【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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ヴァリアーと優 2

 XANXUSへの説明後、スクアーロ達に説明するため優は先程の部屋へと戻る。当然、XANXUSとほぼ同じ内容である。ほぼなのはウサギの人形とは違い、話している内に面倒になったからである。そのため、ちょっと雑だった。聞き比べをしていない彼らは気付くはずもなく、何事もなく終わる。

 

 彼らの中で整理している間に、優はルッスーリアが入れたコーヒーに手を伸ばす。ちなみに、整理する時間があまりかからなかったスクアーロは、優が入れた砂糖の量にドン引きしていた。

 

 顔色を窺い、そろそろ全員がある程度納得したところで優は再び声をかける。もっともベルは最初から理解する気があったのかは怪しかったが。

 

「なので、フードかぶってる時はヴェントでお願いしますね?」

 

 機密としてヴェントの名前は知っているだろうが、何人かは優が名乗ったところを見ていない。そのため改めて声をかけたのだ。彼らはある程度納得していたので、誰も文句を言わなかった。

 

 そもそも9代目が許可を出て機密になったのだから、いくら独立部隊でも迂闊に反対することが出来ない。そして何度も言うが時期が悪い。優が素直に教えなくても、渋々納得することになっていただろう。

 

 そんな彼らの気持ちを知ってか知らずか、優は人形に抱きつきながら何気なく口にする。

 

「まぁXANXUSさんが名付けたので、皆さんが間違うとは思えませんけどね」

 

 驚きのあまり固まるのが数名。ドタバタで軽く聞き流していたため、改めて聞かされて驚いた者達や、嬉しそうに笑うものという感じで見事に反応がわかれる。

 

「ゆ、優ちゃん。ヴェントってボスがつけたの……?」

「そうですよー。ベルさんもその時いましたよね?」

「うししっ」

 

 XANXUSの気まぐれなのは間違いない。間違いないのだが、それでも異常だ。

 

「どうやって頼んだのかしら?」

「んーと、名前を聞かれて、ないって答えて、XANXUSが決めるか?って言った感じですよ」

 

 これといって何か特別したことはないと言い切ったも同然である。その前に風の守護者に相応しいというような大事な内容がスッポリ抜けている。もっとも、たとえそれを言ったとしても異常だが。

 

「ボス! オレにも名前をぉぉぉ……!」

 

 突如叫びながら出て行ったレヴィを見て、優は何度も瞬きを繰り返す。

 

「……あの、レヴィさんどうかしたんですか?」

「いつものことだぁ」

 

 誰も驚かないところを見て優はそういうものかと納得する。

 

 すると、ドコン!という爆発音が響く。場所が場所なので、優はすぐに動けるように警戒する。

 

「いつものことだぁ」

「そうねぇ。いつものことねぇ」

 

 不思議に思いながらも頷く。スクアーロだけでなく、ルッスーリアまで言ったのだ。気にするほどではないと判断する。

 

「でもそうなると……優ちゃんはどうして大丈夫なのかしら?」

「だってオレの姫だしー」

 

 レヴィがやられたことで、XANXUSの機嫌が悪いと再確認する。そのため、無傷で帰ってきた優が不思議な存在に思えてくるのは当然だろう。……一部例外が居るようだが。

 

「僕は騙されないよ」

 

 優に何かあると考えているマーモンは、先程頬を触られたことで警戒レベルが上がったのもあり、言うだけ言って部屋から去っていった。

 

「ひーめ」

「は、はい」

 

 マーモンを気にするようにドアを見ていた優に、軽い口調でベルが話しかけた。

 

「眠いんじゃね? 姫の部屋、こっち」

 

 優が返事をする前にベルが部屋を出て行くので、優は慌てて追いかけた。

 

 

 ベルに案内された部屋は以前泊まった場所と違った。あの部屋は客室で、優の部屋には出来ないようだ。

 

「ん? ってことは、ここは私の部屋……?」

「誰も使ってねーし、別に気にする必要ねぇんじゃね?」

「……ありがとうございます」

 

