【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
雲雀とディーノが戦いを始めて数日たった。原作と一緒のようで微妙に違うところがある。
例えば優がお腹減ったと呟けば、雲雀は中断しご飯を食べる。ちなみに中断するのは、雲雀が食べなければ優が遠慮し食べないと判断したからだ。
他にも食事の前に優が怪我を診るので、雲雀とディーノは酷い状態ではなかった。その分、戦いに集中しているが。
今日も終わりそうにないと判断し、優はそっと立ち上がり図書室に向かう。用意していたものがまた読み終わってしまった。
軽く鼻歌を歌いながら優は本を選ぶ。風紀委員に入ったことで、無駄だった経費を削減し本のレパートリーを増やすことが出来たのだ。
優は知識を得るためにならお金を使うことが出来たが、趣味の範囲になると神のお金をつかうことを躊躇し買えなかった。並盛の図書館に何度も通ってると気付いた雲雀が、経費内なら好きにしていいと言ったので1番気合を入れてした仕事だった。
バランスを考えて選んだが、優が読みたかったものばかりである。テンションがあがらないわけがない。
(そういえば、嵐戦で大変なことになるんだっけ?)
ふと優は嵐戦のことを思い出した。チェルベッロが直すと知っているが、貴重な本は用意できるのだろうか。普通は町の図書館にあることが多いのだが、並中には雲雀がいるので学校にも貴重なものが何冊かあるのだ。
(……移動させよ)
応接室なら問題ないと考え、優は本を持ち出す。理由は保存状態の確認のためでいいだろう。貴重な本は古いものが多い。雲雀の戦いが終わればする予定と言えば、先に運び出していても誰も何も言わないだろう。いつ終わるかは雲雀次第なのだ。文句を言えるわけがない。そもそも応接室には優と雲雀と草壁しか出入りしない。
気になる本を全て運び終えた優は今から読む本を持ち屋上に戻る。まだ修行しているので戦いに対する集中力の凄さがよくわかる。
(私には無理だ……)
優の性格では1時間が限度である。ここまでくると呆れを通り越し尊敬になる。
「恭弥、どうした?」
優は首を傾げた。雲雀がトンファーをしまったからだ。
「どうしたんです? 雲雀先輩」
「……はぁ」
溜息を吐きながら、雲雀は優のところにやってくる。優は不思議でしかない。グイッと手を握られ、どこかに連れて行こうとするので、慌てて優はディーノに声をかけた。
「すみません。ちょっと休憩みたいです!」
「お、おう?」
雲雀がディーノを咬み殺したいと考えているのですぐに戻ることになると優はわかっていた。そのため修行をつけれないことに焦るディーノへと声をかけたのだった。
雲雀に逆らわずついていくと、優は再び応接室にまで戻ってくることになった。
「優」
「はい?」
不思議そうな顔をしているだけで、何もわかっていないのだろう。
「どこ行ってたの」
「図書室ですよ?」
今まで何度も声をかけずに行ってたよね?と優は首を傾げた。
「時間がかかるなら連絡してよね」
「でも1時間ぐらいでしたよね?」
最近かまう時間が減っていることもあり、危うさのある優が何も言わずに1時間も消えれば気になるのは当然だ。
ここで優が逃げてしまえば、何のためにディーノと勝負をしているのかわからなくなる。もちろん咬み殺したい気持ちもあるのは否定しない。だが、もし雲雀が真剣勝負に勝てば、ディーノが何でも1つ言うこと聞くことになっている。雲雀がリングの話を聞くのを嫌がれば、ディーノから真剣勝負を持ちだしたことを考えると律儀な性格だとわかる。無理矢理聞かせようとはしないのだから。
優のためにこの勝負を勝つつもりなのに、優が逃げてしまっては本末転倒である。
「……僕だって心配するんだから」
優は何度も瞬きを繰り返す。そんな気はしていたが、声に出して言われたのは初めてなので驚いたのだ。
「んー……すみません。約束できないですね。もう1人の私の時は無茶すると思いますし」
雲雀の気持ちを知り、優は真面目に答えた。普段の優ならそこまで無茶はしないが、もう1人の場合は戦いがメインである。ツナ達が危険にあえば、助けに行くだろう。
「……怪我しないでね」
違う意味で言ったが、そう宣言されると心配にならないわけがなく、雲雀は声をかけた。
「努力はします」
はぁと溜息を吐くしかない。
「えーと、無茶しても雲雀先輩のもとには帰ってきますよ?」
フォローしようと慌てて口を開けば、雲雀が少し驚いた顔をした。
「どこにも行かない?」
「それは断言しにくいですね……」
雲雀に捕まったと認めた優だが、どこかに行きたい願望はまだある。必ず雲雀のところには行くだろうが、ずっと居るかと聞かれると怪しい。
「そうだ! もしどこかに行くなら必ず雲雀先輩に声をかけますよ。帰ってきたらすぐに雲雀先輩へ会いに行きます!」
雲雀が優を探すために息を切らし汗をかいてる姿を思い出した優は、急にいなくならないようにしようと思ったのだ。
