リメイク版『異常な普通』も異世界から来るそうですよ?   作:しにかけ/あかいひと

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幕間でございます。
つまりはリメイク前1番のチートアイテムの話です。
…………この話では出てこないんですけどね。


幕間その1-真偽交じりの人形劇場
その1-景山健太の人形劇場


 

◆◆◆

 

 

「健太って…………思ったことが顔に出るようで、全くでないよね」

「そぉかな? これでも意識して感情は表に出してるけど」

「感情は出てるね。まるで『○○なときはこんな感情』みたいにプログラミングされたロボットみたいだけど」

「…………ごめ、ちょっと傷付いた」

「あ、ああああごめん!!」

「いや、いいけど…………完璧には否定できないし。計算して顔動かしてるし。でも、それはお前にも言えるよな」

「…………うん」

「いつから…………こんな風に胡散臭くなったんだっけ」

「あのとき…………僕らがいろいろ失ったときからだよ」

「…………ままならねーなぁ」

「…………ままならないねぇ」

 

 

◆◆◆

 

 

「…………ちょっと、いやかなり深刻だなぁ」

 

『ペルセウス』との交渉から1週間。新たな仲間を迎え入れ、収入も安定してきてコミュニティ『ノーネーム』がうまいこと回り始めた今日この頃。

今日の人形劇を披露するために、舞台セットをギフトカードから取り出すついでに、カードの中の整理を行っていたとき。

 

「変装用衣装が足りない、特殊メイクセットも置いてきた、持ち出せた学習帳(魔道書)は3冊、人形劇用の裁縫セットも…………うあ、そういや簡易キッチンも…………」

 

僕の活動を支えた数多の道具に設備。そのほとんどを地球に置いてきてしまったという事実を突き付けられ、頭を抱えながら呻く。

 

小道具がなければ、僕はいたって普通の一般人である。変装できなきゃただの演技が上手い普通の人だし、ノートがなければ一般的な異能すら使えない。

本来の自分は気軽に使えない故に、小道具がなければ僕はこの先やっていけない。

 

「…………最悪、学習帳は書ける。でも、衣装とメイクだ。これはどうしようもない」

 

自分で作ればいいじゃない、と言われそうな気がするが、僕のスキル的に衣装の自作は厳しい。

くぅ…………裏ルートから仕入れて不自由しなかったあの頃が懐かしい…………!!

 

収入的には、それらを揃えることも可能だ。しかし僕の収入は『ノーネーム』の収入。そんなところで散財するぐらいなら、子供達のご飯にお金を割きたい! ついでに言うなら死んだ土地を開拓してお野菜育てたい。

 

そんなワケで、おいらは仕事道具を揃えられないことを突きつけられ、非常に焦った。

 

「…………まぁ、今はいっか」

 

何はともあれ今日も人形劇。みんなの笑顔を増やすため、景山健太は今日も舞台を開きましょう。

 

 

◇◇◇

 

 

「お引取りを」

「ですよねー……」

 

翌日、『もしかしたら白夜叉サンならそれらを解消できるギフトを知ってるかも』と思い、いつもの支店へと直行。そして、最近は無闇に酷いことはしないとようやっと理解してくれた、学習帳の件で店に来るときに頻繁に顔をあわせるお馴染みの店員サンに、ピシャリと突っぱねられた。

 

「緊急性のある案件ならば、アポなしでも通して良い…………と、オーナーからの指示がありましたが。そうではないのでしょう?」

「まぁ、そうです、ね」

 

個人的には緊急性のある案件だけど、他人から言って仕舞えば『それ、なくてもいいよね』である。仕分けで速攻に切り捨てられちゃうわ!

 

「…………全く、普段の人を飲み込むような虚ろな笑顔はどうしたのよ」

「ふへ?」

 

きゅ、急にこいつ言葉が崩れたぞ!? デレたか!? …………違うか。

 

「あー、うん。ほら、こっちに正当性が少しでも無かったら、あんなゴリ押し用の笑顔は浮かべないよ…………好き好んで脅したりしてるわけじゃないのに」

「う、嘘くさい……」

 

酷いなぁ、嘘くさいではなくて胡散臭いと言ってよ。内容自体は嘘じゃないんだぜ?

 

「とりゃーず、日は改めますね…………」

 

白夜叉サンに御目通りできないのならばここで時間を潰すのは愚か極まりない行為。無理に休暇をもぎ取ったのだ、その補填ぐらいはしないと…………。

 

「はぁ、お待ちなさい」

「え?」

「せめて、用件だけは聞いておくわ。頻繁に来られても迷惑なだけだし」

「お、おう。あざっす」

 

→かくかくしかじか→

 

「…………成る程。そういえば貴方、女装していたわね」

「あの、その生ゴミ見る目で睨みつけるのやめてくれません?」

 

あの衣装に、ほんの少しの悪意以外には何も混じってないから!