 頼んでもいないのに部屋を用意してもらえたことに優は自然と笑顔になった。

 

 ベルが部屋を出て行った後、優は軽く息を吐いてから振り返る。

 

「私に何の用なのかな?」

 

 ベルが出て行けばすぐに幻術をといたところを見ると、不意打ちする気はなかったらしい。

 

「君は風のアルコバレーノって本当なのかい?」

 

 少し悩んだ後、ゴソゴソと服から取り出しておしゃぶりの袋をとる。共鳴し光だしたことにより、口で言うよりも信用したはずだ。長い時間出していると制限されたせいで大変なことになるので、すぐさま袋に戻す。

 

「……どうして光らないのさ」

「原理は私も知りません。お師匠さんが作りましたから。後、呪いをかけた人のことを聞いても無駄ですよ。私は声しか聞いていませんので顔すら知りません」

 

 期待させるだけ辛くなると考え、優は先手を打った。

 

「君はどうして赤ん坊じゃないんだ!」

 

 それでも情報を掴むチャンスがなくなりショックを受けたのだろう。マーモンが感情的だ。

 

「呪われてはいますよ。話せませんけどね」

 

 にらみ合いが続く。必死になってまでマーモンが情報を得たいとわかっても、優は教えることは出来ない。

 

 ただ、マーモンには提示している内容が少ない。少し息を吐いて冷静になった優は口を開く。

 

「話すことにも呪いがかけられてます。誰にも私は呪いの内容について弱音が吐けません」

 

 沈黙が流れ、先に口を開いたのは優だった。

 

「眠いので、出てもらってもいいですか? 質問があるなら起きたら聞きますよ」

「……そうするよ」

 

 マーモンが出て行った後、優はベッドに潜り込む。ベルに貰った人形を抱きしめている間に、眠りに落ちることが出来た。

 

 

 

 

 久しぶりに頭を撫でられる夢を見た優は、目覚めのいい朝をむかえる。

 

 備え付けのシャワーを浴びて張り切って動き出したものの、ヴァリアーの朝は遅いらしい。昨日の部屋には誰もいない。いくら優でも許可もなく料理はしないので、仕方なく人形を抱きながらソファーでボーっと過ごす。

 

「帰りたいなぁ」

 

 日本だったならば、雲雀とご飯を食べていることを考えるとこの時間は辛い。

 

「そうねぇ。今日の夜には出発できるかしら?」

「ルッスーリアさん?」

 

 余程気が抜けていたらしく、優はルッスーリアが入ってきたことに気付かなかった。もっとも暗殺部隊というだけあって、普段から僅かな音しか出さないのもあるが。

 

「ルッス姐と呼んでほしいわぁ」

「えっと、ルッス姐さん?」

「んまぁ! とてもいい子だわ!」

 

 ハンカチを取り出し、泣くマネをするルッスーリアに優はなんて声をかけていいかわからない。

 

「ツッコミはあまり期待しないほうが良さそうねぇ」

 

 優の反応を見て1人納得するルッスーリア。関西人か。

 

「あ、あの……」

「気にしないで~。そ・れ・よ・り、一緒にご飯を作りましょう」

「はい!」

 

 ルッスーリアが女性物のエプロンをつけたことにもツッコミをせず、優はお手伝いをしたのだった。ボケ殺しである。

 

 

 

 以前のように食事を並べていると、スクアーロが起きてきた。優がルッスーリアとお揃いのエプロンをつけているのを見て、引きつった笑みを浮かべる。そして当然のようにスクアーロはルッスーリアに向かってツッコミを入れた。

 

「う゛お゛ぉい!!!!」

「んもぉ! 可愛いからいいじゃな~い。それに優ちゃんには替えの服がないのよ? 汚しちゃったら大変よぉ」

「すみません。目汚しになるものを見せてしまって……」

 

