【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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夏祭り

 雲雀に夏祭りに誘われ、優はまた雲雀のバイクに乗って一緒にやってきた。

 

「わぁ」

 

 思わず会場を見て声をあげる優。夏祭りに行った経験も無いのだ。

 

「……行くよ」

「あ、はい」

 

 今日もしっかり見ていないと危なそうだと思いながら、雲雀は歩き出したのだった。

 

「5万」

「えーと、何してるんですか?」

 

 雲雀の行動を見て、優は興奮が少し冷める。会場に入ってすぐ1番近い店舗に雲雀が5万を要求しだしたからだ。そして原作を思い出したのである。

 

「風紀委員の仕事でね。活動費を集めてるのさ」

 

 大人しく雲雀に5万を払ってるので、出店料のようなものと判断し優は気にしないことにした。

 

「風紀委員の仕事があるんだったら、私1人でウロウロしますよ?」

「行くよ」

 

 ダメらしい。優は雲雀の後ろを大人しくついていった。

 

 キョロキョロと見渡していれば、雲雀が怖がられてることがよくわかる。何もしていないのに道が開かれるのだ。

 

(そんなに怖くないのにね)

 

 意味もなく雲雀は咬み殺さない。多少は理不尽な時もあるが、真面目に過ごしている人に雲雀は手を出さない。

 

 うーん……と悩んだ後、雲雀の服をツンツンと引っ張ってみる。

 

「なに?」

 

 えへへと優は笑う。やっぱり雲雀は怖くない。

 

「……カキ氷、1つ」

「へ?」

「食べたいんだよね?」

 

 よく見るとカキ氷の屋台の前にいた。雲雀は優が食べたいと駄々をこねてると思ったようだ。それはどうなのかと一瞬思ったが、食べたかったのは事実だったので、笑顔で頷いた。

 

「味は?」

「イチゴです!」

 

 カバンからサイフを取ろうとすれば、雲雀に手で押さえられる。どうやら奢るつもりらしい。

 

「お金あるので、大丈夫ですよ」

「いい。僕が払う」

「でも」

「僕が払うって言ったよね」

「…………」

「…………」

 

 久しぶりに水面下でバトルが起こる。だが、ふと雲雀が優から視線を外し、先にお金を支払ってしまう。

 

「あーー!」

「僕の勝ちだよ」

 

 ずるい、悔しいと言いながら、優は雲雀からカキ氷を受け取った。それからは少しでも優が物欲しそうな顔をすれば、先に雲雀がお金を払ってしまう。

 

 気付けば優の手には、ヨーヨーとわたあめの袋、さらにタコ焼きを持っていた。

 

「うぅ……悪いです……」

 

 今までの雲雀の食事代に比べれば、微々たる金額だ。だが、無条件に物を貰うことに慣れていない優は罪悪感でいっぱいになる。

 

「……1つちょうだい」

「はい!」

 

 このままでは優が楽しめないと判断した雲雀は、タコ焼きを1つ食べることにした。すると、優がふぅふぅと息を吹きかけた後に「あーん」と言って手を差し出した。

 

「…………」

 

 雲雀にとって優のこの行動は予想外だった。2人っきりなら気にしない。だが、今は外だ。人前でそういう行動をとったことがない。今までも人前で手を握ったことはあるが、優を無理矢理連れて行ってるという形だ。後は夜が遅いなど、人がいないところでしかない。

 

「雲雀先輩?」

 

 不思議そうな顔をしている優にわかるように、雲雀は周りに目を向けた。これだけで優はわかるはずだ。

 

「……ぁ」

 

 状況を理解したのかボフンと顔を赤らめる。

 

 その反応は反則だ。

 

 ただ慌てて謝るだけと思っていた。だが、優は恥ずかしがった。そして雲雀はもっと見たいと思ってしまった。

 

「えっ? えっ?」

 

 戸惑う優を無視し、差し出された手を掴んでタコ焼きを食べた。

 

「……ん、普通かな」

 

 周囲の人間が固まって姿を尻目に雲雀は優の顔を見た。恥ずかしさが上限に達したのか、真っ赤な顔で目が潤んでいる。雲雀でなくても、手を出したくなる反応である。

 

「……行くよ」

 

 返事はなかったが、優は雲雀の後をついてきている。だが、先程よりもペースが遅い。少しやりすぎたかなと思いながらも、反省する気はない雲雀だった。

 

 タコ焼きを食べるのを忘れ、ポーッとしながら優は歩いていた。非常に危なっかしい足取りである。夏祭りという場所の関係もあるが、声をかけやすい雰囲気を優は出していた。

 

「ねぇ、一緒にまわらない?」

 

 優は瞬きを繰り返す。雲雀の後姿をみながら歩いていると、知らない人が声をかけてきたからだ。

 

「一緒に、ですか?」

「せっかくだから可愛い子と一緒にまわりたいんだ」

 

 回りくどい言い方をされると、全く優は好意に気付かないが、はっきり言われれば鈍い優でもわかる。

 

「ごめんなさい。先輩と一緒にきてるんです。でも、ありがとう」

 

 ペコッと頭を下げて断り、優は雲雀の姿を探す。すると、声をかけた人の後ろにトンファーをかまえた雲雀の姿があった。

 

「僕の連れに何か用?」

「え゛っ」

「一緒にって誘われたんです。可愛いって言われましたっ」

 

 てへっと嬉しそうに話す優。今までに言われたことがない言葉だから喜んで報告しただけで、決して声をかけた男に絶望を与えようと考えたわけではない。

 

「……へぇ、そうなんだ」

「ヒバリさんの彼女とは知りませんでした!! 申し訳ございません!!!!」

 

