【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
優は霧の守護者であるクロームをガン見していた。
(か、可愛すぎ……!)
危うく素の自分になりそうになりながらも、優は幸せな気分でクロームを見ていた。城島犬が優をビビッているのも視界に入っているがそれは無視である。
優がガン見しているとクロームがツナの頬にキスをした。挨拶といいクロームは気にした様子もない。
(つまり、人命救助でも……、ダメだ。嫌な予感しかしない)
再び悪寒がしたので、正しい判断をしたと優は自分を褒めた。
「あ、あの……1位の人はどう思いますか?」
原作では自分で決めた気がするが、ツナはクロームを守護者にするかどうかの相談を優にした。
“彼女からは骸の気配はしない。強そうだし彼女でもいいと思うが、個人的な意見なら僕は反対だ”
「え? どうして?」
“可愛い子だから”
えー!と真っ赤になるツナを見て、勘違いしてそうと優は思った。
“僕は女性と子どもは安全な場所に居てほしいと思うタイプだからな”
「あ、それはオレも思うんだ」
優も女だろ……と正体を知っている人物達は心の中でツッコミした。
“でも彼女は戦いたがっている。だから僕の個人的な意見を参考にするのは間違ってるんだ”
自分のことは棚に上げなかったらしい。
「うーん……。じゃあ、頼むよ」
クロームがホッと息を吐いた時、優もこっそりと息を吐いていた。正体を隠しているため聞けないので確かめたかったのだ。もちろんそのことに雲雀達も気付いていた。
コロネロが登場したので、優は気を紛らわせるためにたっぷりと楽しんだ。可愛いのがいっぱいそろっているので目の保養なのだ。
優が趣味に走っている間に、クロームは体育館の中央へ移動していた。すると、観覧スペースの枠が降りてくる。この中で見ないといけないらしい。
“どうするんだ?”
声をかければムスっとしながらも雲雀は観覧スペースに入った。帰らないところをみると雲雀もクロームが骸と疑ってるらしい。
試合が始まるとどこからも驚いた声が聞こえる。
“これぐらいの幻覚なら、痛みを与えれば問題ないかもな”
優の言葉を聞いた雲雀は唇をかんでいた。よく見ると了平が思いっきり自分の顔を殴っていた。
“……言っておくが、幻覚が高度になれば効果がないぞ”
「ッチ、つかえねー」
「ご、獄寺君……」
ツナが思わず声をかけるほど、獄寺の言葉は容赦がない。
「あれ? 幻覚って……骸の地獄道!!」
目の前にいるマーモンも術師なのに、幻覚を使うという理由だけでツナの中では骸になるらしい。……ボンゴレの超直感かもしれないが。
マーモンが鎖を解き、アルコバレーノの証であるおしゃぶりが光り出す。おしゃぶりが今まで光らなかったことに驚いていたリボーンとコロネロに向かって、マーモンは言った。
「お前達とは違って、僕は怠らなかったからね。呪いを解く努力を」
雲雀もディーノもいることを思い出し、優はしまったと思った。隠していたのに、これで気付かれてしまった。
“気合をいれろよ。恐らく一気にレベルがあがるぞ”
視線を感じているが、優は知らぬ顔をしてツナ達にアドバイスをする。そして本当にそれどころではないレベルの幻覚が生み出されていく。優は平気だが、ツナ達は火柱で燃えそうになったり寒くなったり忙しそうだ。
圧倒的な力の差でクロームは武器を壊される。優は動きたくなるのをグッと堪えた。風で動かすのは幾ら何でも体育館では手を出したとバレバレだ。それに助けたとしても優に内蔵を補う力はない。
「陥没していく……!」
「これも幻覚ーー!」
“違う。あれは現実だ。
ツナのために教えてあげれば、視線が集まる。
“僕は最初から彼女は強そうと言っただろ。彼女の内臓が幻覚で作られていると僕は気付いていたんだ”
