【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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風と嵐。そして雲。

 気付けば、冬休みが終わった。

 

 ほぼ毎日雲雀と会うので、変化という変化がなくあっさりと終わってしまったのだ。雲雀と会う回数が増えていることには多少疑問に思っていたが、優は1人で正月を過ごすつもりだったので雲雀がきて嬉しかったりする。

 

 ちなみに、ツナは正月を一緒に過ごそうとちゃんと優に声をかけていた。が、優に断られたのだ。年末年始まで家族団欒の邪魔するのは気後れし楽しめないと言われれば、無理に誘うことは出来なかったのである。後日、雲雀が来たと聞いてツナはホッとしたのだった。

 

 

 

 

 食材の買出しに行こうとしていた優は、公園で獄寺の姿を発見する。すぐにツナの姿を探したが、見当たらない。不思議に思った優は獄寺の方へ向かった。

 

「獄寺君、ツナ君は?」

「なんだよ……」

 

 はて?と首を傾げる。いつもと違い、ケンカ腰ではない。

 

「なんかあったの? ヒマな私が聞いてあげるよー」

 

 実際は買い物があるのでヒマではないのだが、獄寺のために軽い口調で声をかける。が、返事がない。しかしどこかへ行けと言われたわけではないので、優はブランコを漕ぎ始める。

 

 キィーコキィコ……とブランコの音だけが響く。

 

「……お前ってオレが来る前から10代目と知り合いなんだよな」

「そうだねー。まぁほんのちょっとだけだけどね」

 

 急に話しかけてきた獄寺に気にした風もなく、優はブランコを漕ぎ続けながら答える。

 

「オレって10代目の右腕にふさわしくないよな……」

「さぁ? どうだろ?」

 

 珍しい獄寺の弱音を優はあっさりと聞き流す。そんなことはどうでもいいと思っているからだ。

 

「ツナ君は右腕とか関係なく獄寺君を大切な友達と思ってるよ」

「オレは10代目から頼りにされたいんだよ!」

「十分頼りにされてるでしょ」

 

 驚いた顔をしている獄寺を他所に優は話を続ける。

 

「マフィアのことで何かあったら真っ先に浮かぶのは獄寺君だと思うよ」

(まぁ獄寺君はすぐ無茶するから相談できないかもしれないけど)

 

 優自身に対する好意に関係なければ、優は鋭い。今言ったらまずいことはわかっていた。

 

「リボーンさん……だろ」

 

 へぇと関心したように優は獄寺を見る。ちゃんとツナを見ている。

 

「そうかもしれないけど、リボーン君はツナ君が本当にピンチになるまでは、自分達の力で何とかしろって考えるタイプだよ。だからその時に浮かぶのは獄寺君なの」

「それはマフィアのことをオレが詳しいからで……オレを頼りにしてるわけじゃねーんだよ!!」

 

 最初は小さな声だったが、最後は優に八つ当たりするように声を出す獄寺。

 

 優は気にした風もなく、ぴょんっとブランコから飛び降りて振り向きながら言った。

 

「関係ないよ。ツナ君は誰かを巻き込むことを嫌がるからね。それはマフィアのことに詳しい獄寺君であっても一緒だよ。だってツナ君は優しいもん」

 

 ニシシと優は笑う。

 

「……結局、頼りにされてるのか微妙じゃねーか」

「そう? 十分だと思うよ。遠慮しないツナ君って変だもん。獄寺君がツナ君の右腕になっても「ありがとう」や「ごめん」って言うと思うよ」

 

 言わないツナを獄寺は想像できなかった。

 

「不安になるかもしれないけど、獄寺君は十分頼りにされてるよ。ツナ君のことを1番わかってる私が言うんだから間違いない!」

「何を!? お前よりオレの方が10代目のことをわかってるぞ!」

「ふふ。元気になったみたいだね」

「なっ……!?」

 

 獄寺の顔が赤く染まる。のせられたことに気付いたからだ。

 

「獄寺君はそれでいいんだよ。だからまた私にケンカ腰に話しかけてきなよ」

「……お前、変わってるな」

 

 ポツリと呟く。今まで睨んだりケンカを売った記憶しかない。ハルのように怒ることはなく、泣くことも、落ち込みもせず、ただヘラヘラと笑ってるのでバカにしているのかと獄寺は思っていた。優は山本と違い、天然ではないからだ。

 

 だけど、違った。

 

 理解して、獄寺らしいと笑ってるのだ。

 

 変わり者にもほどがある。

 

「そうかもねー」

 

 ほら、また笑った。

 

「バカだろ、お前」

「うん。そうかもしれない」

「そこは否定しろよ」

 

 だってーと言いながら笑う優を見て、獄寺もつられて笑う。

 

「もう、どっか行け。オレは10代目のところへ戻るんだ」

「はーい。またねー」

「……ああ」

 

 獄寺のぶっきらな口調に気にした風もなく、優は去っていく。

 

「10代目やヒバリが気に入る理由が少しはわかったかも……」

 

 優の後姿を見ながら獄寺はポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 優が買い物から帰ると、靴を履こうとしていた雲雀の姿があり首を傾げる。

 

「帰るんですか?」

「遅いよ」

 

 雲雀はリビングに戻ったので、優は食べて帰ると判断し慌てて追いかける。

 

「遅くなってすみません。途中で友達と会って話し込んじゃって……、どこかで食べてきてくださいと電話すれば良かったですね」

 

 はぁと溜息を吐く。雲雀が探しに行こうとしていたとは考え付かないらしい。

 

「すみません。すぐに準備しますね」

 

 そういう意味の溜息ではない。

 

「暗くなると危ないから」

「へ? 大丈夫ですよ」

 

 雲雀に睨まれたので、優は笑って言った。

 

「だって雲雀先輩のおかげで並盛の風紀はいいですもん」

 

 本気を出せば、優は強い。だが、普段から油断しているのは強いからではない。雲雀を信頼しているからだった。

 

「特に雲雀先輩と一緒の時は気が抜けちゃいます」

 

 ちょっと困った風にいいながら、冷蔵庫に荷物を片付け始める優。

 

「……殺し文句」

「ん? 何かいいました」

「なんでもないよ」

 

 そう答えるしかなかった。

 




風は止まっていた嵐を動かし、雲を振り回すw
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