。

 

「どこの病院ですか?」

『並盛中央病院です』

「わかりました。わざわざありがとうございました」

 

 電話を切り、優は風邪に効きそうな料理を考え始めたのだった。

 

 

 

 

 弁当とフルーツを持って優は並盛中央病院に来ていた。まずは雲雀の病室を聞くために受付に顔を出す。

 

「すみません。今日入院した人のお見舞いなんですが、部屋番号を聞くのを忘れてしまって……」

「お名前の方を教えてもらえますか?」

「雲雀恭弥っていうんですけど」

 

 雲雀の名を聞き、真っ青になる看護師。

 

 優は不安になる。ご飯が食べれるなら、そこまで症状が酷くはないと優は思っていた。だが、看護師の顔色をみれば、あまり良くないのかもしれない。

 

「何号室ですか!?」

「あ、案内させていただきます!」

 

 看護師が早歩きだったので、優は不安になる気持ちを抑えることが出来なかった。

 

 病室の前で別れた看護師を見送る余裕も無く優はノックをした。そして返事を待たずにドアを開ける。

 

「雲雀先輩!!」

「やぁ」

 

 いつものようにトンファーで咬み殺している雲雀に優は駆け寄る。

 

「なんで起き上がってるんですか!!」

「退屈だからゲームをしててね」

「ゲーム?」

「僕が寝てる間に音をたてたら咬み殺すっていうゲーム」

 

 雲雀の言葉に優はプルプルと震えだす。そしてキッと睨みつけ、雲雀に怒鳴った。

 

「なに、バカなことをしてるんですかーー!!!」

 

 雲雀は目を細めた。いつもは咬み殺されている人を心配そうに見てはいたが、今まで一度も雲雀のことを止めたことはなかった。

 

「僕に命令するんだ」

「……だって、悪化したらどうするんですかっ」

 

 さっきの睨みはどこにいったのかというぐらいに、優の顔は泣きそうだった。

 

「……喉が痛いだけだから」

「へ?」

「だから症状が」

 

 何度も瞬きを繰り返し、やっとの思いで口にする。

 

「か、風邪をこじらせてって……」

「僕が喉を痛めたからね」

 

 優が固まってる間に、雲雀は咬み殺した残骸を部屋の外へ放り出す。

 

「………はぁーーーー!?」

 

 理解した途端、優の絶叫が病院に響き渡った。

 

 

 

 

 

 5分後、ぷりぷりと怒りながらも優はリンゴをむいていた。

 

「勘違いしたのは君でしょ」

「普通は喉を痛めたぐらいで入院しません」

 

 優の言葉はまさしく正論だが、どこ吹く風と聞き流された。

 

「まったく人の気もしらないで」

 

 そういって、優はむき終わったリンゴを口にした。

 

「それ、僕のために持ってきたんじゃなかったの?」

「私のお金で買ったものです」

 

 黙らせるように切ったりんごの1つを雲雀の口に押し付けた。仕方なく雲雀は口を開く。

 

 シャリ……とリンゴの食べる音だけが病室に響く。誤魔化そうとして怒っていたが、流石にそろそろ限界だった。

 

「……一瞬で死ぬことだってあるんです」

 

 ポツリと優は呟き、胸を押さえるかのように服の上からおしゃぶりを握った。

 

「雲雀先輩は強くて丈夫かもしれないけど、心配にならないわけじゃありません。どうしても抗えない運命はあるから……」

 

 途中から優自身のことについて話してる口ぶりに雲雀は眉を寄せた。

 

「君がそう決め付けてるだけだ」

 

 雲雀の言葉に悲しそうに優は笑った。

 

「……助けてあげてもいいけど」

「ありがとうございます。でも、もう十分助けてもらってますよ」

 

 何かした記憶のない雲雀は説明しろと優を睨み圧力をかけた。

 

「並中に通ってる間は抗えてますから」

「……なにそれ」

 

 まだどこのマフィアにも所属していないアルコバレーノ。存在がバレれば、恐らくもう学校に通うことは出来ない。マフィアが放置するわけがないからだ。この事実に気付いた時、優はもうツナ達と仲良くなった後だった。

 

 だから、離れたくないと優は思ってしまった。

 

「雲雀先輩には感謝してますよ」

 

 転生者を雲雀が今まで咬み殺していた可能性がないとは言い切れない。雲雀のおかげで優はまだ動かなく済んでいる。

 

「じゃ、帰ります。お弁当、食べてくださいね」

 

 話は終わりと立ち上がろうとした優の腕を雲雀が掴んだ。

 

「僕の許可無く学校をやめるなんて許さないよ」

 

 優は笑った。引き止めようとしてくれたことに喜んで笑ったわけではない。雲雀から手を離すことになるとわかっていたから笑ったのだ。いくら雲雀でもアルコバレーノは手に負えない存在だ。獄寺のように正式なボンゴレファミリーの一員が学校に通うこととは話が違う。アルコバレーノとはそういう存在だ。出来るだけ隠すつもりだが、いつまで持つかはわからない。

 

 雲雀は力を込めた。優の笑顔の意味に気付いたから。

 

「痛いです。雲雀先輩」

「許さないから」

 

 雲雀に甘え、その手をとりたくなった。だが、それをすれば雲雀を縛ってしまいそうで出来なかった。

 

(そろそろ限界かなぁ……)

 

 雲雀のことは関係なく優を誘っていれば、すぐにでもボンゴレに入ったかもしれない。だが、結局は出来なかっただろう。優の存在がツナの将来を縛ってしまいそうで。

 

 キャバッローネで世話になり、影ながらツナ達を守るのが最善の選択だろう。

 

「……今はまだ」

「はい?」

「今はまだ僕に振りまわされておきなよ」

 

 決して納得したわけではない。だが、いくら脅したとしても優が頷かないと雲雀はわかってしまった。しっかりと腕を掴んでるはずなのに、このままではすり抜けてしまう。

 

「…………そうします」

 

 そういって、優は座わりなおした。優だってこのまま学校に通っていたい。……今はまだ。

 

「次、あれ食べたい」

「はい。ちょっと待ってくださいね」

 

 雲雀が指したオレンジを優はむき始めたのだった。

 

 

 

 この日から優は雲雀の呼び出しに文句を言わなくなった。

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