【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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本日、2話目。

次の話から未来編です。
今年中になんとか間に合った。


波長

 イタリアから帰ってきた次の休みに、優はフラッとヴェントの姿で出かけていた。

 

「な、なにしにきたんだびょん!」

「…………」

「……ヴェント」

“クローム、元気だったか?”

 

 警戒している2人の反応をまるっきり無視し、可愛い声にだけ優は反応する。

 

 そう、優は黒曜ランドへやってきていたのだ。

 

“……骸から聞いているだろうし、普通に話すぞ”

 

 骸の性格を考えれば、計画を狂うようなミスは避ける。城島や柿本に根回しするのは当然だ。そのため優は安心してフードも取った。

 

「クロームちゃん、何か困ったことはない? いつでも相談乗るからね」

「……うん」

 

 親切な優にどう反応すればいいのかわからないだけで、決してクロームは優の態度に引いているわけではない。……きっと。

 

 クロームの返事に満足した優はやっと周りに目を向ける。そこには優の持っている物に目が釘付けになっている犬が。犬は犬でもケンだが。

 

「そうだった。ご飯、持って来てたんだ」

 

 城島の前に重箱を近づける。すると、ひったくるかのように奪った。

 

「1人一段ずつだよ? あ、1番下はクロームちゃんのだからね!」

 

 育ち盛りの男の子2人には肉が多めで、クロームには野菜や果物が多めにしているのだ。

 

「ブスにはこれで十分ら」

 

 城島は箸で玉子焼き1つを掴み、クロームに見せつける。

 

「……犬君、どこの誰がブスなのかなぁ?」

 

 優の一言で重箱から手を離し、部屋の隅っこまで逃げ出した。怒気までは発していないのだから、本能に刻み込まれているらしい。

 

「可愛いからってそういう意地悪しちゃダメだよ。それから、みんなと仲良く分けようね」

 

 ニッコリと優は城島に笑いかける。もっとも目は全く笑ってはいないが。必死に頷き、完全に大人しくなったので優はまだ手をつけなかった2段目を柿本に、そして一番下の段をクロームに渡す。

 

「よし、もう食べていいよ」

 

 恐る恐る手を伸ばしても優が何も言わないのを見て、再びバクバクと食べだす。躾けをしている飼い主と犬のようだ。

 

「……犬、優が作ったの、好き」

「だま……美味いびょん!」

「……わかったから」

 

 ここまで来ると強制的に言わせているようで、優はそっと城島から視線を逸らした。すると、優達から離れて静かに食べている柿本が目にはいる。彼もクロームと一緒で骸の一言があったから食べたんだろうなと優は思った。もちろん、バクバク食べている城島も。

 

「ひきつけるものがあるのかな」

 

 ポツリと優は呟く。ツナの守護者はどこかしらにカリスマ性がある。もちろんボスであるツナも。この法則ならば、優にもあるのだが当然のように優は気付かない。

 

「優?」

「クロームちゃんは可愛いなーって思っただけだよ」

 

 誤魔化しているように見えるが、行き着いた思考がそれだったので間違いではない。

 

「……優……変」

 

 クロームに変態扱いされたなら、優はショックで立ち直ることは出来なかっただろうが、クロームは優の感性が変わっているという意味でいったので、ニコニコである。優の中でクロームが可愛いのは事実なのだから。

 

 結局、食事が終わるまで、優はクロームを愛でたのだった。

 

 

 クローム達が食べ終わったのを見て、優は本題へと乗り出す。決してクロームを愛でるためだけにきたわけではない。

 

「クロームちゃん、骸君と話できるかな?」

「骸様……?」

「うん。でも疲れてそうなら、また今度にするから」

 

 不思議そうな顔をしながらも骸に語りかけてるクロームも可愛い。いつものようにホッコリとしながら見ていた優が突如ジト目になる。

 

「……僕を呼んだのはあなたでしょう」

「でもなんか違うの」

 

 可愛いクロームから骸にチェンジしたことで優のテンションがただ下がりになる。理不尽だ。

 

 何を言っても骸が悪いことになるのだから、相手にしてられないというように骸は溜息を吐き、本題に入る。

 

「それで僕に何の用でしょう」

「そうそう、聞きたいことがあったんだ。あの時、どうして私に語りかけることが出来たの?」

 

 ニッコリと笑いながらも、優は正確に答えるようにと無言の圧力をかける。優の骸と契約するヘマなんてした記憶がない。たった1度のことだが、捨て置けない内容である。

 

「たまたま、ですよ」

「……たまたま、ねぇ」

 