「そうだったの!?」
“君だって幻覚には強いほうだろ……”
「え? そう、なのかな……?」
危険を感じなければ気付かないかもしれないと優は判断した。すると、ツナが震えだし汗をかきだした。優もツナから数秒遅れて骸の気配を感じ始める。思わず優は長い息を吐いた。
「あいつが来る!! 六道骸が!! 骸が来る!!」
ツナの声に反応したかのように、骸が現れる。時間制限があることを知りながらも、カッコつけるヒマがあるならもう少し早く出てこいと考えていた。元々女性には甘いのもあるが、骸とは合わないらしい。優には珍しく考えが辛辣である。
ツナ達が大変そうになってるのを尻目に優はポツリと呟いた。
“高レベルな戦いだな”
「わっ、1位の人はなんで平気なのー!?」
床が歪み立てなくなったらしいツナが叫んだ。
“そういう体質だから”
正しく言うと優は幻覚の景色と普通の景色が両方が見えているのだ。そのため試合の流れもわかり、通常の景色が見えているので錯覚を起こさないのである。
「それで片付く話じゃねーだろ、っと!」
幻覚にかかりながらも、ディーノは体勢を保ちいつでも戦えるように出来ている。経験の差というものなのかもしれない。雲雀も立っているが、優の見立てでは戦えるかは怪しい。……もっとも意地で戦い抜く可能性もあるが。
「おめーがたってる場所は問題ねーな」
「やるな、コラ」
ちゃっかりとリボーンとコロネロは安全な場所である優の足元に居た。優が幻覚を見破り立っているので、そこの床だけは歪まないのだ。
ツナが頭が痛いと苦しみだしたのと同時に、優も頭に骸の記憶が流れ始める。まさかこれが流れるとは思わなかった優はフードの上から額を叩いた。
「どうしたんだ?」
“頭に入ってくるって言ってるし、多分彼と一緒。骸の記憶が頭に流れ込んできている”
リボーンの問いに答えれば、優とツナの顔を交互に見て、そうかと呟いた。リボーンに納得してもらえたが、雲雀は納得出来なかったらしい。不機嫌なオーラがをビシビシと突き刺さるのを優は感じた。
(原作よりも仲が悪くなりそう……。ってか、私は悪くないってば)
はぁと軽く溜息をついていると、骸がマーモンのリングを持っていた。引き止めたマーモンに骸は追い討ちをかける。倒し方がむごいなと優は思った。
完全に骸がリングを揃えたので、霧の守護者の対決は勝利である。特に口出しもしなかったので、他の試合と比べてそのままだったという印象が強い。
「え……ちょ……っ、そんな……そ……そこまでしなくても……」
「この期に及んで敵に情けをかけるとは……、どこまでも甘い男ですね」
それしか言わないので説明は優に振ったのだろう。面倒事を押し付けられた気分になった優は溜息を吐いて言った。
“マーモンは生きている。逃げたのを彼は見逃した”
「心外ですね。僕が手を下すまでもないと判断したまでです」
実際、XANXUSが見逃すわけがない。モスカに命令したXANXUSを見て、骸はXANXUSの企てに気付いているような口ぶりで話しかけていた。だが、知っているのに話さない。優は話したくても話せないのでどうしてもイラっとしてしまう。
「君より小さく弱いもう1人の後継者候補をあまりもてあそばない方がいい。それと……」
骸の目がかわり、優の足元から火柱が出現する。すぐに優はリボーンとコロネロを突き飛ばそうとしたが、2人はちゃんと避けていた。
「っ!?」
「1位の人!?」
息を呑む人物が多い中、ツナの声に隠れて雲雀も僅かに声を出していた。
“……僕じゃなければ、死んでいるぞ”
何事もなかったように優は火柱の中から現れる。
「僕がこれだけの力をこめて無傷ですか……。全くもって腹立たしい」
