【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
屋上から優が建物に入った時には憑依弾を使われ、獄寺とビアンキがのっとられていた。そして千種と犬もいる。雲雀の方を見ると、なんとか立っている状態だ。動いたことで悪化し、骸が倒したと思い1度気力が切れた反動だろう。
(はやく終わらせないと……!)
ツナの成長が終わってないにも関わらず優はツナと合流してしまう。
“状況は?”
「あなたは……!」
優が現れたことでツナは感動するような視線を送る。ツナから詳しい話を聞けないと判断した優は、リボーンを見る。
「奴の持ってる武器に気をつけろ。あれで傷つけられば、憑依を許すことになるぞ」
予想通りの内容だった。優は雲雀に視線を向ける。ツナだけなら何とかなるが、2人を守りながらは厳しい。
“雲雀恭弥は自分で身を守れるか?”
雲雀に睨まれ、優は心の中で謝った。自分のことで精一杯なのは優の方だとバレているとわかったからだ。
ダイナマイトがツナと優の上から振ってきたので、ツナの腰に手をまわして一緒に避ける。ツナが軽い悲鳴をあげているが、状況が状況なので無視した。飛んでくるのはダイナマイトだけではない。
“どうしたい?”
「なんて言ってるのー!?」
戦闘音でよく聞こえなかったようだ。
“君はどうしてほしいんだ”
「お願い! この状況をなんとかしてーー!?」
ツナを守りながらとなると、優は本気を出さなければならない。ヨーヨーから出てくる針やダイナマイトは普段の風の量でツナを守ることは出来るが、骸の幻術は厳しい。全て避けなければ、優は大丈夫でもツナがあたってしまう。ツナを抱えたまま、刀を抜いて突撃することも出来ない。
チラッとツナと見て、それからビアンキと獄寺に視線を向けた。優は腹を括るしかなかった。ツナの頼みは断れない。それにこれ以上怪我を悪化させたくなかった。
“っ!?”
「ヒバリさん!?」
ツナの声が聞こえたのだろう。雲雀は怪我を覚悟し駆け出した。もちろん骸の武器に傷つけられるというヘマはしない。だが、一刻も早く終わらせなければ、優が方を付けてしまう。これ以上人を傷つければ、優自身が傷つくと雲雀はわかっていたのだ。
優は無茶だと思った。雲雀は強いが、幻術に対抗する術がない。すぐに飛び出すタイプの雲雀が先程まで避けるのを優先していたのも、幻術の影響が響いているからだ。
“君の身体に少し負担をかけるぞ”
「え?」
ツナの疑問の声を無視し、優は走った。優は雲雀の動きを見て、どの攻撃を当たるつもりなのか、すぐにわかったのだ。雲雀はヨーヨーから出る針に毒が仕込んでいることを知らない。
トンっと雲雀を押し、雲雀の方へツナを放り投げる。雲雀が当たるはずだった幻術とヨーヨーの攻撃を優が代わりに食らう形になった。
「そんな……!」
ツナはまともに優が食らったように見えた。しかし攻撃が納まった時に出てきた優は無傷だった。幻覚攻撃はきかなく、針は風で軌道を逸らしたり、刀を抜いて叩き落としたからだ。
「……厄介な」
思わず骸が呟くのも当然だ。骸からすれば、優は相性が悪すぎる相手だ。
「ねぇ、君」
「うわーー、すみません! すみません!」
優に放り投げられて、助けられるような形で雲雀の上に乗っかってしまったツナは慌てて降りようとする。その腕を雲雀は掴んだ。
「あれにつかう言葉は考えたほうがいい。後悔するよ」
ツナにしか聞こえないような声で雲雀は言った。そして、言い終わると同時に雲雀はツナを捨てるように放り投げ、立ち上がる。
「邪魔しないで」
“あの針には毒が仕込んであるんだぞ。……僕が悪いのか?”
睨まれ、思わず確認してしまう優。当然のようにそれを雲雀は無視した。優は溜息しか出てこない。雲雀からすれば、優の行動に溜息しか出ないのだが。
ツナは2人の様子をジッと見ていた。今までにあるかどうかわらかないほど珍しい雲雀からの助言。それを切って捨てることをツナは出来なかった。
「ま、待って!」
“どうした?”
すぐにツナの言葉に耳を傾ける姿を見ると、雲雀の言葉がより実感する。
「大丈夫だよね……?」
“心配しなくても君は守るよ”
返事をすると同時に刀を戻しながらツナのもとに行き、ツナを抱えてまた避けはじめる。
「……違う。君が大丈夫なんだよね!?」
優は言葉が詰まった。大丈夫かと問われれば、大丈夫ではないからだ。気合を入れなければ、泣き出しそうなのだから。
「そうでした。君はボンゴレと同レベルの甘ちゃんでしたね」
ブシュッと骸はビアンキの身体を傷つけた。
“やめろ! ……やめてくれ”
搾り出したような声で、懇願するような言葉に変わる。そして、優の動きが鈍くなった。
雲雀がまずいと判断し攻撃に走るが、幻覚が雲雀の動きを邪魔をする。怪我を覚悟で飛び出したいが、今の優にそれを見せるわけにはいかない。リボーンが動けば何とかなるだろうが、リボーンは手を出せない。
「ツナ、こいつはおめーより戦闘に向いてねぇぞ」
「やっぱりー!?」
リボーンの言葉にすぐに同意するほど、抱えられていたツナは肌で実感していた。
“……大丈夫だ”
ふぅと大きな息を吐き、深呼吸を繰り返し優は自分を保つ。
「絶対大丈夫じゃないよねーー!?」
“争いに向いてないのは自分が1番わかってる! だけど、仕方ないだろ!? 彼は相性が良くないし、このままじゃ君が……君達が死ぬじゃないか!”
