【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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夜中に更新するつもりが、昼になりました。
すみません。


雲戦

 もぞもぞと優は動き、壁に頭を擦り付ける。

 

「起きたの?」

 

 首を振りながら優は再び頭を壁に擦り付けた。

 

「そう」

 

 コクリと頷き、もう少し寝ようとしたところでハタと気付く。壁際にベッドがあっただろうか。優は寝ぼけた頭ながらも不思議に思いトントンと優しく壁を叩く。

 

「なに」

「何かなぁと思って……」

 

 随分近くに雲雀がいるんだなぁと思いながらも、優は答えた。すると、頬に撫でられ目を細める。

 

「まだ熱があるね」

「でも、とても楽になりました」

 

 昨日のように息が辛いわけではない。いつものように気配だって読めるだろう。そこまで思ったところで、優は固まる。徐々に優は壁と思っていたものから離れた。

 

 全て思い出した優は状況を理解した。だからといって、このまま過ごせるわけがない。

 

「どうしたの?」

「いや、その……」

 

 優の様子から恥ずかしくなったのだろうと雲雀はわかっていたが、自身から離れていくのが面白いわけがない。

 

「寝心地悪かった?」

 

 背中に手を回し、押さえてから声をかける。言葉も優が逃げにくいものを選んでいる。

 

「そういうわけじゃないです……」

「そう。このままでいいから眠りなよ」

「は、恥ずかしくて眠れません……!」

 

 昨日は問題なかったのに……と思ったが、雲雀は優を解放した。やりすぎて警戒されては意味がない。それに体調だってまだ治ってないのだ。

 

「うつってませんか?」

「多分風邪じゃないよ」

「あ、そっか」

 

 普段ならもっと早く気付いただろうが、熱が出て倒れるという意味をやっと優は理解した。うつらないと知り、優はホッと息を吐いた。すると、新たな疑問を浮かぶ。

 

「……雲雀先輩、ご飯食べました?」

「まだ」

 

 時計に目を向けるとお昼を過ぎている。優は慌てて勢いよく起き上がる。が、熱の影響でフラッと倒れる。ベッドに身体を打つまでに雲雀が優を支え溜息を吐いた。

 

「ほしくなったら、勝手に食べるから」

「……はい」

 

 迷惑をかけた自覚があるのか、優は大人しく返事をし、再び雲雀に寝かせられる。

 

「優はお腹すいてないの?」

「あまり……」

 

 僅かに雲雀は眉間に皺を寄せる。微熱程度まで下がっているのに、食欲が戻っていない。誰も気付かないところでは手抜き料理をする優だが、きっちりと3食は食べるのだ。

 

「大丈夫です」

 

 優は微笑みながら、心配している雲雀を安心させるために手を伸ばす。その手をしっかりと雲雀は掴んだ。

 

 結局、手を握ったことで安心したのは優の方で、再び寝息を立て始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 優はボンヤリした目で天井を見ていた。誰かに呼ばれた気がして起きたところだったのだ。後頭部の冷たさから雲雀が新しく氷枕を交換してくれたようだ。

 

「……雲雀先輩」

 

 お礼を言おうとして、雲雀の名を呼んだが返事がない。そこでやっと風で気配を探る。しかし誰の気配もしない。

 

『あいつは試合に行ったぞ』

「えっ……?」

 

 突如聞こえた声の内容に優は思考が追いつかなかった。

 

『……今ならまだ間に合うから起こしたんだ』

 

 バッと優は勢いよく起き上がる。頭がグラグラするが、それどころではないので優は放置した。

 

「神様、ありがとう」

『……ああ』

 

 神の返事からして本当は行かせたくはないのだろう。優は察していたが、気付かぬフリをした。神はそれすらもわかっているからだ。

 

 準備を整えた優は、グッと拳を握りこむ。今の体力でどれだけ持つのかわからない。それでも出来ることはあるはずだ。優は屋上から飛び出したのだった。

 

 

 

 

 

 学校についた優は目を見張った。雲雀がXANXUSと戦い始めているからだ。

 

 軽く舌打ちをした優は、制御をといた。もう時間は残されていない。

 

 はやく、はやくと思いながら風を集める。ゴーラ・モスカの攻撃の圧縮粒子砲は、逸らすにも相当な風が必要なのだ。雲雀を移動させればいいだけの話にも思えるが、優はどうしてもそれが出来なかった。雲雀の戦いを邪魔をし無理矢理移動させれば、もう雲雀の側にいる資格がないと思ったのだ。優は譲れない戦いがあることを知ってしまったから。

 

 光の後に爆発するような音が響き、XANXUSと戦いながらも雲雀は周りの様子を見た。今の爆発音はあまりにも大きすぎる。地雷レベルではない。

 

 雲雀がモスカの暴走と察したと同時にXANXUSが上空を睨みつけていることに気付いた。ハッとして雲雀も顔をあげる。そこには予想通り優が変装した姿のヴェントが居た。

 