 申し訳なさそうにエプロンを脱ぐ優。ルッスーリアはスクアーロに非難の目をむける。半分ノリでしているルッスーリアならまだしも、正真正銘の女性の優にそれはない。男ならばフォローの言葉ぐらいはかけろと言っているのだ。

 

「……ぐっ、に……に……」

「ん? 姫、なんで脱いでんの? もったいねぇじゃん」

「あ、おはようございます。ベルさん」

「ししっ。おはよ。で、きねーの?」

「でも……」

 

 優はチラチラとスクアーロに視線を向ける。ルッスーリアもチラチラと視線を送る。もちろんこっちは面白がってである。

 

「……うっとうしいぞぉ! 着ろぉ゛!!!!」

「は、はい! すみません!!」

 

 はぁと軽く溜息を吐き、0点ねというような態度を取るルッスーリアに、ついにスクアーロの堪忍袋の緒が切れる。剣を振り回し、ルッスーリアを追いかけ始める。

 

「う゛お゛ぉい!!!! 逃げんじゃねぇ!!」

「優ちゃん、先に食べていいわよ~」

 

 止めなきゃ!と思った優だが、ルッスーリアが余裕そうなので放置することにし、騒ぎの間にやってきたマーモンと料理に釘付けのベルと一緒に食事に入るのだった。

 

 ちなみに、昨日の怪我が響いていたレヴィは2人の追いかけっこの巻き添えをくらい、廊下でのびていた。原因である2人はいつものことと気にする素振りも見せなかった。……これが日常茶飯扱いなのだから、彼はランボ以上に不憫かもしれない。

 

 もっとも普段と違い、食事を終えた優が気付き、応急処置などをしてソファーで看病してもらえたのだから、幾分ましな扱いだった。

 

 

 

 

 ツナ達とはまた違った賑やかさでいつの間にか時間が過ぎ、日本へと帰る飛行機に乗る時間がやってきた。

 

「え? 日本まで送ってくれるんですか?」

「当然♪」

「ボンゴレの機密よ~? 日本に戻るまでにもし何かあって機密が漏れた時、私達の責任になるわぁ」

 

 大丈夫といって断ろうとした優だが、ルッスーリアの言葉で思いとどまる。責任問題になるのだから優がいっても誰かしらつけることになるのだから。

 

「わかりました。あ、そうだ。私の連絡先を念のために教えておきますね。XANXUSさんにも渡したかったんですけど、返事がなくて……。一応、ドアの隙間から入れましたが受け取ってもらえているかは怪しいですし」

「姫の連絡先、ゲット~♪」

 

 あ。と思わず声を出す優。ルッスーリアに渡したつもりが、横からベルが奪ったのだ。そのため、メモ紙にもう1枚書いて渡すことになった。

 

「では、お世話になりました」

「また来てねぇ」

「はい!」

 

 以前とは違って優ははっきりと返事をした。ヴァリアーは賑やかで楽しかったのだ。そして出来れば今度はもう少しXANXUSとも過ごしたい。

 

 外まで見送りにきてくれたルッスーリアに向かってきっちりと頭を下げた後、屋根の方を見てもう1度頭を下げて、優はヴァリアーのアジトを去った。

 

 

 

 そして何事もなく、日本へと優は帰ってきた。

 

「ベルさん、本当にありがとうございました。随分、楽に過ごせましたっ!」

 

 ベルに貰った人形を持ち込んだおかげで、行きとは違い飛行機の中でぐっすりと眠れた優は、もう1度ベルに感謝の言葉をかけたようだ。

 

「問題ねーって。バイビっ」

「はい。また!」

 

 優もベルもすぐさまこの場を去る。いくら優が風をつかって誰もいないとわかっていても、長居するものでもない。

 

 そのまま家に帰ろうにも明るい時間なので、優は学校へと向かう。目指すは応接室だ。

 

 ピョンピョンと軽く飛び越えて、2階にある応接室の窓枠に座る。

 

「ワォ。いつ戻ったの?」

“ついさっきだ”

 

