【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
風邪をひいたり、風邪をひいたりしてました←
コメントなどは今日の夜中に返事します。
少しでも休もうと目を閉じていた優だが、ツナが決まってるはずの優も参加することに反対した声を聞き、動き出す。雲雀の腕からサッと抜け出し立ち上がった。
「ヴェント!?」
慌てているツナに優は大丈夫だと声をかける。しかしほんの少し前まで、会話するだけで疲れてしまったのだ。鈍いツナでも無理をしていると察するのは当然だった。もちろん、優が眠っている時に見舞いに来ていた獄寺達も。そしてあまりにも雲雀からの視線が鋭かったので、ポツリと優は呟いた。
“……借りは今度返す”
普段のように声をかけれない雲雀は何も言えない。雲雀とヴェントの関係ならば、これで納得しなければならないからだ。
そもそも優も束縛を嫌う。雲雀が好きなので大人しく居るが、骸との交渉にまで口を出されたくなかった時は実力行使に出たのだ。もしそこで雲雀に嫌われてしまえば、あっさりと優は雲雀から離れただろう。
雲雀から視線を外し、優に近づいてくる人物に目を向ける。その人物は獄寺だったので、警戒する必要がないと判断した優はチェルベッロへと向き直る。すると、背後から押さえつけられる。
「いいから座ってろ、バカ」
獄寺は優の頭に手を置き、座るように力を入れたのだ。その方法は決して良くはないが、行動は褒められるものだろう。現に渋々座った優を見て、ツナ達は安心するように息を吐いたのだから。
一方、優は気を抜けば眠りに落ちそうなので、やっぱり座るんじゃなかったと思っていた。仕方ないので、優はルール説明に耳を傾けはじめた。鈍った思考回路でどこまで原作との違いに気付けるだろうか。
リングを回収する話になったので、優はポケットからリングを取り出す。しかしチェルベッロは風のリングを回収しなかった。
“僕のはいいのか?”
「はい」
疑問に思いながらも、優は気にしないことにした。今の段階では考えるだけ体力の無駄遣いだ。チェルベッロに首にさげるように指示されたので、リングの力を封じているチェーンを外す。
「ん? 何巻いてんだ?」
“今度説明する”
優のリングが見えたらしく山本に質問されたが、答えなかった。フゥ太のような能力があることを考えれば、リングの力を説明せずに誤魔化すことは簡単だが、優は今それに労力を使いたくなかったのだ。山本も優の体調を考慮し納得したようで、あっさりと引き下がった。
大空戦のフィールドは学校全体と発表され、カメラ搭載型のモニター付きリストバンドを守護者全員に配られる。これについては優もチェルベッロから渡されたので、軽く息を吐いた。当然だ。毒を食らうと知っててつけたいとは誰も思わないだろう。
“……僕のは色が違うのか”
優のは他の守護者たちとは違うらしい。少し考えれば、優はリングを持っているので簡単に解毒できることがわかる。ただ、今の優はそこまで頭が回らず、他の物と比べるまで気付かなかった。
チェルベッロの説明はそれだけで守護者は戦ったフィールドに移動しろというので、優はふわりと浮く。ツナ達に声をかけられたが、円陣はやんわりと断る。ツナ達も優がたってるのも辛いとわかっているので必死に誘うことはなかった。
途中まで方向が一緒なこともあり、優は雲雀の後を追いかける。群れたところを見たので機嫌が悪そうだが、声をかけた。
“気をつけろよ”
「誰に向かって言ってるの」
それよりも自分の心配をしろと雲雀は怒ったのである。隠れた意味に気付いた優だが、無理だろうなと思った。毒をくらえば数少ない体力を奪われ動くことすら困難になるだろう。せめて毒の種類を覚えていれば、対策ができたのだが。
「……君は僕の獲物だ」
“あーわかった、わかった”
遠まわしに死ぬなと言われ、優はおざなりな対応をする。案の定、雲雀に睨まれる羽目になった。
“君との約束は守るつもりだ”
「ならいい」
スタスタと歩きだした雲雀の後姿を見て、優は溜息を吐いた。ヴェントでは簡単に雲雀を安心させる言葉がかけれない。さまざまな思いを断ち切るかのように雲雀から視線を外し、優は風戦が行われたフィールドへと向かったのだった。
フィールドにたどり着いた優は対戦相手がいないこともあり座り込む。しかしなぜ対戦相手が居ないのだろうか。もちろん居ない可能性を考えていた。だが、やはり不思議なのだ。
