リメイク版『異常な普通』も異世界から来るそうですよ?   作:しにかけ/あかいひと

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ツッコミはなしでお願いします。
まさか健太が此処まで変態になるとは思わなかったのだよ…………。


その7-演者、変身する

 

遠い日の記憶。

 

「あのねーけんた! けんたもまほうをつかえるようになるほうほうみつけたよっ♪」

「…………いやなよかんしかしないんだけど」

「だいじょうぶだ、もんだいない。べつにまりょくをもってなくても、おえかきするだけでだれでもまほうつかいになれるのっ!」

「…………まぁ、ほかならぬこーちゃんのいうことなら」

 

 

◇◇◇

 

 

白髪ツノ付き和装ロリータは、白髪ツノ付き変態和装ロリババアで、この店のオーナーだったとさ、おしまい。

 

…………あ、流石に端折り過ぎだよね。

 

この白髪ツノ付(ryはこの店のオーナーらしく、黒ウサギとその一行である僕らが来るまで待っていたらしい。

でも、店番していたあの店員サンが嫌味な対応をし始めるから、割り込み辛くなった&面白そうとのことで傍観していたらしい。

 

…………で、何故変態でロリババアなのか。まあロリババアと断定したのは口調と雰囲気からである。

変態と断定したのは…………一応の会話を交わした後、この和装ロリ改め白夜叉サンは黒ウサギに飛びついて、なんとその胸の触り心地と彼女の抱き心地を堪能しくさったまごう事なきおっさん系統の変態であったからだ。

 

で、多少の悶着はあったがようやっと店に入ることに成功し、今僕らはオーナーである白夜叉サンの私室に招かれていた。

 

「では、自己紹介をしておこうかの。私は4桁の門、3345外門に本拠を構えておる『サウザンドアイズ』の幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女だと認識しておいてくれ」

 

自分で美少女とか言っちゃう? とか思ったけど、言ってる内容に嘘はないようだ。黒ウサギもうんうん言ってるし。

 

…………ってアレ? もしかして、僕がやらかしたことって割と洒落にならないんじゃ…………。

 

いや、気にしないようにしよう。僕は徹頭徹尾悪くない。

 

とまあそんなこんなで恐怖に震える僕を置いてけぼりに、自称美少女白夜叉殿はかるーい説明を続けていた。

 

そんな風に上の空で話を聞いてると、どうやら話の矛先がこっちに向かった様で…………

 

「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ? 知恵比べか? 勇気を試したのか?」

「いえ、そもそもゲームと言えるのかどうなのか…………当人達曰く、挑発されたから適当にあしらったということらしいので…………ですよね、お二方?」

 

黒ウサギの視線の先にある、逆廻クンと僕。そして、その視線を辿った白夜叉サンは、興味深そうに僕たちを睨め回す。

 

「ほう? 適当にあしらったとな? 見た所それらしい気配はないが、もしやこの小僧共は『神格』持ちの神童共か?」

「いえ、それはないでしょう。それに、たとえ神格をお二方が持っていたとしても、人間と蛇の種族的な力関係から考えても、一蹴はできようはずがありませんし」

 

ま、まあそうだけどさぁ…………でも黒ウサギ、興味を必要以上に向けられても困るからあんまりヨイショしないで貰えるかな? なんというか、この類の視線は苦手なのよ。

 

と、ここで気になったことがあるので、話をそらす意味も込めて質問を。

 

「なんか話聞いて思ったんですが、あの蛇神サンとお知り合いなので?」

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

その言葉に、黒ウサギ以外のみんなが反応した。…………僕も、これ以上なく。

 

『神格』を与えるとなると…………其れ相応の存在でないと話が合わない。確かに…………見た所この白夜叉サンは、『恒星』的な異常に見えるので、然もありなんだけど。

もしかして…………『太陽』だったりするのかなぁ? ははっ、まさか。

 

「へえ? じゃあオマエは強いんだな?」

「当然だ。私は東側の『階層支配者(フロアマスター)』だぞ。この東側の4桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだからの」

 

そんな風に思考してると、今の白夜叉サンの発言で3人が妙に戦闘意欲に溢れてきてる様で。

 

「そう…………ふふ。ではつまり、貴方のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論、そうなるのう」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

ドン! と逆廻クンが立ち上がる。

追随する形で、久遠サンと春日部サンも立ち上がる。

…………彼我の戦闘力の差、見切れないのかなぁ? 逆廻クンだけはワンチャンありそうだけど。

 

しかし、ここで僕が空気を読めないのもどうかと思うので、遅れ馳せながら好戦的な表情を浮かべながら立ち上がる。

 

「ちょ、皆様!?」

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には飢えておるし…………箱庭初心者に指導するのも、年長の務めだろう」

 

あ、ヤバ。これ空気読んで立たずに皆を止めに入った方が良かったかも。

 

空気が変わる直前の、微妙な感情を白夜叉サンから感じ取り、臨戦態勢を取る。

 

「しかし、ゲームの前に一つ確認しておく事がある。大事なことだからな」

 

彼女は自分の服の袖に手を突っ込み、1枚のカードを取り出し、そして言った。

 

「おんしらが望むのは『挑戦』か? もしくは、『決闘(・・)』か?」

 

瞬間、白夜叉の私室であったはずの此処が、歪み、光景を変え始めてゆく。

幾度も変化がなされ、落ち着いたところで部屋にいた全員がある空間に投げ出された。

 

其処は、白い雪原が広がる大地。凍る湖畔も見られる。

 

しかし、何よりも目に付いたのは。

 

「太陽が…………水平に廻ってるだと…………!!?」

 

クソッタレ、何てことだ! こいつ、マジで太陽の星霊かよ!?