言葉とは裏腹にやれやれと呆れたように話す骸。優は再びイラっとした。
“君はバカだろ”
「バカといった方がバカということを知らないのですか?」
記憶が流れた優は長時間とどまることが出来ないと話せる。そのため無駄な力を使ったため骸に言ったのだ。すると可愛くない発言がかえってきた。
「クフフフ」
“いいだろう、その挑発……”
乗ろうとしたところで、雲雀の限界が来たらしい。殺気があふれ出した。
「おい、恭弥……!」
ツナ達に緊張が流れる中、ディーノが慌てて間に立とうとして動いたがあっさりと無視される。
「おや? あなたもいたのですか。風の噂で随分平和ボケしたと聞きましたが」
「試してみるかい?」
「いいでしょう」
2人のやり取りを見て優は言った。
“確かに僕はバカだったようだ。君達を見てそう思った”
いい勉強になったと優は何度も頷いた。いたって本人は真面目に思っただけだが、明らかに挑発行為である。骸と雲雀にジッと見られ、優は首を傾げた。
「先にあなたのその口を閉ざしましょうか」
「無理矢理にでも黙らせてほしいんだ」
優は心の中で仲が良さそうだねー……と思い、現実から目を逸らした。特に雲雀の方が怖すぎるのだ。だが、一向に2人から視線が逸らされず、現実に目を向けるしかない。
“どうしてこうなった……”
「……お前が悪い」
ディーノがツナ達の心を代弁し、ガクリと優は肩を落としたのだった。
「あ、あの……骸。とりあえず、ありがとう」
見かねてツナが声をかけると、骸は溜息を吐き戻っていった。本当に限界だったようだ。クロームが床に打ち付けるギリギリ手前で優は風を操りそっと倒れこませる。
チェルベッロが頷きあい、明日の組み合わせを発表する。
「明晩の対戦は風の守護者同士の対決です」
そこまで聞いた雲雀は骸と戦えず面白くなさそうに帰っていった。優に向かって「後で覚えておきなよ」という不吉な言葉を残してだが。
見習いは嬉しそうにしているが、優のテンションは最悪だった。雲雀の言葉でいっぱいいっぱいなのに、やめて欲しい。
はぁと溜息を吐いていると、ツナがやってきた。ヴァリアー達が去ったので、話しかけてきたのだろう。
「明日……大丈夫?」
“……君が応援してくれれば、多少はやる気が出るかも”
「応援するに決まってるじゃないか!」
大声をあげたツナは自分の行動に驚き、そして慌てながらも言った。
「ご、ごめん……! でも、オレが1位の人を応援しないわけがないんだ」
“……わかった”
ツナの行動にディーノは安心したように笑った。よくわかっていないにも関わらず、ツナは優に必要な言葉をかけている。
“それで、彼女は誰がみるんだ?”
ツナ達は困ったようにクロームを見た。犬と千種があっさりと置いていったのでどうすればいいのかわからないのだ。
「ったく、しょうがねーな。オレがみてやるよ」
ディーノの言葉にツナ達はホッと息を吐いた。
“だったら僕が面倒をみる。君は別件で忙しいだろ”
「それはまずいだろ!?」
優の言うとおり、ディーノは根回しやスクアーロのこともある。だが、当然反対だった。正体がバレてしまうからだ。もちろんそのことには気付いていたが、優は周りを見渡してから言った。
“この中で女性の扱いは僕が1番うまい。脱がすことが出来るのか?”
なっ!?と声を上げ、真っ赤になるツナ達。完全に男と思っているので、変な想像をしてしまったようだ。ボタンを緩めるという意味だったのが、訂正してもたいして変わらないと判断し優は口を閉ざず。
「本当にいいのか?」
“彼女と話をしたい気持ちもあるんだ”
「そうか」
リボーンの許可を貰ったので優はクロームを抱き上げる。もちろん横抱きで。
「あの、お願いします」
“気にしなくていい。じゃぁな”
クロームを気にしながら、優は家に戻って行ったのだった。