【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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強制召集

 僅かに優が動く気配がし、雲雀はハッと顔を上げた。

 

「……どうか、したんですか?」

 

 声をかすりながらも、優は雲雀に向かって言った。雲雀が元気がないと感じ声をかけたのだ。その反応に雲雀は肩の力を抜くような息を吐く。

 

「起きたのか!?」

 

 声とともにカーテンが開く。思わず雲雀はディーノを睨んだ。

 

「……邪魔したのは悪かった。だけどな、オレだって優が心配だったんだ」

 

 はぁと大きな溜息を吐き、雲雀は優に視線を戻して水を飲ませために動き出す。

 

「しん、ぱい……?」

「昨日無茶しただろ? 熱が下がらねぇし、意識も戻らなくてみんな心配していたんだ」

 

 返事をかえそうとしたが、その前に雲雀に水を飲ませてもらう。

 

「……ふぅ。ありがとうございます、雲雀先輩。ディーノさんも心配をかけました」

「元気になったらいいんだ」

 

 夢の中で神に言われて大人しく戻ってきて良かったと優は思った。

 

「優が目を覚ましたって、みんなに連絡してくる」

 

 本当はもっと様子を見たかったが、ディーノは雲雀のために一旦席を離れた。

 

 2人っきりになり、優は声をかけようとしたが、雲雀が首を振った。

 

「いい、わかってるから」

 

 優が心配させたことを謝りたいと思っていることも、雲雀の身体を心配していることもわかっていた。だから無理に話さなくていい。出来るだけ雲雀は休んでほしいのだ。

 

 口にしなくても伝わったことで、優はふわりと微笑む。それを見て、雲雀も表情を緩めたのだった。

 

 ディーノが戻ってきた気配がしたため、雲雀は立ち上がる。

 

「おい、恭弥!?」

 

 驚いているディーノの声を無視し、雲雀は病室を後にしたのだった。

 

 席を離れてる間にいったい何があったのかと焦りながらディーノは優の様子を見る。

 

「大丈夫です。雲雀先輩は休みにいっただけです」

「……優が言ってくれたのか」

 

 てこでも動かない様子だった雲雀が動くとすれば優の言葉ぐらいだ。

 

「雲雀先輩は私の目を見ただけでわかったみたいです。休まないと私が寝ないって」

「そうか」

 

 返事をしながら、ディーノは雲雀が出て行った扉を見た。本当なら優の側で休みたかったはずだ。ツナ達が来ると判断し譲ったのだ。互いに大事にしていなければ、決して譲らなかっただろう。優の寝顔が見られる可能性も高いのだから。

 

「ディーノさん」

「なんだ?」

「9代目は……?」

 

 一瞬ウソをつこうかと思ったが、ディーノは正直に話すことにした。

 

「まだわからねぇ」

「……そうですか。ディーノさん、私はもう大丈夫です。雲雀先輩も休みました。だから行ってください。ここよりも9代目のところやスクアーロさんのところに行ってください」

 

 優の言葉にディーノは目を見開く。

 

「もう十分気持ちは伝わってます。行ってください、ボス」

 

 ディーノは長い息を吐いた。まだ甘えてもいい中学生の優に、気をつかわれてしまった。だが、優が目を覚めたなら行かなくてはならないのも事実。

 

「……いいか? 何かあれば、みんなに言うんだ」

 

 必ずディーノは部下を置いていくとわかっていた優は素直に頷いた。

 

 そしてディーノが出て行くのを見て、優は安心して目を閉じる。考えないといけないことは山ほどある。

 

 風戦があったことで1日ズレが起きているのに、イタリアからの連絡はギリギリまでなかった。家光達に何かあったのかもしれないが、やはり自身の運命が妥当な線だと優は思った。

 

 他にも大空戦での優の扱いだ。やはり行かなくてはならないのだろうか。

 

 つらつらと優は考え事をしていたが、知らぬ間に眠りに落ちたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 病院から去った雲雀は学校に寄った後、優の家で眠っていた。屋上で眠っても良かったのだが、雲雀が1人で昼寝をしているところを見られれば優がいないと気付かれてしまうからだ。

 

 なぜなら優が学校を休んでいることを知っているのはごく僅か。最近の優は朝のHRにも出ずに応接室に向かうため、クラスメイトと会わないことが多い。更にカツラをかぶって登校し始めたことで、優の存在は気付きにくい。どうしても特徴のある髪の色で優を探してしまうからだ。

 

 そのため、ここで雲雀が優が休みと思われるような行動は出来なかったのである。1番不自然ではない行動が優の家だったのだ。

 

