【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
伏線はありますけどね。
泣き止み、冷静さを取り戻した優は雲雀の状態を思い出し慌てて離れる。
「怪我が! 怪我が!」
いい雰囲気が台無しである。
「……大丈夫だから」
「ごめんなさい! 私の体力全部あげます!!」
うわーん!といいながら雲雀に手を伸ばそうとしたので、慌ててその手を掴む。
「それ、聞いてない」
「触れた人に私の体力をあげる能力です! ……獄寺君達にもあげるの忘れてた!」
雲雀は掴んでいた手を軽く握った。
「後で風紀委員に被害状況を確認させるから。君はもう休むんだ」
「ダメです! 雲雀先輩を病院に連れて行かないと!」
「君が思ってる以上に疲れている。……手が震えてるよ」
誤魔化すようにえへへと笑ってから優は言った。
「初めてだったから緊張しただけです。次はもっと上手くやりますよ!」
「……君はやらなくていいから」
「多分無理ですよ。ツナ君、トラブルをよく起こすもん」
これからの展開を考えると自然と頷いてしまう優。
「まぁツナ君が悪いんじゃないんですけどね。巻き込まれやすいんです。私の知らない間にも誰かのせいで雲雀先輩に咬み殺されてそうですし」
ツナを咬み殺そうと考えていた雲雀は溜息を吐くだけに留めた。
「それに今回は人質がいましたから……」
もっとも優が苦手なパターンだった。人質が助かるなら喜んで優は身を差し出すが、優がのっとられれば全滅するのでそれもできなかった。
「僕の町でもうそんなことは起こさせないよ」
「頼りにしてます」
ふふっと優が笑ったのをみて、気付けば雲雀は頬に手を伸ばしていた。
「雲雀先輩?」
同じ展開なのに、不思議そうに優は雲雀を見るだけだ。無防備すぎる。
「この件が片付いたら覚悟してって言ったよね」
思い出したのか、優は情けない顔をした。……その顔を見たいわけじゃない。
「僕なら嫌じゃないんだよね?」
鈍い優にもわかるように、その場所を指で撫でた。
「……ぁ」
思い出し恥ずかしくなったようで真っ赤に染まるが、嫌がる素振りを見せない。そんな反応をされれば雲雀は我慢できるわけがなかった。
ほんの少し触れるだけで、雲雀はそっと離れた。
今までの経験上、これ以上進めれば優は怖がって逃げてしまうからだ。気が長くなりそうだが、少しずつ進めるしかない。
「……僕は寝るから」
だからといって、ぽうっとしている優の顔を見て手を出さないと言い切るほど、雲雀は我慢強くなかった。
優が再起動した時には、雲雀は優のベッドでスヤスヤと寝息を立てていた。
(えー……)
思わず非難するような視線を送る。……悔しいことに寝顔は可愛い。
軽く溜息を吐き、起こすのはどうかと思ったので病院は明日にしようと決意する。しかし念のため何かあった時にすぐわかるようにこの部屋で寝ることにした。
和室から持ってきた布団を敷き終わると、優はもう1度雲雀の様子をみる。
(……どういう意味だったんだろう)
1度目は慰めるためと思ってる優は、先程の意味がわからないのだ。
(あ、そういえば覚悟してって言ったよね? 罰ってこと?)
うーん……と悩んでみたものの、経験が少なすぎる。1人で解決できないと判断し優は相談することにした。
(神様ー、助けてー!)
『……助けてあげたいが、その相談は乗りにくい』
ガーンとショックを受ける優。いつも神は優を甘やかすので拒否されるとは思わなかったのだ。
『話を聞くだけならいい……』
搾り出すような声で言ったので、優は迷惑をかけたくなかったので諦めることにした。
『いや、その、なんだ。優の話を聞くのは嫌じゃないんだ。その内容は……雲雀を殴りたくなるんだ』
(ええええ!? 雲雀先輩、何しちゃったの!?)
