【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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ヴァリアーと優 1

 優にとって2度目のヴァリアーのアジト訪問。1度目はベルのお姫様抱っこで。そして今回はウサギの人形を抱きながらである。はっきり言おう、全く締まらない。

 

 そのため、ヴェントの正体に興味があったのか、玄関まで迎えに来ていたマーモンが言葉に詰まった。

 

「えーと、お邪魔します」

 

 フードを被ってはいるが、地声で挨拶し優は頭を下げる。やはり気まずい空気が流れる。

 

「……本物なのかい?」

 

 マーモンが何とか口に出した言葉は確認である。もちろん、優をまるっきり無視してベルに。

 

「姫」

「……そうですね。失礼しまーす」

 

 シュっとマーモンに向かって片手を伸ばす。ベルならば見切れるが、術士であるマーモンには防ぐことは出来ないだろう速度で。

 

「うわぁ……。思ったよりプニプリだった!」

 

 幸せそうに優はぎゅうぎゅうと人形を抱きしめる。ほんの一瞬しか触れなかったが、想像よりも柔らかかった頬の感触に優は顔をほころばせる。ちゃっかりと自身の欲望を満たすあたり、いい性格をしている。ちなみに抗議された場合は、失礼と声をかけたと言い張るつもりである。さらに、たとえ幻術攻撃されても無傷で居られるという自信もあった。

 

 その結果、当然のようにマーモンは優から距離をとった。どちらかというと優の腕というよりも、ウサギと同じような目にあう危険性を感じたため。

 

「王子のオレが間違うわけねーじゃん」

 

 ベルは謝らないだけで間違う時もあるのだが、今は関係ないので横に置き、案内役としての本来の仕事へと動き出したのだった。

 

 

 

 

 マーモンが案内した部屋は、以前優がベルに初めて連れて行かれた場所だった。好き好きに過ごしてはいるが、XANXUS以外が揃っている。マーモンが玄関に居たことから察するに、そろそろ来ると知っていたのだろう。優が姿を現した途端、一斉に視線を向けた。

 

「んまぁ。可愛いお人形ねぇ」

「はい! ベルさんに買ってもらったんです」

 

 ヴェントの姿でウサギの人形に動じないルッスーリアは流石といっていいだろう。余程嬉しかったのか、すぐさまその話題にのる優もなかなかである。そして当然のようにベルは楽しそうに笑っていた。

 

 ほんの数分でいろいろと諦めたようなマーモンや、声でヴェントの正体が女性と気付き驚いているレヴィはまだいい。この中では常識人にギリギリ入り、まとめ役でもあるスクアーロからすれば、頭が痛くなる出来事である。

 

「う゛お゛ぉい!?」

「怪我に響くのであまり叫ばないほうがいいですよ?」

 

 優の言葉はいたって正論なのだが、誰のせいだ。

 

「なんだぁ、それは!?」

「ベルさんに買ってもらったんです!」

 

 優の言葉にベルが楽しそうに笑う。おかしい、無限ループに入りそうだ。

 

 その人形をいっそ斬ってしまおうかと考えたスクアーロを落ち着かせるかのように、ルッスーリアが手を叩く。

 

「詳しくお話したいけどぉ。お名前を教えてくれないかしら? このままでは困っちゃうわぁ」

「あ、そうですね。風早優といいます」

 

 自己紹介ということなので、優はフードを取り頭を下げる。

 

「優ちゃんねぇ~。以前会った時はすっかり騙されちゃったわぁ」

「素がこっちなので、わかりにくいんだと思います。リボーン君も私の正体になかなか気付きませんでしたし」

「まぁ! 凄いわ~」

 

 身体能力が大幅にあがったのは1年半前だ。10年以上染み付いた動きは一般人と変わらない。一流の殺し屋であるリボーンが気付かなかったとなると、精々1日しか一緒に過ごしていないルッスーリアとスクアーロがわかるはずもない。気付いたベルが異常なのだ。

 

 ちなみに、可憐だと見惚れているレヴィには誰も反応していない。恋愛において超鈍感の優に察しろというのが無理な話で、他のメンバーにいたってはムッツリという一言で片付けられた。

 

「……ルッス、クソボスのところへ連れて行け!」

 

 押し付けたのもあるが、適材適所でもあった。ルッスーリアの乙女心と優の子どもっぽいところが妙にあう。ベルもあうだろうが、寄り道し人形を買い与えている時点で察するべし。

 

「はぁい。こっちよ~」

 

 1番に説明するのはボスであるXANXUSということは優も納得していたので、素直に頷きついていった。

 

 この時、スクアーロは1つミスをした。本来ならば、スクアーロが連れて行くつもりだった。そのため正体に興味があったマーモンが玄関で待ち伏せし案内した。もし予定通りスクアーロが連れて行っていれば、気付いただろう事柄がスルーされてしまったのだった。

 

 

 

 

 ルッスーリアに案内され、他の部屋より豪華そうなドアの前に優はいた。

 

「ここにボスがいるわ~。気をつけてねぇ~」

 

