【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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手紙

 家に戻った優はすぐさま雲雀の怪我を診た。だが、あまりにも酷い怪我で優の手は止まってしまう。

 

「……泣かないで」

「ごめん、なさい……」

 

 泣きながらも慌てて手を動かそうとする優の手をとった。

 

「怒ったわけじゃないから」

「……はい、すみません」

 

 また優は泣きながらも笑い、さらに謝った。……そうさせたのは雲雀だ。

 

「どうしたんですか?」

 

 頬に手を添えられ、不思議そうな顔をする優。そして、瞬きをする間もなく、雲雀の顔との距離がなくなった。

 

「…………」

「…………」

 

 雲雀が離れると、瞬きを何度も優は繰り返す。

 

「……えええええ!?」

 

 顔を真っ赤にし唇を押さえ雲雀から距離をとる動きは、先程のような鋭さは一切ない。雲雀がよく知ってる優の動きだ。

 

「な、何するんですか!?」

「我慢できなかった」

 

 悪びれもせず雲雀は言った。口をパクパクするだけで優は言葉が出てこない。

 

「僕のせいで泣いたから、止めたかった」

 

 それを聞いた優は雲雀との距離を戻す。恋人とするものと思っていたが、このような慰め方もあるのかと思ったのだ。現に涙は止まっている。

 

「……僕以外にその場所を許せば、君に何をするか僕でもわからないから」

「わ、わかりました!」

 

 敬礼をする優。本当にわかってるのか怪しい。思わず雲雀は睨んだ。

 

「大丈夫です。触れられる前にちゃんと逃げますよ。雲雀先輩以外嫌ですもん」

 

 雲雀は頭が痛くなった。この状況で煽られると誰が予想出来ただろうか。

 

「……この件が片付いたら覚悟してね」

「ええ!? なにをですか!?」

 

 怒られたと勘違いし半泣きになってる優をみて、雲雀は肩の力を抜いたのだった。

 

 優の出来る処置が終わった時には、雲雀は眠っていた。敵陣ならば起きていただろうが、今は優の家だ。緊張が切れたのだろう。優は風で雲雀を浮かせ、ベッドに運ぶ。

 

「少し出かけてきますね」

 

 眠ってる雲雀に声をかけ、優は再び外に出たのだった。

 

 

 

 

 並盛商店街についた優はツナの横に降り立った。

 

“遅かったか……”

 

 優が着いた時には獄寺が倒れ、山本とツナが駆け寄っていたところだったのだ。

 

「うああああ! 次は誰ーーー!」

 

 ツナと獄寺を庇うように山本がバットを構えたのを見て優は言った。

 

“このままじゃ彼が死ぬ。治療させてくれ。少しでも変だと思ったら僕を斬ればいい”

 

 山本はチラっと獄寺を見て、一歩横にずれた。優はすぐさま獄寺の治療にかかる。

 

「あ、あの……獄寺君は大丈夫なんですか……?」

 

 怖がりながらもツナが質問するので安心させたかったが、それは出来なかった。

 

“僕の腕じゃ応急処置しか出来ない。特に毒がやばい”

「それじゃ、急いで病院に……!」

“いや、Drシャマルを頼った方が良い。病院では間に合わないかもしれない”

 

 優が獄寺を担ごうとした時に、山本が待ったをかける。

 

「お前の身長じゃ大変だろ?」 

 

 ニカッと話しかけてきた山本の言葉に優は驚きもせず頷いた。体格は誤魔化しているが、誤差が大きすぎると違和感がおきる。そのため、身長を数cm誤魔化した程度では獄寺を運ぶには厳しいと思われるのは当然のことだ。

 

“周りの警戒は僕がする。多少の腕は立つから安心しろ。僕は上に居るから”

 

 そういって、優は商店街の屋根まで駆け上がる。驚いてるツナに山本は心強いじゃねーかと言って空気を和ませた。

 

 

 

 獄寺を治療してる間、優は校舎に入らず保健室の窓に寄りかかるように外で立っていた。

 

「お前が診たんだってな」

 

 小さな声でシャマルが言った。ツナ達を「男が用もなくうろつくんじゃねぇ」と廊下に放り出したので、話しかけてきたのだろう。

 

“素人に毛が生えた程度の腕だけどな。そもそも専門外だ”

「いや、十分だ」

 

 男は診ねぇつーのに……とぼやきながらも手を動かしているシャマルに優は表情を緩める。

 

“軽くだが彼に僕の体力をやった。多少は役に立ってるはずだ”

「医者なら喉から手が出るほど欲しい能力だな」

 