 強調しながら言った単語をあえてもう1度繰り返す優。

 

「クフフフ」

「ふふふ」

 

 雲雀とのにらみ合いの比にならないぐらい、水面下での戦いが激しい。その証拠に柿本が僅かに声を漏らし、後ずさった。ちなみに城島は頭を抱えて部屋の隅っこで座り込んでいた。優に当てられたのだろう。

 

「僕はウソをついていませんよ。その時、たまたま波長があっただけに過ぎません」

 

 実際、骸の言うとおりで大空戦でつなげれたのは偶然だ。クロームに語りかけた時、優にもつなげることが出来たから利用しただけだった。そして、つなぐ道が残ってるのはわかるが、行き来するのは不可能なのだ。骸はいつもと変わらないので、恐らく原因は優なのだ。その条件が判明していないのだから、たまたま、としか言えない。

 

 骸がどう頑張ってもつなげられないのだから、力関係は優の方が上だ。つまり、つながるかは全て優次第。しかもそれを本人は自覚していない。正直、骸が契約出来たとしても扱いきれるかはわからない。だからこそ興味深い。

 

「僕はたまたま、としか言えませんよ」

 

 骸は優に詳しく教える気はない。自覚してしまえば、つながる道が完全になくなるかもしれないからだ。利用できる手は残すべきだ。

 

「じゃぁ質問をかえるよ。どこまで出来ると思った?」

「……そうですね。たまたま波長があっても、僕から語りかけるぐらいでしょう。時間も限られているでしょうから」

「わかった」

 

 たまたま、というのが本当なら、乗っ取られるまではいかないのだろう。危機感を覚えた時は、特殊能力でなんとかすればいいと優はひとまず保留にした。

 

「もう戻っていいよ。可愛いクロームちゃんに会いたいし」

 

 用が済んだので、さっさと戻れと言われイラっとする骸。ただほんの少しだけ、骸を心配している気持ちが漏れていたので、溜息を吐くだけに留めて骸を戻っていった。

 

「おかえり、クロームちゃん」

「……うん。骸様と話……」

「したような、してないような。骸君ってなんであんなに遠まわしなんだろうね。もてなさそう」

 

 相変わらず、骸に対して辛辣である。一言、余計だ。

 

 なんとか返事をしようにも語彙が少ないクロームには、難易度が高い。言葉が出てこない。その様子に気付いた優が話をかえる。そもそも優は骸について語り合いたくない。

 

「今度掃除道具持って来るね。ちょっと不衛生すぎるから……」

「……いいの?」

「うん。細々したのも今度もって来るよ」

 

 生活環境として問題がありすぎるアジトを見て、優は改造しようと勝手に決めた。

 

 その後、以前雲雀の監視があったので出来なかった連絡先をクロームに教えたり、銭湯話で盛り上がったりしていると優のケイタイがなる。

 

「……ちょっと出るね。出来れば、静かにしてほしいかも」

 

 コクリと頷くクロームを見て、優は通話ボタンを押す。元々クロームは騒ぐタイプではないのだが、相手が相手なので念を押したのだ。

 

「もしもし?」

『優、今どこにいるの?』

「少し出かけてます」

 

 優がはっきりと場所を言わなかったため、雲雀の機嫌が悪くなる。……電話でも感じるのが不思議だ。

 

「も、もうすぐ帰りますよ」

『そう。家に居るから』

 

 早く帰れということなのだろう。もしかすると雲雀は今居る場所に気付いているかもしれない。

 

「了解です!」

 

 電話越しに圧力を感じ反射で返事をすれば、クロームと目が合い、心の中で涙を流した。

 

「クロームちゃん、ごめん……」

 

 切れたケイタイを恨みがましく見ながら、肩を落とす。クロームも雲雀と骸の関係をなんとなく知っているようで、優を引き止めることはない。そもそもクロームが優を必死に引き止めることはない。……悲しい事実である。

 

「また絶対くるから! 約束!」

「……また」

 

 ほんの少し笑ったクロームに優のテンションは最高潮に。

 

「クロームちゃんを大事に扱わないと、ぶっ飛ばすって骸君に伝えといてね!」

「ぇ……」

 

 クローム本人がそんな伝言を伝えることは出来ないだろう。ちょっと頭のネジがおかしくなった優は、クロームの戸惑いに気付かず、その勢いのまま去っていく。

 

 残されたクロームはその伝言を聞かなかったことにした。

 




時間が出来た時、雲雀さんとの絡みを増やすかも。
今年は厳しいw

みなさん、よいお年を!
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