歌:Fire Bomber
色々あった二時間目。色々・・・といっても、僕が騒動を起こしたわけじゃない。騒ぎを起こしたのはあくまでも、一夏だ。彼は参考書を電話帳と間違えて捨ててしまったらしい。たしかに厚さもデザインも似ているから間違えなくもない。けど、確認くらいはしようよ。なんの確認もなく捨てるのはさすがに不用意すぎる。そして今、騒動の中心人物だった彼は僕の隣で机に突っ伏している。
「うぉお・・・・・・」
「ドンマイって言いたいところだけど、これは自業自得だよ。まったく、ちゃんと確認しようよ」
「ジュード、お前って案外キツい事言うのな。」
「それは、一夏が心配だからだよ。ここでつまずいたらずっと分からないままだよ。それはイヤでしょ?」
「うぐっ!それは確かに嫌だなぁ・・・・・。」
一夏に少しお説教をしていると横から声をかけられた。
「ちょっと、よろしくて?」
「え?」
「んあ?」
二時間目の休み時間、ある程度は慣れて一夏と会話しているとはいえ、好奇の視線で針のムシロを味わうのかと思っていきなり声をかけられたため、気の抜けた声が出てしまった。今の感じだと一夏の方もどうやら同じようだ。
「訊いてます?お返事は?」
「あ、ああ。訊いてる・・・・どういう用件だ?」
一夏が戸惑いながら問いかけると、わざとらしく声を上げる
「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに声をかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度あるのではなくて?」
「・・・・・」
一夏は苦虫を噛み潰したような顔になって無言になっている。
「ごめんね。僕たち、自己紹介の時の騒ぎで後の事ってそんなに覚えてないんだ。でも、貴女の事は個人的に入っています。
「あら、それは殊勝なことですわね。わたくしも貴方の事は存じておりますわよ?天才IS研究者にしてIS技師も兼任している、ジュード・マティスさん?」
「それはうれしい限りです。けど、天才科学者というのは言い過ぎですよ。僕なんてまだまだです。それと、今回声をかけられたのは、どういう用件ですか?」
こんな形だけの挨拶が慣れちゃってるな。本当、イヤになっちゃうよ。こんなのに慣れてる自分が。それに、今の会話で伝わってきたセシリアさんの気持ち。そう、女尊男卑の考えが生み出す男の人を見下し、
「そうですわね。本題に入りましょうか。実はですね・・・・・」
本題に入ろうと、セシリアが口を開いたとき、一夏が口を開く。
「なぁ、口を挟むようで悪いけどさ・・・・代表候補生ってなんだ?」
「あなたっ、本気でおっしゃってますの!?」
「おう、知らん。」
「ちょ、何で堂々としてるのさ!」
「いや、だって今までISなんて興味なかったし。それに千冬ね・・・織斑先生はなんか知らないけど、俺からISを遠ざけてたみたいだっだしさ。」
「まあ、それなら仕方ないかもしれませんわね。けれど、代表候補生って言葉でピンとこないなんてニブすぎですわよ?」
「はぁ・・・・良い?一夏。代表候補生って言うのは、IS適正が高くて色々な試験や審査などで選出された、国家代表IS操縦者の候補生として選ばれた人達のことだよ。早い話がエリートって所かな?」
「なるほど。へぇ、そうなのか。」
一夏が本当に感心したように頷いている。本当に分かってるのかな?心配になってきた。
「そう!エリートなのですわ。本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを共に出来ただけでも奇跡・・・・幸運なのよ。その現実が理解できています?」
「へぇ、そりゃラッキーだ。」
「・・・・馬鹿にしていますの?」
一夏!そんな、「お前が幸運といったんじゃないか」みたいな顔で挑発するような事言わないでよ!!せっかく僕がセシリアさんの挑発を回避してたのに!!
「大体、ジュードさんなら兎も角。あなたISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。男でISが操縦できると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待はずれですわね。」
「俺に何かを期待されても困るんだが」
「ふん。まあでも?わたくしは優秀ですから、貴方のような人間にも優しくしてあげますわよ」