 確かにと優は笑った。

 

「ちゃおッス」

“……どうも”

 

 気配を殺しながら窓に座ったリボーンに気付いていたが、普通に挨拶されると思っていなかったので一瞬返事が遅れた。

 

「おめーがヒミツか?」

“……敵の首謀者らしき人物にも同じことを言われたな”

 

 ピクリとリボーンが反応したのを優は見逃さなかった。

 

“雲雀恭弥は僕が保護した。狙いはボンゴレ10代目。……悪いが間違われたから訂正させてもらったぞ”

「問題ねーぞ。ヒバリは無事なのか?」

“骨を何本か折られている”

 

 雲雀の怪我を思い出し、優は目をつぶった。

 

「ヒバリは今どこにいるんだ?」

“風早優の家”

 

 下手にウソをついてもバレると思ったので、正直に教えた。

 

“いくら彼女が言っても、彼は起きればまた乗り込むだろう。だから解毒薬がほしい”

「シャマル」

「……ったく、ほらよ」

 

 ポイッと投げられた解毒薬を優は受け取った。一般人である雲雀に病気をかけてしまったので、いつでも治せるように準備していたのだろう。

 

“助かる。敵の情報はいるか?”

「いらねーぞ」

 

 優はリボーンの顔を見た。情報はいくらあってもいいはずだ。

 

「やばくなったら、おめーが出てくるんだろ?」

 

 優はフードの上から頭をかいた。雲雀と獄寺を続けて助ければ、リボーンに読まれるのは当然だ。

 

“僕は争い事が苦手なんだ。あまり当てにするなよ。じゃぁな”

 

 それだけを言うと、優は立ち去った。

 

「追わなくていいのか? あれは強いぞ」

「フゥ太のランキングを妨害するほどの能力もある。それに今探って、あいつがこの件から手を引くのは避けてぇからな」

「今は、ってか」

 

 シャマルの呟きにリボーンはニヤリと笑った。

 

 

 

 

 家に戻った優はというと、すぐに雲雀の様子を見に行く。まだ眠ってることにホッと息を吐き、いつものように雲雀の頭を撫でながら優は悩みだす。

 

(転生者っぽいのもいたし、ツナ君達が心配なんだよねー。でも雲雀先輩が起きれば、絶対無茶するし。解毒薬は貰ってきたけどさー……)

 

 チラっと雲雀の顔を見る。相変わらず寝顔は可愛い。

 

(ベストは雲雀先輩が起きる前に終わらすことだけど、多分無理だろうなー)

 

 原作とは話がズレているが、雲雀が重要なキャラというのは変わらない。優が力ずくでおさえれば、雲雀が向かうことは出来ないだろうが、その場合はツナ達が危うくなる。

 

 仕方がないと息を吐き、優は手紙を残していくことを選んだ。

 

「……なんて書けばいいの?」

 

 手紙を書いた経験がない優は、一文字も浮かばず完全に手が止まった。

 

 

 

 

 優が家を出て10分も経たない間に、雲雀はパチッと目を覚ます。すぐに枕元に置いてある手紙と『行くなら絶対に飲んでください!! 桜クラ病が治ります!!』と内服薬の袋に書かれたものと水が目に入る。

 

 手紙をポケットに入れ、雲雀は薬を飲んですぐに外に出た。

 

「ねぇ、何してるの?」

 

 トンファーをかまえ、優の家の周りをコソコソと動いていた人物に向かって雲雀は言った。が、返事を待つこともなく雲雀は咬み殺す。この時に鳥が優の家の周りに飛んでいることに気付いたが、それは放置した。

 

 鳥についているカメラの映像を見て「ヒバリさーん!!」とツナが感動してるとは知らず、雲雀は溜息を吐く。相変わらず肝心なところが抜けている。雲雀の人質だけでなく、ボンゴレ10代目……ツナの人質になる可能性をなぜ考え付かないのだろうか。

 

 手紙の内容も大方想像できる。ツナが心配で見に行ってるとか、詳しい話は後でするとか、最後には雲雀に無茶しないでと書いているだろう。

 

 大正解である。

 

 手紙の内容を雲雀が見もせずに当てたことを知れば、あれだけ悩んだのに!と優は嘆いただろう。だが、雲雀からすれば、優はわかりやすいのだ。それに無茶をするとすれば、自分に無頓着の優の方だと雲雀は思っている。

 

 ……はっきり言おう、どっちもどっちである。

 

「待ってて」

 

 ポツリと呟き、雲雀は痛む身体を無視し動き出したのだった。

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