 クネクネとした動きでルッスーリアは去っていく。気をつけてというのは機嫌が悪いと察することが出来た優は、ルッスーリアを引きとめはしなかった。恐らく機嫌が悪いとわかっていても律儀に部屋の中まで案内するのはスクアーロぐらいだろう。誰も好き好んで入りたいと思わない。

 

 軽く深呼吸を繰り返し、優はノックをする。今では完全に慣れたが、雲雀の風紀委員室に入るのと同じようなものだ。この手の緊張を何度も経験している優は、躊躇することなくドアを開けた。

 

 ビュッという風の音が聞こえる速度で、優の頭上近くへと物が飛んでくる。スクアーロにあわせた高さなので優に当たることはない。が、お酒のようでこのままでは割れるだろうと考え、優は風で止める。

 

 割れることもなく、聞きなれた叫び声も聞こえないため、XANXUSはドアへと目をむけた。

 

「私じゃないと割れてましたよ?」

「……来たか」

 

 ふわふわと酒のビンが浮き、フードを被ってはいないがベルに姫と説明されていたXANXUSは優の顔を見ても驚くことはなかった。……ただし、優が人形を抱いていなければ。

 

「……なんだ、それは」

 

 いくらXANXUSであっても、この場に似つかわしくないウサギの人形に対処する技術はなかった。奇しくも、搾り出した言葉がスクアーロとほぼ一緒である。似たもの主従が。

 

「可愛いですよね! ベルさんに買ってもらったんです!」

 

 何度も同じことを説明しているのに、面倒な気配は一切感じない。どちらかというと、説明するのが嬉しくて仕方がない様子。どうやらこのウサギは優の好みにクリーンヒットしたようだ。

 

「…………」

 

 XANXUSが黙ったので不思議そうに優は何度も瞬きを繰り返す。

 

 なんと9代目の息子としてふてぶてしく育ったはずのXANXUSが躊躇しているのだ。失せろと言えば、簡単に目の前にいる人物ごと失せるだろう。その場合、説明しろと呼びつけたのに結局何もわからないまま、ボンゴレの機密に従うしかないというのは、次期10代目を狙うXANXUSにとっては気に食わない事柄になる。問題を起こしたXANXUSは調べることは出来ないのだから。

 

 目障りでカッ消せば、優の怒りを買う。もちろん優の怒りを買うこと事態に怖気ついたわけではない。一言でいうならば、時期が悪いのだ。

 

 争奪戦で負けたものの、XANXUSは10代目になるのを諦めていない。そのため今は大人しくする時期である。ヴァリアー内のいざこざならば、多少は問題ないだろうが、優はヴァリアーの一員ではない。ここで優と真っ向から争えば、いくらなんでも問題である。

 

 10代目になる可能性を潰した原因がウサギの人形とか、いくらなんでもない。

 

 もっとも、ウサギの人形のためにキレる可能性がある優もどうかと思うが。

 

「……説明しろ」

 

 結果、XANXUSはスルー技術を身につけた。……彼は少し大人になった。

 

 

 

 

 優は人形を抱きながら、説明し終えた。もっとも、世界のバランスを崩れることは話したが、何を守らなければならないのかは話さなかったが。

 

 事が事だけに、XANXUSは強制しなかった。……否、出来なかったという方が正しいかもしれない。無理矢理口を割らす権限をXANXUSは持ち合わせていない。何度も言うが、時期が悪い。そのため、XANXUSは他のボンゴレリングも世界に影響する力がある可能性を知らないままになった。彼が知るのは約10年後になる。

 

「……おい」

「はい?」

「…………何かあれば、言え」

 

 時間をかけてXANXUSは口にした。もし優が守ることが出来ず、世界のバランスが崩れてしまえばボンゴレを継ぐどころの話ではない。そしてボンゴレの風の守護者の使命にXANXUSが手を貸すのは別段おかしな話でもない。だが、XANXUSが問題が起きていない今、伝えたことはとても珍しいことである。

 

「ありがとうございます。出来るだけ迷惑をかけないように気をつけますね」

 

 ニッコリと笑って言った優を見て、XANXUSは殺気入りで睨んだ。

 

 どうやらXANXUSは争奪戦の優の行動からギリギリまで助けを求めるタイプではないと気付いていたらしい。取り返しのつかないところで助けを求めては遅いので、先手を打ったようだ。ボンゴレの未来のために。

 

 慌てて何度も頷く優を見て、話が終わりとXANXUSは目を逸らす。優も空気を読んで立ち去るつもりだったが、ドアの前で足を止めて振り向く。

 

「XANXUSさん、少し触れてもいいですか?」

 

 何を言っているんだ、この女。とXANXUSは優を睨む。

 

「私、触れた相手に自分の体力を与えることが出来るんです。……身体、早く治したほうが良くありませんか?」

 

 沈黙を貫いたXANXUSを見て了承と受け取った優は、そっと手を重ねる。

 

「あまり無理しないでくださいね」

 

 体力を渡している間も、部屋から出て行く時もXANXUSは一度も優に目を向けることはなかった。

 

 だが、XANXUSは優のお願いに文句を言うこともなかった。




なぜか優とヴァリアーを絡めるとギャグになる。
書いてて、凄く楽しいwww
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