【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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小話作品(ちょい甘)

主人公の誕生日リクがきて、私が雲雀さんの誕生日を書きたくなったから。


5月5日

 新学期がはじまり、優は2年生になって1ヶ月が過ぎた。

 

 雲雀とは大きな変化はない。もっとぎこちなくなるかと思っていたが、次の日に何事もなかったように雲雀がソファーに座って朝食を待っていたのだ。だから優も「おはようございます、雲雀先輩」といつものように声をかけた。

 

 少し変わったとすれば、出かける場所を先に雲雀が優に話すようになった程度である。優は不思議で仕方なかったが、聞いても答えてくれなかったので諦めた。

 

 ちなみに雲雀が場所を教えるようになったのは、優の反応を見るためである。桜を見て優は泣いたので、嫌な思い出があったと勘違いしたのだ。この勘違いは仕方が無い。優が今から起こる未来で泣いていると想像出来るわけがない。

 

 

 

「……ひま」

 

 優は呟いた。新学期から1ヶ月が過ぎたということで、今はGW真っ只中だった。ツナ達は旅行に行ってるので遊べない。雲雀は朝食を食べにきただけだ。京子とハルと黒川は家族と出かけている。山本はいるかもしれないが、ツナがいない中で遊んだことがなかった。

 

 溜息を吐き、カレンダーを見る。まだ5月4日だ。明日の休みはどうしよう。

 

「あれ? そういえば……」

 

 記憶を掘り返す。ハルに見せてもらったハルハルインタビューの雲雀の欄に、5月5日が誕生日と書いていたはずだ。

 

「うん、絶対そうだ。間違ってない」

 

 優は立ち上がり、買出しに向かった。

 

 

 当日。

 

 雲雀を驚かそうと、隠れて準備していた優だったが、とあることに気付く。

 

「……家で過ごすかもしれない」

 

 料理を見て、どうしようと頭を悩ます。もちろん雲雀が来る可能性もある。正月を優の家で過ごしたのだから。だが、あの日は優が呼んだからきたわけではない。

 

「学校にいれば、用はないよね?」

 

 もし学校にいるなら、声をかけてみようと優は考えた。早速、制服に着替え始め、優が靴を履こうとした時に声がかかる。

 

『ケイタイ、忘れてるぞ?』

(え? ほんと?)

『ソファーの上だ』

(んー、まぁいいよ。居なかったらすぐに戻ってくるし)

『念のため、持っていけよ』

(大丈夫、大丈夫)

 

 神の言葉を無視し、優は学校に向かったのだった。

 

 

 

 

『それで、いつまで居るんだ?』

 

 呆れた声が聞こえるが、優は同じ言葉を繰り返すだけだ。

 

(もうちょっとしたら、来るかもしれないし……)

 

 はぁと神の溜息が頭に響く。かれこれ3時間も応接室の前で待っていれば、当然の反応だろう。外だってもう暗い。

 

『家に帰って、雲雀に電話しろ』

(迷惑かもしれないし……)

『せめてケイタイを取りに戻れ』

(すれ違ったら嫌だもん……)

 

 てこでも動かない優の様子に神は困り果てた。これで無自覚である。だが、神が教えて自覚させることは出来なかった。心が壊れないように優が直視しないようにしているからだ。

 

『ったく、後30分だぞ。それまでは話に付き合ってもいい』

 

 この言葉も何度も繰り返している。そのため優はありがとうと呟いた。

 

 神と会話していると足音が聞こえ、勢いよく優は立ち上がる。

 

「風早さん……?」

 

 聞こえてきた声に、優は落ちそうになった肩を無理矢理維持した。優の姿を見て走ってきてくれる草壁にそんな反応をしてはいけない。

 

「こんばんは、草壁さん」

「こんばんは。……お1人ですか?」

 

 思わず優に確認する。草壁に戸締りを任せ、夕方には雲雀は帰っていったので優と一緒にいると思っていたのだ。今日は雲雀の誕生日だから。

 

「学校に忘れ物をしていたことに気付いて、慌てて取りにきたんです」

「……そうですか」

 

 優の顔をみれば、本当にしか思えない。しかし、雲雀が遅い時間に優を1人で行かせるはずがない。雲雀と何かあったのだろう。だが、優がここに居ることを考えれば、まだ余地はある。

 

「あ、もしかして戸締りの時間ですか?」

「はい。確認後になりますが、お送りしますよ。こちらの部屋で待ちください」

「ありがとうございます。でも大丈夫です。家が近いんです」

「いいえ、何かあってからでは遅いです」

 

 絶対にダメだという草壁の気迫に押され、優は頷いた。ホッと草壁は息を吐く。1人で帰して何かあれば、雲雀に咬み殺されるだけではすまない。

 

