【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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日常編
リボーンの世界へ 1


 目を開けると、ソファーに座っていた。神が用意した家に興味があり、優は片っ端から扉をあけようとしたところで頭に声が響く。

 

『聞こえるか?』

「神様?」

『ああ。念のため、先に窓を開けた方がいいと思うぞ』

「あ、そうだった」

 

 神に言われ、飛んでくる可能性があるという話を思い出す。初日から窓を割られたくはないので、慌てて窓を開く。

 

 開けた拍子にキラッと光るものが見え、優は冷や汗を流す。おしゃぶりかもしれないが、勢いのついたまま飛んでくるならば逃げたい。

 

 優の懸念に気付いたかのように、おしゃぶりは優の前で止まる。

 

「おー」

 

 つい優は声をあげ、さらに拍手もする。

 

「じゃなくて……首からさげないと」

 

 手を差し出せば、優の手の中に落ちる。先程まで飛んでいたのがウソのようだ。首にさげると、どこかしっくり来る。

 

「適合者ってことかな?」

『机の上に、おしゃぶりを入れる袋を置いたぞー』

「え? もう? ありがとう」

 

 袋以外にも先程見た時にはなかったものがあるが、優は袋を持った。リボーンがまだ並盛にいないとしても、優は詳しい日付を覚えていないので今から入れることにしたのだ。

 

『特別製だから風呂に入っても取る必要はないから安心しろよ』

「うわー。助かります」

 

 人目がないところで自分のことになると優は途端にめんどくさがりになる。神の気配りに喜んだ。

 

『次はネックレスを見てくれ』

 

 神に言われ、目を向ける。ただの十字架のネックレスにしか見えない。

 

『「発動」と言えば逆刃刀になる。「解除」で元のネックレスに戻るからな。これは優の声で登録しているから他の者が言っても使えないぞ』

「まじか」

 

 優が思わず言ってしまうのも無理もない。匣兵器よりも凄そうな物をあっさりと用意出来るのは神だから出来ることだ。

 

『まぁ未来では匣になるだろう』

「だね。その方が使いやすいもんね」

 

 ハイスペックなものを持っていれば、一体どこから入手したのかという問題が起きてしまう。そんな面倒を背負うことになるなら、その時代に合わせた武器の方がいい。

 

『最後に並盛の地図。後で確認してくれ。他にも隣の寝室には学校生活に必要な物があるからこれも確認してくれよ』

「わかったー」

『学校には歩いて5分もかからない。登校時間は8時半まで。遅れると……わかるよな?』

 

 神妙な顔で頷く。咬み殺されたくはない。

 

『細かいところはあるが、それはその都度説明したほうがいいだろ?』

「……そうかも」

 

 覚えられなくはないが、一つ一つ説明してもらった方が楽だ。

 

『じゃ、困ったら念じてくれ』

「ありがとー」

 

 神との話を終え、優は家の探索を始めたのだった。

 

 

 二階のない、洋室と和室が1つずつある2LDKの一軒家。家具や日用品、食材なども揃っていて、服などを見ると優の好みにあわせているようだ。はっきり言って十分すぎる。

 

 他にも通帳の金額がありえない額だったので、優は神との金銭感覚のズレを認識した。

 

「……学校、行ってみよう。遅れたら怖いし」

 

 気分転換も兼ね、優は外に繰り出したのだった。

 

 神の言葉通り5分も経たずに優は校門の前に居た。地図を片手に歩いたが、必要がないほど近かった。当然、優は中に入るという無謀なことはしない。一歩でも敷地内に入れば、どうなるか知っている。

 

「ねぇ、何してるの?」

 

 ギギギという音が聞こえそうなほどゆっくりと振り返る。無視する選択はどうしても出来なかった。

 

 声をかけた人物――雲雀の顔を見て優の心の中は絶叫の嵐である。それでも顔には出さなかったのは、日ごろの行いの成果なのだろう。

 

「え? 私ですか?」

 

 キョロキョロと周りを見渡しながら、問いかける。

 

「そうだよ」

「明日ここに入学するんです。引っ越したばかりで道を確認しにきたんです」

 

 ニコニコと嬉しそうに返事をする優は、雲雀の怖さを知ってるとは思えない態度である。

 

「ふぅん」

 

 雲雀の目を誤魔化すほど、優は新しい生活を楽しみにしているとしか見えないただの少女だった。

 

「入ってみるかい?」

(えええええ!? ちょっと待って、なんでそんな方向になった!?)

「え? いいんですか?」

 

 本音と違う言葉を口にする優。ここまで来るといっそ清々しい。

 

「僕が良いって言えばいいよ」

「はぁ……?」

「行くよ」

「あ、はい」

 

 すぐに流されるのは育った環境のせいなのだろう。優は大人しく雲雀の後をついていくしかなかった。

 

 内心ビクビクしていた優だが、目の前にマンガの景色があると、テンションがあがっていく。会話はなく、ただ雲雀の後ろをついて歩いていくだけだが、楽しい。無意識に感嘆のため息が出る。

 

「君は風早優だよね」

 

 雲雀の声に現実に戻る。

 

「ええ! 何で知ってるんですか?」

(風紀委員こわっ! 個人情報、関係ないっ!! もう新入生の名前を覚えたのー!?)

 

 優の質問を無視し、雲雀は歩き続ける。間違ってないか確認したかっただけのようだ。

 

「ここが君の教室だよ」

(うおっ!? そう来たか!)

 

 淡々と話す雲雀に対し、優の本音は忙しい。

 

「そうなんですか? 1-Aなんだぁ……」

 

 ツナと同じクラスなのは、呼ばれたからなのだろうかと考える。だが、目の前には1-Aの教室。すぐにその考えは頭の隅に消えていった。

 

「……そろそろ行くよ」

「わっ、すみません」

 

 雲雀の存在をすっかり忘れ、見入ってしまった。慌てて優は謝り、雲雀の後をついていく。しばらく歩けば、校門まで戻ってきた。1度も同じ道を通らなかったのは、案内だからなのだろう。1-Aの教室しか説明はなかったが。

 

 それでも優が知っている雲雀と違う。疑問に感じていても言葉にすることは出来ない。

 

「じゃぁね」

「はい。先輩、ありがとうございました!」

 

 優の言葉に雲雀は足を止め振り返る。

 

「どうかしましたか?」

 

 おかしな言葉を言ったつもりはない。先輩と言ったが、それは制服を来て案内をしたのだから変なことではない。雲雀さんと言えば問題だっただろうが。

 

「……雲雀恭弥」

「え……?」

 

 ほんの数秒、見つめ合う。

 

 我に返った優はすぐに頭を下げる。

 

「ありがとうございました! 雲雀先輩!」

 

 優が顔をあげた時には、雲雀はもう校舎に向かって歩き出していた。

 

(あー、しまったなぁ。最後の最後で気が抜けてしまった。咬み殺される恐怖を抜きにしても、1番好きなキャラだから、気をつけようと考えていたのに……)

 

 忘れるように首を振り、歩き出す。出来るだけ関わらないようにしようと考えながら――。

 

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