本音が出た。
「だからって、君が無理をするのはおかしいじゃないか!!!」
ハッとしたように優がツナの顔を見たと同時に、レオンの羽化が始まる。
原作とは全く違った言葉。だが、誰かのためにしか超モードになれないツナらしい言葉だった。
「ねぇ、これなに?」
雲雀は鬱陶しそうにプチプチとレオンの羽化した時に出てきた糸を切っていた。
「オレの生徒が成長すると羽化するんだ。ツナ専用の新アイテムを今から吐き出すんだぞ」
「ふぅん」
雲雀が相手なのでリボーンは簡潔に説明する。よくわかっていないツナは無視である。リボーンにとって雲雀の説得の方が重要だからだ。雲雀に譲ってもらわなければ、ツナの成長した姿が見れない。
「ヒバリ、ツナに任せてもらえねーか?」
「……今回だけだよ」
何か条件をつけなければならないと思っていたので、リボーンはあっさりと引き下がった雲雀を見る。
「彼に借りがあるからね」
雲雀はツナを見て言った。リボーンはいつツナが雲雀に借りを作ったのかはわからない。ツナからそんな話を聞いた記憶もなかった。気にはなるが、このチャンスを逃すわけには行かない。
「サンキューな」
「別に。彼がやられれば、僕が咬み殺すだけだ」
雲雀がそう言っているが、ほんの少しでもツナを認めなければ借りがあっても任せなかっただろう。
今回、雲雀はいつものように優に声をかけることが出来なかった。理由もなく優が正体を隠すようなことをしないと雲雀はわかっていたからだ。その中で正体がわかっていないにも関わらず、僅かな助言だけでツナは優を止めてみせた。
優が世間話として何度も「ツナ君は、凄いんですよ」と言っていた理由を、ほんの少しわかった気がしたのだ。
一方、散々心配をかけていた優はというと、自分が思っていた以上に一杯一杯だったこと気付く。
(私のバカ。ツナ君を成長させるのを忘れていたなんて……)
雲雀を助け出した時はまだ覚えていた。獄寺を保健室に連れて行った時も問題なかっただろう。獄寺の治療中に笑うことが出来たのだから。初めての戦闘でストレスを感じていたが、まだ大丈夫だった。雲雀の怪我を見て心配になったが、そこまで動揺はしなかった。雲雀の性格はよくわかっていたから。
決定打は恐らく獄寺とビアンキがのっとられた姿をみた時だ。怪我の状態を診て、冷静になれなかったのだ。
はぁと大きな溜息を吐き、ツナを抱えたまま飛び上がる。そして、レオンから出た新アイテムをキャッチする。
“君のだってさ”
「え? オレの?」
よくわかってないツナのために、優は説明する。
“君の専用武器って彼が言ったぞ。とりあえずその手袋をはめてみろ”
半信半疑のままツナは手袋をつける。
「あれ? 何か入ってる? た、弾だ!!」
「よこせ、ツナ」
ツナが戸惑ってるので、優がツナから奪ってリボーンに投げる。
“任せたぞ!”
受け取ったのを確認したのでリボーンの方へツナを勢いよく放り投げた。特殊弾と気付いた骸がツナと優に向かって一斉攻撃をしかけたからだ。
「危ない!?」
ふっと力を抜き、優は刀を抜く。ツナの叫び声は聞こえていないほど、集中していた。全方位から放たれたため風で1番ダメージが入らないルートを見極め、刀で道を切り開く。
優が刀を鞘に納めた時には、無傷で脱出していた。
“こういうのは問題ないんだ”
ポツリと呟いた言葉はカッコ悪いが、優の性格をよく表している言葉だった。
正体もわからない人がツナのためにピンチになり、ツナが後悔したタイミングでリボーンは特殊弾を撃った。特殊弾の効果でリアルタイムでツナの頭の中に小言が届いていく。
無事に脱出していた優は少し考え、声に出すことにした。正体がバレるようなことが流れれば、そっちに意識が行き、ツナがハイパー化しない可能性があるからだ。
“僕からは……悪い、君の気持ちを考えてなかった”
すっぽりと抜けてしまった。ツナは誰かを巻き込むのを嫌がるとわかっていたはずなのに。誰かを傷つけてまで守って欲しいと思っていないことを知っていたのに。あの時はツナ達が死なないなら、それでいいと優は思ってしまった。
“それでも、この性格を直せるとは思えない。……善処はする”
ツナは笑いそうになった。それはもう小言ではない。ただの開き直りである。
初めて会ったが、誰かのためになら無茶をしそうなこの人も守りたいとツナは思った。
ツナ君の戦闘はカットします。
理由は雲雀さんが起きてる以外原作通りだから。