『……プライベートは守ってるって言ったろ? 見ないようにしてたのに、優から聞けば意味がない』
ふんふんと心の中で優は頷く。つまり内容を優から聞いてしまえば、神は雲雀を殴りたくなるといいたいらしい。雲雀に対して神が怒ってると優は解釈した。
(……私、嫌じゃなかったよ?)
嫌じゃなかったから罰にならないと優は疑問に思い、神に相談したかったのである。
『……雲雀をぶっ飛ばしてもいいか?』
(ダメ! 死んじゃう!)
優は神の強さを知っている。冗談では済まされない。どうやってするつもりなのかは優にはわからないが、神なら出来そうで怖い。
『あいつは生意気だ』
神がブツブツと文句を言い始めたので、優は素朴な疑問として質問した。
(神様ってもしかして雲雀先輩のこと嫌いなの?)
『好きではない』
悩む素振りもなく神は言った。でも嫌いとは言わなかったので、優はホッとした。
(神様だって、雲雀先輩を知れば好きになるよ)
『……今、無性に雲雀を殴りたくなった』
(えええ!? なんで!?)
神の姿を思い出しながら雲雀を見て、優は困ったように眉を下げる。
『雲雀と俺は相性が最悪だと思ってくれればいい。雲雀と骸みたいな関係だ。……認めてはいる』
(んー、残念だけど……わかった)
『それより、もう寝ろ。眠いんだろ?』
神に言われ、優は少し前から何度も目をこすっていたことに気付く。
(そうするー。相談は花にするよ。おやすみなさい)
『ああ。おやすみ』
最後にもう1度雲雀の状態を確認し、優は準備していた布団にもぐりこんだ。
優が目を覚めた時、雲雀はまだ眠っていた。
(この怪我だもんね……)
雲雀の手を握り、優は体力を渡していく。
「……やぁ」
「あ、おはようございます。体力をあげたから起きたのかな?」
へぇと感心したように雲雀は自分の身体を見た。
「あの、病院に行きましょうよ」
「ここで治す。……院長に来るように連絡はするから」
仕方がないように優は息を吐いた。
「看病してね」
「……当たり前です。放っておくことは出来ません」
そっと雲雀の手を離し、優は立ち上がる。
「おかゆなら食べれそうですか?」
「問題ないよ」
ふわぁぁとあくびをしながら優は台所に向かった。
優は2人分のおかゆを作り、寝室に持っていく。風で浮かせながら運んだので、雲雀は興味深そうに見ていた。
「便利そうだね」
「嵩が減るわけじゃないので、もの凄く便利ではありませんよ」
世間話をしながら、優は雲雀に食べさせ、スキをみて自分も食べる。
「君もそれなの?」
「作るのが面倒ですからね」
「……普段は何を食べてるの?」
どうして質問するんだろうと不思議に思いながらも優は答える。
「雲雀先輩が来なければ、白ご飯とお吸い物ですかね。凄く面倒だったらパンです」
仕込をしてしまっても冷凍できるものなら、優はおかずを次回に回すのだ。もちろん作ってしまえば食べるが。
「後は、ツナ君に友達が来ているから一緒にどう?って感じで誘われて行くことがありますね」
優が気をつかうとわかっているので、ツナは必ず優を呼ぶときはもう一人友達を呼んでいる。そのため優は素直にお邪魔できるのだ。
「昼は弁当作ってたよね?」
「あれは人の目がありますから」
気を許したのか、雲雀に本音を話し始める。
「……料理するのが好きだと思ってた」
「んー、それは雲雀先輩がいるからですね。いつも綺麗に完食してくれるじゃないですか。だから間違いではありませんよ」
誰かのためにしか動こうとしない優に、雲雀は気付かれないように溜息を吐いた。
「食べに来る回数増やすから」
「いいですけど、来る日は教えてほしいです。作ってしまった時に困ります」
雲雀は無視した。教えてしまえば、来ない日は手抜き料理しか作らない。
「はぁ。困った人ですねー」
どっちがだ。
「……君の家に住もうかな」
「え゛」
優の反応を見て、割と本気で悩み始めた雲雀だった。