「少しお待ちください」

「草壁さん、ゆっくりで大丈夫ですよ」

「はい。ありがとうございます」

 

 優を応接室のソファーに座ったことを確認し、草壁は動き出す。雲雀に連絡することも考えたが、草壁が下手なことをして関係がこじれてしまっては困る。まずは優を安全に送り届けることが最優先だった。

 

 迅速にそれでいて丁寧に草壁が確認しているとケイタイが鳴る。雲雀からで、すぐさま通話ボタンを押した。

 

『今すぐ風紀委員を集めて』

 

 それだけで切れた。あまりにも短い。短すぎる。

 

 確かに雲雀が声をかければすぐに集まる。だが、不満がおきないわけではない。草壁は不満などないが、恐怖で縛ってる者がいるのもまた事実。それをフォローするのは草壁の役目である。雲雀も理解しているようで遅い時間に急遽集める場合は、草壁には説明がある。

 

 普段の雲雀がそんなミスを犯すとは思えない。

 

 慌てて電話をかけなおす。恐らく優が関係している。草壁が雲雀をおかしいと思った時は優が関係している時だけだ。今でも鮮明に覚えている。雲雀が女子生徒の膝を枕に眠っている姿は草壁の中で一番の衝撃だった。あの時は雲雀がおかしくなってしまったと思ったぐらいだ。

 

『なに』

「委員長、今回の集合は風早さんが関係していますか?」

『……いないんだ。どこにも』

 

 何をそこまで焦ってるのかは草壁にはわからない。だが、雲雀を安心させることは出来る。

 

「彼女は今応接室に居ます。応接室の前で居ました。恐らく委員長を待っていたと思われます」

 

 最後まで聞いていたのかはわからない。だが、もう大丈夫だと草壁は判断し、戸締りの確認に戻った。

 

 

 

 

 勢いよく開かれた扉の音に驚き、優は立ち上がる。

 

「雲雀先輩? どうしたんですか!?」

 

 慌てて優は雲雀に駆け寄る。息を弾ませるだけでなく、少し汗もかいている。

 

「……探していたんだ」

「何をです?」

「君をずっと探していたんだ」

「えええ!? すみません!! 連絡してもらえれば……」

 

 そこまでいったところで、ケイタイを家に置いていったことを思い出す。

 

「本当にすみません!! あ、あの……用件はなんでしょうか……?」

 

 恐る恐る問いかける。ここまで雲雀が必死に探していたなら、とても重要なことのはずだ。

 

「いい」

「でも……」

 

 優の頬に触れ、雲雀は存在を確かめる。

 

「君が居るなら、もういいんだ」

「……ぁ」

 

 雲雀が笑った。今度は見間違いじゃない。親しいものにしかわからないほどの変化だが、確かに笑っている。

 

 真っ赤に染まる。優は自分の体温があがってることがはっきりとわかった。特に雲雀の手が触れている頬が熱い。

 

「雲雀、先輩……」

 

 警報が鳴り響く。これ以上近づいてはいけない。

 

「っ!」

 

 優の耳にしか聞こえない小さな足音。その音のおかげで、雲雀の身体を押して離れることが出来た。

 

「雲雀先輩、私の頬に何かついてました?」

「……もう、取ったよ」

「ありがとうございます」

 

 優は笑った。先程の行動が雲雀を傷つけてると気付いているにも関わらず笑った。

 

「帰るよ」

「……はい。へ?」

 

 手を握られ、首をひねる。

 

「雲雀先輩?」

「帰るって言ったよね?」

「あ、はい」

 

 雲雀は手を引いた。あれぐらいで引くわけがない。もう逃すつもりはないのだから。初めは雲雀が腕を掴んだことにも優は戸惑っていた。少しずつ触れてもいい範囲を広げるだけの話である。

 

「雲雀先輩、今日は誕生日ですよね?」

「知ってたんだ」

「はい。だから今日はご馳走ですよ!」

「それは楽しみだね」

 

 何度か瞬きを繰り返した後、優は笑った。

 

 

 

 

 家に帰った優は叫んだ。

 

「……なにこれーー!?」

「はぁ、今度は何」

 

 呆れながらも雲雀は話を聞く。

 

「ケイタイの着信履歴が凄いことに……」

 

 誰から連絡すればいいの!?と慌てている優を雲雀は見なかったことにした。

 




活動報告にも書きましたが、ペースダウンしました。


おまけ。
「雲雀先輩が原因じゃないですかーー!」
「……君が悪い」
「ええ!? 何でですか!?」
「ケイタイを置いていった君が悪い」
「……すみませんでした」
(うぅ、なんでこんなことに……)
『俺の話を聞かないからだ』
(……だね。神様、ごめんなさい)
『わかればいい』

2人から怒られる嵌めになる優でしたw
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