名前の白夜(・・)叉からして、気付いておくべきだった…………!!

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は『白き夜の魔王』───太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への『挑戦』か?それとも対等な『決闘』か?」

 

この世のものとは思えない程の威圧と共に、白夜叉サンは言う。

表情を読み解く限り、引くならばそれで終わりにするのだろう。更に言うなら、それでも決闘を望むなら…………容赦はしないことも。

 

だから僕は───────

 

 

 

 

 

「OK、分かったよ白夜叉サン。存分に、戦おうじゃないか」

 

 

 

 

 

そう、口にしていた。

 

 

◇◇◇

 

 

其処にいる面々は、耳を疑った。

特に白夜叉は、半ば殺意とも受け取られかねない威圧を放ったのにと、ある意味で驚天動地な事態に驚いていた。さりとて、表情には出さないが。

 

「解せぬな小僧。パッと見ただけでも分かるほどに、お主の本質は戦で真価を発揮するものではないだろう。それでも戦うと?」

「まーねー」

 

白夜叉の質問に、飄々と返答しながら景山健太は笑う…………否、嗤っていた。

 

「阿呆のしてることだとは思うけどー…………此処で引くのは、僕のプライドが許さない」

「…………なに?」

 

嗤っているのにも関わらず、その目に宿すは決意の光。大きな決断をした者特有の、意思ある目の光。

 

「ま、気にすることではありませんぜ。そうですね…………僕は特別死に難い。だからコミュニティの盾を目指そうかと思うので、そのための行動その1ってところでしょうか?」

 

ブレザー型の学生服に、何処にでもありそうなショルダーバックを掛けてるだけの、なんの変哲もない少年。

そんな彼が、慣れたように(・・・・・・)構えをとった。

 

「まあそんなことも、貴女には関係のないことです。サッサとやろうじゃありませんか」

 

漸く、白夜叉は理解した。

 

目の前の少年は、己と戦うに足る覚悟を持った…………魔王に対する勇者であると。

 

「…………良かろう。お主、名は何と言う?」

「? まあいいけど。景山健太。何処にでもいた、ただの人間でバケモノだ。以後よろしく」

「景山健太…………よし、覚えておこう。では、行くぞ!」

 

そして、白夜叉と健太の衝突を合図に、戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

◇◇◇

 

 

衝突と共に、呟いた。

 

「…………衝撃を消したか」

「え、バレるの早くね?」

 

油断なく…………それこそ殺す気で、白夜叉は健太に向かって拳を当てた。が、その当てたはずの健太は、何てことはないようにヘラヘラと笑っているのだ。

 

「まあ、そういうこと。とはいえタネは明かしませんからね?」

「つれない男だ………のッ!!」

 

衝突を消されるとはいえ、健太冷や汗を流していた。故に攻撃することが無意味ではないと判断した白夜叉は、腹部に回し蹴りを入れる。

今度は衝撃の全てを殺すことができなかったのか、後方に飛ばされる健太。

 

しかし、それも途中でピタリと止まる。完全な静止であった。

 

「うげぇ…………想定してたけど、消し切れないなんて…………。チートもいいところだ」

「ふむ、私としては『鏡を見ろ』と言いたいのだがな?」

 

外傷無し。

人間が星霊と戦ってるのにも関わらず、未だ勝負の程を成していることは、有り得ざることであった。

 

「でもこりゃ勝負がつかないな」

 

そうして健太はバックを漁り…………2つのガチャポンのカプセルと、1冊のノートを取り出した。

 

「『Case No.12:正体をバラせない状況下における、格上異常者の対処法』…………あんまりやりたくないけど、悪く思わないでよね」

 

その言葉に嫌な予感がした白夜叉は、そうはさせぬと掌に炎を発生させ、健太に向かって放った。

 

「え、ちょ、ちょっとタンマ───────」

 

着弾。

轟音と共に広がる爆炎。

人を殺すには、十分過ぎる火力である。

 

だがしかし、白夜叉の顔は晴れなかった。

 

(仮に彼奴が持っているのが衝撃を打ち消せる恩恵だとしても、今ので倒せるとは思えん…………衝撃を消す=運動の停止。炎もまた、原子の高速運動によって起こる現象だからな)

 

これが、神の炎などの、物理現象を超越した概念の様な攻撃なら話は違うのだが…………白夜叉は、無意識に自分の手を晒すことを踏み止まった。

 

そうしている内に、炎は晴れ、立ち上った煙の中に人の形をしたシルエットが浮かぶ。

 

その人影は、フリフリの服を着た様な人間の姿で─────────

 

(…………へ?)

 

彼女は己の目を疑った。

先程までの何処にでも居そうな少年は、間違ってもあんな…………あんな服を着ていたとは思えなかったのだ。

 

しかし、そんな彼女を置いてけぼりに、煙の中からその人影が飛び出した。

 

「[よくもやったわね! この私にあんな炎をぶつけるなんて!]」

 

出てきたのは、1人の少女。しかも、どこかの魔法少女モノのアニメで見かけるような、魔法少女服を着た。

 

「…………誰だ貴様」

 

白夜叉は、分かっていても問わざるを得ない。いや、正体は分かっているが、見た目と声が変わり過ぎていた。

 

「[異常な輩を滅殺撲殺♪ 一般市民の味方:マジ狩る★景子よっ!]」

 

健太…………否、マジ狩る★景子の名乗りを聞いた白夜叉は、たっぷり5分間静止したままだったという。

 

 




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