【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました 作:ちびっこ
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放課後。雲雀とは別行動をし、優は一人で帰っていた。雲雀と一緒ではないのは、今日は数日ぶりの買い出し日だからだ。時間を無駄に出来ない優は、帰りながらも何が必要なのかを頭の中でリストアップしていく。特に最近はクローム達にも弁当を届けているので、量が多い。
家まで後もう少しというところで、妙な気配を感じ優は歩調を緩める。このまま真っ直ぐ行けば家についてしまうので、優は角で曲がった。
まるで隠れて待ち伏せをしているような動きにどうしようかと優は頭を悩ませる。風紀委員に恨みがあるなら、手荒な対応をとればいいだけだ。しかし風で探った限り、たった1人しか居ず、さらに体格はあまり良くない。良くないと言っても優ぐらいはあるが、今までの経験上襲ってくるタイプは大柄な体型が多いのだ。
1人ならば、雲雀を呼び出すほどでもない。こっそりと草壁に頼むのもいいだろう。雲雀にはあまり心配をかけたくはない。
少し悩んだ後、優は後ろから不審者を観察することにした。もしかすると優に危害を加えるわけではなく、ただの相談かもしれない。生徒が学校で風紀委員に直接言えないことを優に訴えることがあるのだ。学校以外では今までなかったが、ないとは言い切れない。……ここで優に好意を抱いて待ち伏せしていると一切思いつかないのが、優らしい。
回り込み、こっそり後ろから覗いてみると、服の上からでも筋肉質ではないのがわかる。これならば、何かあっても護身術程度で抑えられるだろう。優のように鍛えても身体に現れないのは特殊な例でしかない。
雲雀や草壁に迷惑をかけることもなく、解決出来そうなことにホッと息を吐き、優は後ろから近づいて行く。後ろからなのは、いくらなんでも正面から行ってもしもの時、護身術で倒すという筋書きに問題があると思ったのだ。そこまで頭がまわるのなら、1人で解決しようと考えることが間違いということに気づけといいたい。
相手は予想通り素人のようで振り向く気配がない。そのため優はポンポンと肩を叩き声をかける。相談だった場合、後ろから声をかけることもあり、あまり怖がらせたくない優は子どもに語りかけるような言葉を選んだ。
「僕、どうしたの? この家に用事?」
「うわあああ! 出たぁぁぁ!!!」
そこまで驚きかせるつもりはなかった優は、何度も瞬きを繰り返す。一瞬動きが止まったことで、優は次の出来事を防ぐことが出来なかった。
「ええええ!?」
予想外の出来事に声をあげる優。幽霊を見たようなリアクションをした後、そのままパタンと倒れてしまったのだ。風で支えることも間に合わなかった優は、慌ててかけよる。頭を打っていれば、怖い。
幸いにも倒れ方が良かったようで、しばらく安静にすれば目が覚めるだろう。ただ新たな問題が浮上する。
「私、やっちゃった……?」
思わず確認してしまう優。倒れてしまった人物の身体を診察時に、しっかりと顔も見てしまったのだ。
「この子って、入江君だよね……?」
散らばっている資料や10年バズーカを見て優は頭を抱えたくなる。だが、それよりも入江をこのまま放置するのはまずい。夕方だと結構冷える。優はいそいそと入江を家に運んだのだった。
入江をソファーに寝かせて、優は資料と睨めっこしていた。ベッドではなくソファーだったのは、この後に問題がおきそうだと判断したからだ。
「私は2番目か……」
トントンと頭を叩き、情報を整理する。優の原作知識は乏しい。それでも大まかな流れは覚えている。
優の記憶では、白蘭に支配された未来が新たな未来を作るために過去の入江を使ってイジった。なので、未来編が起きた未来の入江には10年バズーカを使ってツナ達にあてた記憶があるが、ツナ達は未来で亡くなっているため当たったが不発のような失敗に終わり、未来には行っていないだろう。その時に未来へ行っていれば、白蘭の危険性を知っているはずだからだ。
そのためこの資料と優の原作知識がズレていても不思議な話ではない。未来編にいる入江は資料通りに当てることが出来ても、ここに居る入江は未来に行ってしまった人物をツナ達が探したことで、ランボに詰め寄り自らのミスで当たった者もいる。それでもあまりズレが少ないのは、優が想像出来ないような世界の力が働いているのかもしれない。これについては深く考えるだけ無駄である。