雲雀が観念し連れてきたことも考えると、チェルベッロはどうしても優を逃がしたくないように思える。本当は雲雀は優がヴェントと行動するのは嫌だろう。優の意志を尊重して反対はしていないが、わざわざ正体がバレるリスクが高まるツナの守護者というものにならなくてもいいと雲雀は考えているはずだ。つまり雲雀が納得し連れてこなければ、対戦相手が守護者になるだろう。もしくは該当者なしになってしまう。
雲雀がもし連れてこなかった場合、該当者なしならまだいい。チェルベッロは優以外が風の守護者になる事態を避けたかったのではないだろうか。……つまりチェルベッロは優をツナの守護者にしたかったととれるのだ。
優はフードの上から頭をかいた。なぜそこまでして優に拘るのかがわからない。チェルベッロが未来で登場していることが関係しているのだろうか。
大きな溜息を吐き、優は首を横に振る。わからないことを考えても仕方がない。今は目の前の問題が先決だ。
チラッと視線を斜め上へと向ければ、嵐のポールがある。嵐戦は校舎内だったので、ポールは外に立てられているため優のフィールドとかぶっているのだ。風と嵐は近いので問題ないと考えたのかもしれない。
つらつらと体調を誤魔化すために考え事をしていた優だが、グサリと腕に刺さった感覚した途端に倒れこむ。優のリストバンドは他の守護者と違うので、毒はないかもしれないという微かな希望をあっさりと否定された。
“……っ!”
優は鈍い身体を無理矢理動かし、胸元へと手を伸ばす。袋をしているはずなのに、おしゃぶりの光が漏れ始めているのだ。なんとか服から取り出して確かめると、おしゃぶりはしっかりと袋の中に入っていた。
風を操る力を得たのを優は知っているが、未来でやったラルのように身体から炎を出す方法やマーレリングを封じ込めるようなアルコバレーノの特殊な力を知らない。
毒の影響で視界がぼやけだす。ルール説明ももう聞こえない。その時、リストバンドのカメラに映った人物が目に入った。
(あの人、死んじゃう……)
なぜそう思ったのかのさえ、優は疑問に思わなかった。ただ、チェロベッロの1人が死ぬだろうと思った。そして疲れたように優は目を閉じたのだった。
「どういうことだ、コラ!」
リボーンは溜息を吐いた。ついにはじまった大空戦に集中して見ていたいが、黙っていればコロネロが邪魔をするだろう。実は優が少しでも学校で過ごせるように、今回の件で力を借りたコロネロにもリボーンは風のアルコバレーノの存在を話していなかったのだ。
「オレ達と一緒であいつもよくわかってねぇ。……ヴェントに詰め寄んじゃねーぞ。1人だったあいつは不安定だ」
光り続けているおしゃぶりを触りながら語ったリボーンを見て、コロネロは無理矢理追求するのをやめた。先程の会話の中に、1人だったあいつは(オレ達よりも)不安定だという言葉が隠されていると気付き、ラルの顔が浮かんだからだ。
「信用できる奴なのか?」
「ああ。状況に応じて、誤魔化すことやウソを吐くこともあるが、裏切ることはねぇぞ」
コロネロが思わず怪訝な顔をするほど、なんとも言えない人物評価である。
「これはなんだ? コラ」
リボーンと同じようにコロネロも光り続けているおしゃぶりに触れる。
「さぁな。あいつがやべー時に光るのかもな」
再びリボーンに詰め寄ろうとしたがやめた。最初にさぁなと言っている。可能性の高いものを言っただけで、リボーンもよくわかっていないのだ。
コロネロはジッと光り続けるおしゃぶりを見た。アルコバレーノのボスは大空のルーチェだ。もっとも厳密に言うと現在は亡くなったルーチェではなく娘のアリアだが。
しかしもしリボーンの言うとおり、ヴェントが危機に陥ったときにおしゃぶりが光るならば、アルコバレーノはヴェントを守れと考えられる。……もっとも協調性のないアルコバレーノが素直にヴェントを守るとは思えないが。
「あいつはよく知りもしねぇ奴に守られるのが苦手だ」
コロネロの考えを読んだかのように、ツナの戦闘から目を離さずにリボーンは言った。
優はリボーンですら、顔には出しはしないが守られれば少し困ったように礼を言うだろう。決して助けられたことが迷惑なわけではない。意地を張ってるわけでもない。ただその恩を返す方法がわからなくて困るのだ。つまり優の意思ではない。
だからといって、アルコバレーノの運命と片付けていいものでもないとリボーンは判断した。恐らく誰かの意思が絡んでる。この試合に勝った後、優と話をしなければならないとリボーンは思ったのだった。