 いきなり土下座したのを見て優は今の状況が読めずに首を傾げた。状況はわからないが、言わなくてはならないことがある。

 

「私は雲雀先輩の彼女じゃありませんから、大丈夫ですよ」

 

 フォローになってない。

 

「……タコ焼き、冷めるよ」

 

 ああっ忘れていた!と優がショックを受けてる間に、雲雀は男を咬み殺した。

 

「雲雀先輩!?」

「風紀を乱した彼が悪い」

「あ、そうだったんですね」

 

 優に声をかけたことが、ナンパ行為とは結びつかないらしい。雲雀は溜息をつくしかない。

 

「行くよ」

「あ、はい」

 

 風紀委員に連れられていく姿を見ていると、雲雀が歩き出したので優も歩き出す。すると、突如雲雀が振り返ったので、優は首を傾げた。

 

「僕の手の届く範囲で居て」

「はぁい」

 

 トタトタと駆け寄り、雲雀の斜め後ろで優はタコ焼きを食べ始めた。

 

 満腹になりしばらく大人しく歩いていた優だったが、ツナの姿を発見し雲雀を追い越す。そして数歩進んだところで立ち止まって振り向いた。

 

「雲雀先輩、行ってもいいですか?」

 

 行きたい、行きたいと目でいいながらも、雲雀の言いつけをちゃんと守ってるらしい。仕方なく許可を出し、雲雀もツナの屋台に向かう。

 

 雲雀が向かうとお金を払うか払わないかで揉めていた。

 

「ちゃんと払うって」

「いつも優には迷惑かけてるし、いいってば」

「ダメだって。売上に貢献するよ!」

 

 再び溜息を吐き、山本にお金を突き出す。雲雀の登場に驚きはしたものの、優がいるのでそこまで続かなく受け取った。

 

「ツナ、もう風早の分はもらっちまったぜ」

「あーー!! また雲雀先輩が払ったんですか!?」

「えーー!? ヒバリさんがーー!?」

 

 口を尖らせながらも優はチョコバナナを受け取る。だが、食べる時には幸せそうな顔をしてるので奢りがいがありそうとツナは思った。

 

「あ、ツナ君。お金の準備してる? 雲雀先輩に5万円渡さないといけないよ」

「ショバ代って風紀委員にだったんだ……」

 

 優に催促され、ちょっとツナは疲れた。なんだか違和感が無い。むしろ慣れている感じがする。だが、ヒバリに催促されるより優の方が精神的にはいいので、ツナはそのことについては何も言わなかった。

 

「行くよ」

 

 回収が終わるとヒバリが次の屋台に行ったので、優は慌ててツナに声をかける。

 

「ごめんね、手伝いたいけど離れると怒られるんだ。頑張ってね!」

 

 なんてことのないように言って優は雲雀の後についていったが、群れることが嫌いな雲雀が離れれば怒るという矛盾がおきている。

 

 改めて優は規格外だとツナ達は思った。

 

 

 

 しばらく順調に集金していると、ヒバリがふと顔をあげ、とある場所を睨んでた。

 

(あー群れてるもんね。それも雰囲気悪そうだし)

 

 結構な人数なのでツナ達がきても怪我をするんじゃないのだろうかと悩み始めていると、雲雀が言った。

 

「君、そこの風紀委員と一緒に居て」

 

 ポンっと手を叩く。そういえば強いという話をしていなかった。そもそもあれから雲雀は詳しく聞きだそうとしなかった。

 

「大丈夫です? 私、手伝いましょうか? ちょっとは役に立ちますよ」

 

 護身術程度の力ならば使っても問題ないだろうと思って声をかければ雲雀が優を見て言った。

 

「もう1度言わないといけないの?」

 

 怒られた。

 

「……はぁい。気をつけてくださいね」

「問題ないよ。君達、頼んだよ」

「はい!! 委員長!!」

 

 大人しく雲雀に言われた通り、風紀委員と一緒に居るのだが、居心地が悪い。気分転換も兼ねて、雲雀が向かった方の音を拾う。

 

(獄寺君達も合流したみたいだねー。怪我しないように気をつけてよー)

 

 原作を知っているが怪我の具合を心配し、ハラハラと見守っているとすぐに静かになる。もう終わったようだ。ふぅと肩の力を抜き、音を拾うのをやめると、風紀委員の人数が2人から4人に増えていた。

 

 若干引いてしまい、縮こまるように立つ。今すぐ逃げ出したい。逃げ出せば彼らが怒られると思ったので実行しないが。

 

「君達、もういいよ」

 

 雲雀の声が聞こえ、ホッと息を吐く。

 

「どうしたの?」

「なんでもないです。怪我してませんか?」

「問題ないよ」

 

 念のため、雲雀の周りを一周まわる。

 

「大丈夫そうですね」

「……さっき言ったよね?」

「雲雀先輩のことは信頼してますが、怪我とかに関しては信用してません」

 

 キッパリと言い切る優。

 

「……もし怪我すれば、君に言うよ」

「本当、ですか?」

 

 怪しむ優。とことん信用がないらしい。

 

「君が診てくれるならね」

 

 悩み始める優。医者に診てもらった方が絶対にいいが、素直に行くかは怪しい。ある程度は勉強しているが、腕の差がありすぎる。報告してくれるだけ良いと考えるべきなのか。

 

「……行くよ。花火みたいでしょ」

「見たいです!」

 

 パアアァと輝き出した優の顔を見て、やっぱり悩んでる顔よりこっちの方がいいと雲雀は思ったのだった。




日常編はこれで終わりです。
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