 ヴェントで返事をしたことで雲雀は僅かだが周りに目を向ける。草壁がこの場に居るが、優ならば地声で話す方を選ぶ。つまり他に誰かいるということだ。

 

「ちゃおッス」

「やっぱりリボーン君だったんだ」

 

 リボーンの登場で優は地声に戻す。体格からアルコバレーノのリボーンの可能性が高かったが、数日であっても並盛から離れていたので念のため警戒していたのである。

 

「今のところ何もねーぞ」

「ありがとう、リボーン君」

 

 未だにチェルベッロが手配した人物が学校修理のために出入りしているため、リボーンが定期的に盗聴器などを細工されていないか確認していたようだ。当然雲雀も手は打っていたが、現状ではリボーンには劣る。そのことは理解していたため、雲雀の機嫌は悪くなったが余計なこととは言わなかった。

 

「そっちは大丈夫だったのか?」

「んー、リボーン君が掴んでる情報とほとんど一緒だと思うよ。みんな、監視されていたことに気付いてるっぽいし、私に手を出すようなバカな行動をとる感じはなかったよ」

「そうか」

 

 ヴァリアーの処分はこれから決まっていくのだろう。未来編のことから死罪は免れるだろうが、XANXUSを10代目にするためにはまず失った信用を取り戻す必要がある。現時点で優に手を出すのはあまりにも時期が悪い。

 

「まっ、そもそも私と相性が悪いしね」

 

 そう言い切れるぐらい、風を操る力は卑怯なレベルに強いのだ。唯一、優に攻撃を食らわせることが出来そうなのは雷の技を持つレヴィだが、触媒に傘を使っているので、ちょっと風を操れば飛んでいってしまう。勝負に発展した場合、優が強気になるのも無理もない。

 

 しかし懸念は他にある。が、雲雀が気付いているようなので任せることにし、リボーンは軽い挨拶をした後去って行った。

 

 リボーンと話している間に、草壁が席を外したため、優は雲雀と2人っきりになる。

 

「こっちに来て」

 

 ピョンっと飛び降り、窓を閉める。なんとなくそうした方がいいと思ったのだ。

 

 案の定、言われたとおり近づけば、優の顔を覗くように雲雀が動く。

 

「……思ったより、元気そうだね」

「ベルさんが人形を買ってくれて、良く眠れたんです!」

 

 雲雀の機嫌が急降下する。優の顔色がいいのはいいが、それは面白くない。そもそもリボーンと雲雀が1番懸念に思っているのが、優がヴァリアーとこれ以上親しくなることだ。友達であるツナと敵対するとわかりきってる相手と親しくなってしまえば、もしもの時優は割り切れなくなる。取り繕うのは得意なので表面上問題ないように見えても、かなり危うくなるのだ。

 

「可愛いウサギさんでしたよ!」

 

 しかし2人の心配を他所に、優は雲雀の地雷を踏んでいく。どうやら雲雀にも自慢したかったようだ。

 

「でも、やっぱり雲雀先輩に抱きしめてほしかったかなぁ」

 

 いつものように無自覚に煽ってるようにも見えるが、雲雀は優の目が僅かに泳いだのを見逃さなかった。

 

 雲雀はすぐさま優を抱き寄せる。いきなりの行動に驚きはしたものの、いつもと違って優は素直に背中に手をまわす。

 

「あの、雲雀先輩」

「なに」

「時々、今みたいに甘えてもいいです?」

「僕は何度も言ったはずだよ」

 

 散々今までに雲雀は優に声をかけている。素直に受け取らなかったのは優だ。

 

「……ありがとう」

 

 何かしらあったようだが、以前と同じようにこうして優が素直に甘えることが出来るようになったのだから、雲雀にとって優がイタリアへ行ったことはやはり悪いことにはならなかった。

 

 もっとも……。

 

「雲雀先輩がお師匠様みたいです」

 

 ベルの一言のせいで、異性というより家族枠に入りかけてしまったため、甘い雰囲気になることもなく、雲雀は優に合わせて更にゆっくりと進めていくことになった。

 

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