 獄寺達やベル達に当たらないように全て風で逸らしながら、優はモスカの動きを封じるために近づいた。ただ壊すだけなら竜巻にでも閉じ込めればいいのだが、中には9代目がいることを優は知っていたからだ。

 

 その様子を獄寺達は黙っているわけがなかった。やはり獄寺達の中で優は守るべき存在なのだ。もちろん今までのこともあり強さを知っている。多少のことなら目をつぶるだろう。だが、時間制限のある制御をといた状態で敵に近づくのは反対だ。さらに昨日とは違い、優は明らかに肩で息をし辛そうなのだ。賛成できるわけがない。

 

「進まねー!」

「どうなってるのだ!?」

 

 思うように優のもとへ行けないことに山本と了平が疑問を浮かべながらも気合で足を踏み出していた。

 

「くそっ!」

 

 苛立った声をあげたのは獄寺だ。獄寺達を近づけないように優が風を操っていることにすぐに気付いたからだ。嵐の守護者にも関わらず、風の軌道が読めず近づくことが出来ない自分に腹が立ったのだ。更に対戦相手のベルならば、優のもとへ行けると思ったのもあった。獄寺の服に細工していたが、風の気配を読めるというのもウソではない。ランダムに発生させるハリケーンダービンの突風を危なげなくかわしていたのだから。

 

「ヒバリ……!」

 

 優のもとへと近づく影に気付き、獄寺は声を漏らした。獄寺達とは違い、雲雀は風で妨害されていないようだ。それだけ優に信頼されていると取れるため、獄寺はギリっと歯を食いしばってから言った。

 

「あいつに頼るしかねーのかよ……!?」

 

 雲雀を頼りたくないという意味ではない。自分がその中に入っていないことが悔しくて言ったのだった。

 

 

 

 

「ヴェント」

 

 モスカの攻撃を逸らしながら近づいていた優は聞こえてきた声に振り返った。

 

“……もういいのか?”

「いい」

 

 XANXUSとの戦いは後回しに、雲雀は優の隣にたった。

 

「後は僕がする」

 

 優はホッと力を抜く。足に怪我をしていない雲雀なら、モスカを倒せると思ったのだ。

 

“僕がサポートするのは許してくれよ”

 

 雲雀は何も答えなかったので、嫌だが言っても聞かないと判断し諦めたらしい。実際モスカを移動させないように優がこのまま抑えていれば、すぐに方が付く。

 

“それと、気をつけろ。あの中には……”

 

 ドクンと嫌な心臓の音がし、優に吐き気が襲う。これは話せないことを言おうとしたからではない。雲雀が片腕を壊したおかげで風が通り、中に人がいるとわかっているからだ。

 

 つまり、時間切れを意味する。

 

(ウソ、でしょ……!)

 

 あまりにも狙ったようなタイミングに優は倒れながら絶望する。それでも倒れる前に支えてくれた雲雀に声をかけようとした。

 

“ダメだ……”

「いいから黙って」

 

 優は再び吐き気に襲われる。これは雲雀が優を抱き上げ移動させ始めた振動によるものだ。

 

 雲雀は優が何か言いたいことには気付いていたが、目の前にいるモスカから離れることを優先した。本当なら今すぐ袋を入れたいのだ。安全な場所に行かなければ、袋をいれる余裕がない。雲雀の中で1つの懸念があった。倒れて袋をいれずにそのままの場合、優の体調は更なる悪化をする可能性がある。

 

 その証拠なのか、風が雲雀の頬を何度も撫でる。早く袋を入れろと言っているかのように。

 

 焦る気持ちを押さえ、雲雀は確実にモスカから離れていく。離れれば離れるほど標的が目の前にいた雲雀達ではなくなっていった。

 

 それでも流れ弾はくる。1人ならば余裕だが、力が抜けている優を抱えて避けるのは難易度が高く、優を降ろして袋をいれる余裕がない。

 

 そんな中、雲雀の焦りに気付いたかのように、声をかけた人物がいた。

 

「ヴェントを頼む」

 

 すれ違いながら、ハイパー化したツナが雲雀に声をかけたのだ。

 

 実は学校にたどり着く前から爆発の光などに気付くと同時に、リボーンのおしゃぶりが光りはじめたのである。コロネロの可能性もあったが、ツナ達は優が無茶をしているという風にしか思えなかった。慌てて駆けつければ、雲雀が優を抱えて逃げていてコロネロの姿はない。

 

 そして未だにリボーンのおしゃぶりは光り続けている。普段なら近づいた時だけで光はすぐに収まる。だが、リボーンの光がおさまることがない。まるで早く袋にいれろと教えているかのように。

 

 ツナや周りの様子を見ながらもリボーンは優のもとへ向かった。

 

「ヒバリ」

「今、袋にいれた」

「そうか」

 

 リボーンの声に優は声を絞り出す。

 

“彼を止めろ……!”

 

 彼というのはツナを指していると2人は気付き、僅かに眉間に皺を寄せる。モスカを止める必要はあっても、ツナを止める必要はない。

 

“あの中に、人がいる……!”

 

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