そりゃ、あのド腐れ親友が、

 

『正体がバレないようにするなら女装が1番!』

『バレたら怖い? 大丈夫、健太には僕がいる!』

『むしろみんなに嫌われてずっと僕と────』

 

あかん、これ以上はいけない。と言うか僕ちゃん、あの女郎を置いてきちゃったけど大丈夫だろうか…………マジで1度殺されそう。

 

「それとは別に、考えてることもあるんですけどね?」

「……と、言うと?」

「この東側…………娯楽、少なくないですか?」

 

少なくとも今僕らのいる東側の第七層には、劇団とか、そういった類のものが無いように記憶している。

 

「で、競争相手がいない内に、その辺りを開拓してやろうと。手始めに人形劇とか、一人芝居を広場でやりたいんですけど。それをするにもやっぱり小道具が必要なんですよね…………」

「……案としては、悪く無いわね」

 

生ゴミ見る目から、商売人の様な、計算する眼付きになった店員サンが、少し考え込みながら頭を揺らす。

 

「ちなみに、そんなことを考えているということは…………それなりに自信があるのね?」

「うん、これでも演技力には定評のあるケンちゃんだよん? てなわけで」

 

ギフトカードからセット一式を取り出してパッと広げる。

 

「やはり実力見てもらうには観てもらうのが1番! 景山健太の人形劇場、演目は『鏡写しの貴女に告ぐ』! 始まり始まり〜!」

 

 

◇◇◇

 

 

「[やはりアナタ(ワタシ)は、最期まで]」

「[………………………]」

「[愚かなヒト]」

「[…………私は、ワタシ(アナタ)を認められなかった。それだけよ]」

 

「「[…………─────]」」

 

「鏡写しの2人の女は、終ぞ分かり合うことはできず…………誰にも看取られることなく、その一生に幕を下ろしました」

「『鏡』を開いたが故に、『自分』と言う個を奪われた彼女、『鏡』を開かれたが故に、意図せず写し身として引きずり出された彼女…………1番不幸だったのは、一体どちらなのか…………真相は、闇の中」

「ん? 他人事だと思ってるアナタ…………そんなことは、ありませんよ?」

「だってほら、アナタの背後にも。写し身作りの『鏡』の扉が…………」

 

エピローグを語り終え、小さな舞台の幕を下ろし、一礼。

 

「お付き合いいただき、誠にありがとうございました!」

 

食い入る様に見つめていた店員サンは、ハッとした様に拍手をする。

 

「……どう厳しく見ても、面白かったわ。強いて言うなら、人形劇ならもっと童話の様な物語が良かったと思うけれど」

「お褒めに与り恐悦至極。中々やるでしょ?」

 

ちなみに子供相手には見せられないので、たまにはこういうブラックなのも、と思った結果なのでそこに関しては勘弁してくだせぇ。

 

「分かったわ。オーナーへは話を通しておく。明日、また来なさい」

「え、そんな早くていいんですか?」

「貴方の女装癖はともかく、計画の内容自体は悪く無いし、実力もある。むしろそれに一枚噛んだ方が、利益が見込めそうだと思ったのよ」

 

お、おう。そりゃ嬉しいぜ。

 

「……ちなみに、だけれど。貴方、その…………」

「?」

 

あれ、なんだろう。なんか怯えているよーな。

 

「その、『写し身作りの鏡』と言うのは、実在するものなのかしら? 内容がちょっとリアルで、少し…………ほんの少しだけ、怖くなったのだけど」

「ん? あぁ…………」

 

確かに、怖いよね。『偽物』が闊歩するのは。

 

「安心してください。この物語は半フィクションであり、登場した人物とシチュエーション、『鏡』に関しては実在しません!」

「そう、安心……………………できないわよ!!?」

 

あっはっはっは! だってコレ、半分実体験だものー!

 

「てなわけで、明日よろしくお願いしますねっ!」

「ちょっと待って! これじゃあ夢に出てきそうなんだけど!!?」

「嫌です、待ちません!」

 

いやぁ、明日が楽しみだなぁ…………。

 




え、やっぱあの化面出てくるん?
→大丈夫。今回は人類最終試練でも、主催者権限付きでも無いから抑え気味。

…………但し、平行世界での『俳優:景山健太』の功績故に出力不可のギフトと噛み合って化けるけど。
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