【改稿版】リボーンの世界に呼ばれてしまいました   作:ちびっこ

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短いですがキリがいいので。


未来の世界 2

 翌朝、眠っている優を起こすために雲雀は部屋へとやってきた。

 

「優」

 

 声をかけても起きない優を見て、予想通りだと雲雀は頷く。気をはっていない優は自分から起きない限りなかなか目が覚めない。そのため、手が塞がってるのもあり、そっと優の耳元へ近づき囁く。

 

「朝だよ、優」

「ひゃい!」

 

 優は抱きついていた人形を放り出し、耳を抑える。そして真っ赤になりながら、雲雀から距離を取る。そんな優を見て、雲雀は満足そうに頷く。

 

「やっぱりこの起こし方が1番はやいね」

 

 自分でも知らないことが判明し、慌てて人形を引き寄せ優は隠れるように抱きつく。

 

「朝ご飯、持ってきたよ」

「え? す、すみません」

 

 気にしている優を見て、雲雀は懐かしそうに目を細める。この時代の優は雲雀が用意しても気にしない。……もっとも雲雀のせいで慣れるしかなかったのだが。

 

「優はどこにあるかわからないよね?」

 

 気にしないように、雲雀は優に用意することが不可能だった理由をあげる。それを聞いた優は少しずつ雲雀に近づいて行く。どうやら納得して素直に食べる気になったらしい。ただ、ベッドをおりる直前になり困ったように周りを見渡し始めた。心当たりがあった雲雀は、ドアを指差す。意図を察した優はドアの奥へと消えた。

 

 さっぱりとした優はひょこんとドアから顔を覗かせる。目があった途端、雲雀が愛おしそうに微笑むので優は思わず隠れてしまう。このままではダメだと深呼吸し、自分を落ち着かせる。だが、雲雀は待ってくれなかった。

 

「優、冷めちゃうよ」

 

 わざわざ雲雀が洗面所までやってきたのである。短い距離だとしても雲雀がやってくると思わなかった優は驚きのあまり見上げるだけだ。隙だらけの優の姿を見て雲雀は額にキスを落とす。

 

「うひゃ!?」

「なに、その反応」

 

 からかうように声をかけるので、優は拗ねたように口を尖らせる。

 

「キスしてほしいの?」

 

 聞いたにも関わらず優の答えを聞く前に……否定する前に雲雀はキスをした。これ以上は危ないのではないというぐらい真っ赤になる優。10年前の雲雀ならば、我慢することが出来なかっただろう。それぐらい危険だった。

 

 落ち着かせるように頬を撫でてから雲雀は優の背を押し、食事の席へと誘導する。まだ幼い優は流されるままである。気付けば、いつでも食べる状態だった。経験の差がありすぎた。

 

「い、いただきます」

 

 優は雲雀の視線を感じながらも、料理に手を付ける。昨日のお昼から食べていないので、食べないという選択はなかったのだ。

 

「あれ?」

「どうしたの?」

「味付けが私とほとんど一緒だと思って……」

 

 確認するように他の料理にも手を伸ばす。やはり似ている。

 

「僕が作ったから、優に似たんだと思う」

「そうだったんですね。……ええ!? これ、雲雀先輩が作ったんですか!?」

「そうだけど?」

 

 まるで質問する優がおかしいというような反応を見せる雲雀に、優は驚くしかない。

 

「優が起き上がれない日が多かったからね」

「……そうだったんですか」

 

 優があまり良くない想像をしたところで、雲雀がすぐに口を開く。

 

「身体を壊したわけじゃないから」

「そうなんですか?」

 

 不思議そうな優に雲雀はほんのりと色気を漂わせた。当然のように真っ赤になる優。結局、そのままうやむやになった。……もっともこれについては真実を知らない方がいいだろう。精神的に幼い優には早すぎる。

 

 

 

 食事を終えたところで、雲雀の雰囲気が変わる。予想通り、切り替えれば甘い雰囲気を一切出さないようだ。すぐさま感じ取った優は背筋を伸ばす。この時代の雲雀に圧倒されていただけで、優も切り替えるタイプである。

 

 暗黙の了解のように確認もせずにこの時代の状況を話し始める雲雀。優はその間、相槌は打っても話を遮ることはなかった。質問は最後だ。

 