優が気になるのは自身が2番目なことだ。この順番を決めたのは、未来編に出てきた入江達だ。恐らく過去の自分の行動を参考にしているだろう。優ならばそれを元に修正する形にする。つまり余程のことがない限り、この順番を決めたのは白蘭に支配された未来の入江だ。
「会って話さないとわからないか……」
結局はそれに尽きる。優がいくら考えても今の情報量ではここまでが精一杯だ。
優がこれ以上このことについて考えるのをやめた時、もぞもぞと動く気配が。
「ここは……?」
「良かった。目が覚めて」
入江は優の声に反応したが、メガネをかけなければよく見えないらしい。優は外していたメガネを渡してあげる。
「ありがとう」
「どういたしまして」
知らない場所だが、優の雰囲気に入江は安心したように息を吐く。だが、それは彼の中では束の間の平穏だった。優の手にはしっかりと資料が握られている。
「えっと、ごめんね。見ちゃった」
真っ青になる入江。その資料を読んだ優がどのような反応をとるのかわからない。それにその資料には入江の好きな人の名前が書いてある。親の目が怖く、家に置いていくことが出来ず彼は持ち歩いていたのだ。これを読めば、脅されて資料通りの行動をしていることがわかるだろう。だが、思春期の彼にとって好きな人の名前がバレてしまうのは何よりも恐怖する事柄なのだ。
「大丈夫だよ。誰にも言ったりしないから」
優は自身の対して鈍いだけであって、入江の気持ちは理解できる。彼が知られてもいいと思っているなら、こんな怪しい命令に従うわけがないのだ。
「ほ、ほんとう?」
「うん。私も好きな人いるから気持ちがわかるもん」
優の一言で親近感を得る入江。もっとも優は入江と違ってリア充なのだが。
「これを実行しないと困るんだよね? ちょっとだけ待ってね」
「いいの!?」
「うん。その資料読んだら、そのバスーカに当たっても危害を与えることはないって書いてるし」
大人ランボに10年バズーカの構造を優は聞いているが、この場では入江に合わせて話した。入江に優の事情を悟らせないために。
少し悩みながらも優は手紙を書きあげる。これで何とかなるはずだ。……なってほしい。
「あ、そうだ」
「どうしたの?」
「んっとね、この人が1番大変で見つかる可能性が高いと思うの。私みたいに話しても許してもらえるかわからないし」
優の言葉に再び顔色が悪くなる入江。忙しい。
「だから手伝ってあげる。ケイタイ持ってない?」
言われてすぐに入江はケイタイを取り出す。入江の中で優は自分を助けてくれるいい人と信じ込んでいるのだ。
「今から言うことを録音してもらってもいい?」
入江は言われるままに優の言葉を録音する。一部わからないことがあったが、録音が終わるまで入江は静かに過ごした。
「ちょっと不安に思うかも知れないけど、これで大丈夫だと思うよ」
「ありがとう。……あ、あの」
「君にはわからないことがあったと思うけど、これじゃ……ダメかな?」
立てた人差し指を唇に当てて、優はヒミツという仕草をする。ほんの少し見え隠れする大人っぽい雰囲気に初心な入江が頷くこと以外出来ただろうか。いや、ない。
……狙ってやったわけではないのが、また恐ろしい。
「それともう1個お願いがあるんだ」
申し訳なさそうな優の雰囲気に入江は現実に戻ってくる。
「隣の部屋で当たってくるから、10分後にそのバズーカを回収してもらえない?」
「それだけでいいの?」
「あ。鍵は閉めてね。閉めたカギはポストにいれてくれればいいから」
入江はすぐに頷いた。実際、彼にとって優のお願いは大したことではない。そもそも協力してくれた優の頼みを彼は出来る限りのむつもりだった。
「じゃ、行ってくるね」
隣の部屋に移動しようと立ち上がる優を見て、入江はつい手を伸ばす。危害を与えないと書いてあるが、本当かどうか彼にはわからない。自分の都合を優先し、気付かないフリをしていただけだ。少し前に当てたリボーンという赤ん坊は消えてしまった。親切にしてくれた優をこのまま行かせてもいいのかという葛藤がうまれたのだ。
そんな入江の気持ちを察したのか、優が声をかける。
「大丈夫だよ、入江君」
入江は優の笑顔に不思議と大丈夫な気持ちになる。ちなみに自己紹介もせずに入江の名前を口にすることができたのは、資料に書いてあるからである。もちろん同じ理由で入江も優の名前を知っている。
「風早さん、気を付けて!!」
「うん。大変だと思うけど、入江君も頑張ってね」
これから他の人物達にも当てにいかなければならないことを考え、入江は真剣に頷いた。そのため残念ながら彼は本当の意味には気づかなかった。もっとも、気付かないように優は声をかけたのだが。
こうして優はヴェントの姿で自ら10年バズーカに当たって、未来へと旅立った。