肉まんちゃんの大冒険   作:食塩

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体質

 フカヒレ入りニクマンを食べ終わった肉まん。

 あたりを見回してみると、一口一口噛み締め味わいながら食べたせいか、もう空は真っ暗だった。

 

 コンビニの中にある時計をみるともう時間は8時を回ろうとしている。

 さすがに何時間もコンビニの前にいるわけに行かないとおもった肉まんは、進み始める。今頭をよぎっているのは今日の寝床について。

 

 ふかふかの布団で眠りたいが、なにせお金を持っていな肉まんは、今日は野宿をするか...としょうがなくコンビニ周辺にあった住宅街を目指し移動する。

 

 

 

 しばらく移動して、ふと気が付けば室外機の近くにいた肉まん。

 

「ミ...!?」

 

 超人的な閃きが脳裏をよぎる。

 

 そうだ、室外機の近くで寝れば夜の寒さを凌げるのでは?

 

 コンビニで得た情報だと今は9月のなかばだったはずだ、昼は暑いが夜になると冷えるこの時期。

 しかも今日は雲ひとつない晴れ、きっと夜が深まるにつれて放射冷却でどんどん冷えることだろう。

 幸いこの室外機は動いている、もし寝てる間に止まったとしてもしばらくはあったかいだろう。

 

 そう思った肉まんは、室外機の隙間に潜り込み、目を瞑った。

 瞼を閉じると、今日の出来事が思い上がってくる。

 

 目を覚ませばへんてこな体になっていたり、音も立てず地面から僅かに浮いて移動したり、元の世界にあったようなコンビニを見つけたり、そこのコンビニの優しい店員から肉まんをもらったり…

 

「ミフゥ…ミフゥ…」

 

 今日はいろんなことがありすぎて疲れたなぁ、と気が付けば肉まんは深い眠りについていた。

 

 

 

 

 

 丑三つ時を回るとき、肉まんの近くに野良犬が姿を現した。

 野良犬はお腹がすいてるのか、喉を鳴らしながら近づいてくる。

 ゆっくりと近づき、スンスンと鼻で匂いを嗅ぎ、匂いは合格なのか舌なめずりを始める。そして口をゆっくりとあけ、勢いよく肉まんにかぶりつく。

 

「ミィーーー!!!!!」

 

 自分の体を食べられた痛みで飛び起きた肉まん。

 どうにか逃げ出そうと思うが、余りにも痛く、思ったように動けない。

 

 このまま全部食われてしまうのかと覚悟してたとき、犬に異変が起きた。

 

 

 一口目を勢いよく食べた犬は、二口目はあまり食べず、三口目・四口目・五口目とゆっくり食べたものの、一向に六口目を食べようとしない。

 肉まんの半分以上を食べ、まだお腹がすいてるみたいだが、犬が口を開いて食べようとするたびにその顔を苦痛に歪ませる。

 結局肉まんを最後まで食べることなく、犬は足をよろよろさせながら住宅街の闇へと消えていった。

 

 

 

 肉まんの体はいくつかの不思議な性質を持っており、見た目や匂いは非常に美味しそうだが、ひとかけらでも口に入れたとたん、「絶妙に美味しくない」という気持ちが強制的にはたらく。

 ふたかけら食べると「もう食べたくない」となり、少しは食べても耐えられるものの、それ以上食べようものなら死にたくなり、この世から消えてしまいたいと思うようになる。

 その体質のおかげで、肉まんはなんとか生き延びることができたのだ。

 

「ミフッ...ミフッ...」

 

 気を失い虫の息の肉まん、苦しそうに悶えているとき、肉まんの体がボコボコと膨れ始めた。

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