【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
ふわぁぁとあくびをすると、ベルがペースを落とした。
「大丈夫です。もっとあげてもいいですよ」
「りょーかい」
その方が早く終われるしという言葉を飲み込み、優は眠いのを我慢し走った。
高級ホテルに窓から入るという貴重な体験をしながら、部屋に侵入する。すると、スクアーロと目が合った。
「てめぇなにしてる!?」
“彼がしつこくて……”
チッと舌打ちする。押しに弱いのは気付いていた。そのためスクアーロは面倒なことをしたベルを睨んだ。
「問題ねーって」
気にした風もなく、ベルは部屋に進んでいく。優はというと、スクアーロが止めてくれないかなと期待していた。残念ながらバレたらしく、ベルに腕を引っ張られることになった。引きずられたくないため歩くしかない。
ベルがとある部屋の扉を開けるとXANXUSがソファーで座っていた。
「ボス、みやげっ♪」
“僕は物じゃないんだが……”
思わずツッコミした。XANXUSから殺気を送られているのは予想通りなのでスルーである。
「ベル」
「こっちが正解だからボスに紹介しよーと思って。オレの姫なんだぜ」
後者はおいといて、ボスにはちゃんと説明するんだと妙なところで優は感心した。
“正解っていっても君の勘だけだろ……”
「姫だって心当たりあるって言ってたじゃん」
XANXUSに睨まれ、仕方なく口を開く。
“封印が解けたのは去年の4月4日じゃないのか?”
「詳しく話せ」
どうやら正解らしい。
“僕はその日の16時頃に心当たりがあるだけだ。……これ以上は話す気はない”
譲る気はなかったので優はXANXUSに睨み返した。もっともフードをかぶっているので効果があるのかは怪しいが。
「…………名はなんだ」
“あーこっちの顔の名を決めてない”
「オレの姫」
それは違う。
“XANXUSが決めるか?”
何をしても睨んでくるので、優は溜息を吐く。
“深い意味はないぞ。君が初めて僕の名を聞いたから言っただけだ”
軽い口調で言った。本当に気が乗っただけである。
「……ヴェント」
“イタリア語で風か。風である僕にピッタリだな”
「ししっ。良かったじゃん」
“ああ。大事にする。ありがとう”
XANXUSは優の言葉を無視したが、睨むことはなかった。
「姫、せっかくだしオレのメシ作ってよ」
“……今からか?”
「明日の朝」
今からでも問題だと思うのに、明日の朝ご飯を用意しろとベルは言う。優は溜息を吐くしかない。
“明日の朝、君の分を持ってくる。それでいいだろ?”
「泊まればいいじゃん」
“……そこまで僕は図太くないぞ”
「でも姫、あくびしてたしー」
ベルなりの気遣いなのだろう。……方向がズレているが。
「それにボスも姫ならいいって言ってるぜ」
どこで言ったんだ……と優は呆れたが、風を意味する名を選んだ時点でXANXUSは風の守護者は優だと思っている。だからベルの提案にXANXUSは何も言わないのだ。
「部屋に案内するぜ」
グイグイとベルに引っ張られ、優は思わずXANXUSに助けを求める。
“君の部下だろ。何とかしろ”
「知るか」
ノオオオ!と心の中で叫びながら、ベルに引きづられていった。
部屋に案内され、結局眠かった優はやけくそ気味に寝た。
優を部屋に案内し終わったベルは何もなかったように自分の部屋に戻ろうとしたが、スクアーロに集合をかけられ仕方なく集まる。
「なに? オレ、眠いんだけど」
集まったのはベルが原因である。本人だけが気付かない。
「敵が泊まってるとはどういうことだ!!」
「オレが連れてきたから」
なぜ怒っているのか理解できないが、ベルは早く眠りたいこともあり答える。
「貴様!!」
「ベル先輩、どういうことですか!!」
「うっせ。死ね」