 話が終えたところで、少しの間だが沈黙が流れる。整理する時間がほしい。それでも思ったよりもわかりやすい状況だった。

 

 なぜならぼほ優が知っている原作の流れだったからだ。そのため優は最初にこの疑問を口にした。

 

「あの……私に全部話していいんですか……?」

 

 まず過去から来たツナ達は丸い装置を目指して強くなる。本来の目的は白蘭を倒すこと。入江は味方。他にも雲雀は白蘭の能力まで話した。この世界の状況だけと思っていた優は何度も驚き、瞬きを繰り返していた。

 

「全部情報を与えた方が勝手な行動しないから」

 

 言葉に詰まるしかない。どうやら雲雀は計画を話さなければ、優が1人で乗り込むと考えたようだ。

 

「流石に情報もなく、ボンゴレと同等の力を持ったマフィアに乗り込んだりはしませんよ」

「どうかな」

 

 とことん信用がないらしい。ガクリと肩を落とす。

 

「これは僕だけの意見じゃない。それにこの時代の優も賛成した」

 

 初めの言い方から、計画者であるツナと入江も雲雀と同じような考えだったようだ。この時代の優が賛成したのは、雲雀に教えてもらったことで話せない制約から外れ精神的負担が減るからだろう。かなり渋々だっただろうが。なぜなら……。

 

「私は何も知らないフリをして、動くなってことですか……」

「そうだよ」

 

 優は溜息を吐く。ここまではっきりと釘を刺されたなら、我慢するしかない。迂闊に動けば、彼らの計画が狂い、ツナ達の命が危険になる。

 

「……この時代の私は何をしていたのですか?」

 

 雲雀の話から裏で手を回し白蘭は急激に力をつけたことはわかる。それでも知識のあった優はもう少し動きようがあったはずだ。

 

「敵はミルフィオーレだけじゃない。初めにこの情報を掴んだのは跳ね馬だったよ。僕達よりも先に確認しやすかったからだろうね」

「えっと、第三勢力があるんですか?」

 

 知識にないマフィアが現れたのならば、そちらを優先するかもしれないと思い始める。確かに白蘭は危険だが、同等の力を持つマフィアも同レベルの危険性だと考えられる。

 

「少し違うかな。ボンゴレの同盟以外のマフィアが敵だから。同盟の中でも怪しいのもいるけど」

「……白蘭はまとめあげたんですか!?」

 

 ボンゴレと組んだ同盟以外が敵にまわれば、かなり厳しい展開だ。白蘭はどこまで勢力をのばしているのだろうか。

 

「違う。でも誘導したのは白蘭だろうね」

 

 優の質問に答える割に雲雀ははっきりと説明しない。そのことに優は徐々に苛立ちと不安が増していく。

 

「……あれらは真正面からボンゴレと敵対する気はない。欲しいのは優……ヴェントだけだ」

「ど、どういうことですか……?」

「アルコバレーノが消えたって言ったよね?」

 

 コクリと優は頷く。上手く声が出なかったのだ。

 

「ヴェントが居なくなってもおかしくない。……僕だけじゃない。沢田綱吉達も跳ね馬も優がヴェントで動くのを反対した。僕達が詳しい情報を集めている間に白蘭はさらに力をつけた」

 

 元から後手にまわっていた。そこに優の件でトドメがさされた。アルコバレーノが消えたタイミングといい、全て狙っていたのだ。

 

「優、わかってほしい。僕達が全て話すと決めたのは優に少しでも状況をわかってほしかったからでもあるんだ。優の敵は白蘭だけじゃない」

 

 ゴクリと喉が鳴る。雲雀が言い切ったのだから。

 

「原因は……?」

「ある噂がたったんだ」

「噂ですか……?」

「この時代ではリングの力で戦うって教えたよね?」

 

 急に話が飛んだが頷く。そこは優が持っている知識と変わりない。

 

「風のリングは発見されてるけど、使えるのは優しかいない。……優しか風の波動を持つものがいないんだ」

「わ、私って物凄くレアってことですか……?」

「そう、だよ」

 

 下を向いた優を見て、雲雀は手を握りしめる。話したくはなかった。だが、話さなければならなかった。そして雲雀の口以外から聞かせたくはなかった。

 

 ……この時代の優にも最初に話したのは雲雀だった。譲れるわけがなかった。

 




突然やってくるシリアスでした。
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