 スヤスヤと優のベッドで眠っていた雲雀だが、パチッと目を覚ましトンファーをかまえて外へ出た。

 

「……連絡事項です」

 

 チェロベッロの姿を見て、雲雀はいっそう警戒を強める。

 

「命ある守護者は大空戦に必ず来てください」

 

 僅かに眉間に皺を寄せる。群れることが嫌というのもあるが、命ある守護者の中という言葉に引っかかったからだ。そして雲雀の疑問に答えるかのように、再びチェルベッロが口を開く。

 

「ヴェントにも参加していただきます」

「……どうして僕に言ったの」

 

 ヴェントとは親しいと思われているのはまだいい。しかしなぜ雲雀にわざわざ伝えようと考えたのか探っておきたかったのだ。

 

「我々チェルベッロはヴェントの居場所がわかりません。あなたは知っていると思いまして……」

 

 この場所に来たのは雲雀を探してと、言葉通りに受け取っていいのかと雲雀は思いながらも居場所を知っているという意味で頷いた。知らないと答えて、探された方が厄介だからだ。

 

「でもヴェントは決まってるはずだよね?」

「はい。しかしヴェントは沢田氏側を選択しました。来なければ、沢田氏の失格になりXANXUS様の勝利になります」

「……わかった」

 

 そう答えるしかなかった。普段の優ならば、ヴァリアーに連れて行かれても逃げ出すのは簡単だろう。しかし今の状態では簡単に連れ去られ、何をされるかわからない。特殊だが、骸が使った憑依弾のようなものもある。まだ雲雀の手が届く範囲にいるほうが安全だった。

 

 チェルベッロの気配が完全に去ったことを確認し、雲雀は優の家に戻る。そして眠るためにベッドへと向かう。少しでも身体を休ませ、何があっても動けるように。

 

「やっぱりこの家に住もうかな」

 

 雲雀がここに住んでいれば、誤魔化せることが増える。問題はどこまで雲雀が我慢できるかという話だが、一緒に住んでいなくても、いずれ我慢できなくなり手を出すことになるだろう。些細な差だと雲雀は納得し、目を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 話し声が聞こえ優は、目を開ける。すると、ツナと目があったので優は笑った。

 

「ご、ごめん……」

「わりぃな、起こすつもりはなかったんだ」

 

 ツナとリボーンの言葉に優は軽く首を振る。普段はすぐに目を覚ますことはないので、優の眠りが浅かっただけだ。

 

「もうすぐ、試合……?」

「……うん。その前に優を診に来たんだ」

「そっか」

 

 覚悟を決めたツナの顔を見て、優は声をかけた。

 

「ツナ君は凄いんだよ」

「えっ!?」

 

 優の体調を忘れ、思わず大きな声を出したツナは慌てて自分で口を押さえる。

 

「私は知ってるよ。死ぬ気にならなくても、ツナ君は凄いってね」

「……ありがとう、優」

 

 死ぬ気弾を使わずに友達になった優の言葉だからこそ、ツナは素直に受け取ることが出来る。

 

「私だけだったのになぁ……。今はみんな知ってる」

 

 懐かしそうに優は笑い、言葉を続けた。

 

「だからみんなはツナ君に巻き込まれたわけじゃない。……ツナ君についていってるんだ。雲雀先輩も惹かれてるんだよ。ツナ君の凄いところをもっと知りたいってね。ちょっと方法がアレだけど……」

 

 プッと噴出したのは同時だった。そして笑い終わると優は疲れたように目を閉じ、再び眠りに落ちた。

 

「無理をしてでも、おめーに伝えたかったんだな」

「……うん。優、ありがとう。行ってくるね」

 

 ツナは振り返ることもなく、病室から出て行ったのだった。

 

 

 

 ツナが出て行って数分後、雲雀が病室へとやってきた。眠っている優を起こすのは気がひけたが、状況を理解させる必要がある。手を伸ばし、そっと頬を撫でる。

 

「優」

 

 雲雀は伸ばしていた手を引っ込めて、もう1度声をかける。……言葉を変えて。

 

「起きるんだ、ヴェント」

 

 名に反応したかのように優は目を開けた。そして警戒してた優が、雲雀と目が合うと安心したようにふわりと微笑んだ。

 

「……行くよ」

 

 具体的な説明はない。それでも優は気にした風もなく頷いた。原作を知らなくても、どこに連れて行くのかも、雲雀が連れて行くと判断するようなことが起きているとわかるからだ。

 

「いい。僕が運ぶから。出来るだけ休むんだ」

 

 風に頼もうとしていたが、雲雀の言葉に甘えて優は目をつぶった。

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