「……少しは良くなったのかな」
付き合ってるにも関わらず、優はこの瞬間まで黙って去るつもりだった。進歩したと思ったほうがいいのか、全て捕まえるまでどれだけかかるのだろうかと思えばいいのか……。
「雲雀先輩?」
「……約束だよ」
「はい! 約束です!」
ふふっと優は笑う。雲雀と約束が出来て嬉しいのだ。
「うん。2つちゃんと守ってね」
「へ?」
なぜ2つなのだろうか。
「約束を破れば許さないから」
「……もしかして怪我しないのも入ってます?」
「当たり前だよ」
えーー!?と優は叫ぶ。確かに雲雀は何を約束するとは言わなかった。しかしそれはないだろう。騙されたような気がする。
「難しいです……」
「約束したのは優だよ」
雲雀だってこれは譲れない。優はすぐに自分を犠牲にするのだ。ストッパーになるものがなければ、優はすぐに無茶をする。
うぅ……と未だに嘆いている優の頬に雲雀は口付ける。そして驚いてる間に唇に。
「落ち着いたら戻っておいで。顔真っ赤だから」
「……はぃ」
反論する機会をなくし、満足も出来た雲雀は上機嫌で屋上に戻っていった。
家に帰りゆっくりしていた優は、コンコンと窓を叩く音に視線を向ける。
「ヒバード、ご飯食べにきたの?」
いつものように窓を開けペットショップで買ったものを出そうとした時に、パタパタとヒバードは優の頭に乗った。
「ヒバリ、ヒバリ」
ピタリと手を止める。優に用事があれば、電話すればいいだけの話である。
「雲雀先輩の方がちゃんと考えてるなぁ」
優の家にヒバードが来るのはよくあることで、リボーンですら疑問に思わないだろう。何とかなるだろうと考えていた優より、雲雀の方が優を学校に通わせるために気をつかってることがよくわかる。
「ありがとうね。ご飯を食べたらこの窓から出て行ってね」
小窓を開けてヒバードに教え、着替えた優は学校に向かった。
屋上の柵の上に優が立つと、雲雀とディーノは動きを止める。
「お前は……」
“どうも。僕を呼んだか?”
ディーノに声をかけられ返事はしたが、優は雲雀の方へ目を向けた。
「赤ん坊から連絡。ランボを保護して欲しいって」
今日だったかと優は並盛の町に目を向ける。駆け出す前に雲雀に言わなければならないことがある。
“悪いな、助かった”
「いいよ。その代わり約束は守ってもらうから」
ガクリと優は項垂れる。行くなら怪我をするなと言われたからだ。
“……わかった。じゃぁな”
優が去っていくのを黙って見送った。ディーノは話をしたいと思っているが、ランボを助けに行くところを止めるわけには行かない。
「……恭弥はあいつを気に入ってるんだな」
雲雀が自身と違って随分と協力的であるとディーノは思ったのだ。
「あれは僕の獲物だからね」
「……なるほどな」
ディーノもリボーンと同様に咬み殺す対象という意味で捉えた。さらに約束という言葉で、何度も雲雀の相手をしているのだろうと勘違いする。
「あいつがマフィアに入りたい理由を知ってるか?」
雲雀は何も答えない。肯定と取るか興味がないと取るかはディーノ次第である。そして。ディーノは肯定と捉えた。
「オレのところに入りたいっていうが、どうもリボーンから聞いた性格から自らマフィアの一員になりたいと思うタイプじゃないんだ。だから争いを避けるためっていうのはウソじゃないだろう。だけど、また後日と言われたが、会いにこねーしよ。オレも困ってんだ」
「……君に会いに行けば、マフィアに入ることになるからね」
「入りたくないから粘ってるってことか?」
「それもある。けど、1番の理由はそれじゃない」
雲雀は詳しく知ってると思ったディーノは追求しようとしたが、トンファーが迫り口を閉ざす。これ以上、雲雀が話す気はないと気付いたからだ。
雲雀はトンファーを振るいながらも思う。優は甘え方を知らなさすぎる。
争い事を回避するには入るしかない。優の性格を考えると誰かのために嫌だとしても入るだろう。それでもまだ躊躇しているのは、ディーノに迷惑をかけたくないからだ。
自分がいったいどれほど爆弾なのかを優は理解しすぎているのだ。
優が頼ると決めるほどディーノに親しみを持っている。そのディーノに迷惑をかけたくない。そして、嫌われたくないという気持ちが強い。
あの目を忘れた日はない。髪の色について暴言を吐かれていることを知っていたのに、優が狙われてると知って、本気で怒り怯えさせてしまった。
あれがあったから優の警戒を解くことが出来た。だが、もし優の家の窓が頑丈じゃなければ、雲雀は風の影響で近づくことさえ出来ず終わりをむかえていたかもしれない。
雲雀から話してでもディーノに協力させるつもりでいる。だが、いくら優のためでも雲雀が頭を下げて頼むことは出来ない。それは雲雀のプライドが許さない。優だって喜ばないだろう。
今の実力ではディーノに届かないと薄々気付いている。だが、勝つしかない。勝てば何でも1つ雲雀のいうことを聞くのだから。
今日もまたディーノに向かって雲雀はトンファーを振るうのだった。