ベルは容赦なく見習いにナイフを投げた。驚きながらも何とか避けきったので、再びナイフをかまえる。
「う゛お゛ぉい!! てめぇら、うるせぇぞ! 叩ききるぞぉ!!」
「ボスが近くにいるの忘れていないかい?」
マーモンの言葉に各々武器から手を離す。
「でも今回はレヴィが怒るのも当然だね。風の守護者かどうかは別として、相当な腕の持ち主を連れてきたんだ。やられるつもりはないけど、ベルは僕達を危険な目に合わせてるからね」
「問題ねーよ。前の時も何もなかったしー」
ベルの言葉に騒がしかった面々が静まる。
「……あいつが泊まるのは今回で2度目だ」
ベルが説明しないと思ったので、スクアーロが口を開いた。
「どういうことだい?」
「うししっ。オレがアジトに連れて行った」
「アジトの場所を教えるとは!!」
「う゛お゛ぉい!! いちいち怒鳴るなぁ゛!!」
「スクアーロが1番うるさいけどね」
チッと舌打ちし、スクアーロはソファーに腰をかけて言った。
「あいつは無駄な争いはしねぇタイプだぁ。アジトに来た時は素人にしか見えなかったぁ゛」
「それは貴様の目が節穴じゃないのか!!」
「あ゛あ゛!?」
「オレも見えなかったんだよねー」
「ベルはなんでアジトに連れて行ったのさ」
「気に入ったから」
「そんな理由でアジトの場所を!!」
再び一触即発な空気になる。冷静に話を進めているのはマーモンぐらいだろう。
「ベル先輩! どうしてあいつが良くて俺はダメなんですか!?」
「うっせ。しゃべんな。死ね」
ナイフはなかったものの、見習いはベルの殺気に顔色を悪くする。
「それにあいつはバカじゃねぇ」
「ベルだけじゃなく、スクも気に入ってるんだね」
「……事実を言っただけだ」
やれやれとマーモンは息を吐いた。たとえそうだとしても、スクアーロが優の方に傾いてるのも事実である。
「心配する必要ねーって。明日の飯作ってもらうだけだしー」
「敵が作ったのを食べる気なのか!?」
「だって美味いんだもん」
マーモンは説明を求めるようにスクアーロを見た。
「……オレとルッスーリアも食った」
今度こそマーモンは大きな溜息を吐いた。ベルだけならまだしも、全員が食べたのだ。ここまで来ると3人に原因があるとは思えない。その人物が原因だろう。
「ボスはなんて言ってたんだい?」
「ん。オレが泊めるっていっても、何も言わなかったぜ」
ベルの言葉に静まり返る。
「だから言ったじゃん。問題ねーって。じゃ、オレは寝るぜ」
「貴様! まだ話は終わってない!」
「クソボスの決定だ! この話は止めだ! さっさと寝ろぉ!」
レヴィは言葉を詰まらせる。XANXUSの意見に反対することは出来ない。部屋に戻るしかなかった。
「時間の無駄だったね」
マーモンの呟きにスクアーロは同意した。ベルが先にそれを言えば、話し込む必要がなかったのだから。
「……見習い、てめぇもだぁ!」
「わかりました」
スクアーロは舌打ちする。返事をし部屋に向かったが、納得していないのがバレバレだ。レヴィも納得していないが、XANXUSの決定に覆すことはないという信頼がある。そしてそれが見習いにはない。
「う゛お゛ぉい。マーモンは寝ないのかぁ゛」
「油断すれば警戒を解くことになりそうだからね。それに彼に興味が出たよ」
最初の言葉に軽く舌打ちをし、スクアーロは本を広げる。それを見て呆れたようにマーモンは言った。
「どこまで気に入ってるのさ」
「ルール上仕方ねぇだろうがぁ! 見習いの暴走を防ぐためだぁ!」
「重症だね」
いったいどこが重症か説明しろと睨んだ。
「スクアーロは見習いだけ信用してないってことさ」
もう1人の優を知っていて、斬れない刀を使うほど甘い考えだからではあるが、それは言い訳にしかならない。再びスクアーロは舌打ちをして、本を広げたのだった。
明日は映画館でライブを見るので更新出来るか怪しいです。