肉まんちゃんの大冒険 作:食塩
ぺちゃんこになった肉まん。
数十秒目を回していたが、意識を取り戻しフンッ!と声を上げプクーッと自分の体を膨らます。
肉まんは起き上がり考える。
自分の身体はどれくらいの重さだ?曲がりなりにも自分としては助走は十分だった気がする。それなのに目標の鉄パイプに全く届かなかった。
もしかするとこの身体は自分が思っているよりもかなり軽いのかもしれない。
そうした場合、鉄パイプにぶつかったとして、跳ね返ったりして、前にイメージした通り、体がぐちゃぐちゃにならないかもしれない…。
心の中でこの手はダメだ、別の方法で食料を調達しようと心の中で新しい案を考え始める肉まんちゃん。
「ミ…ミミッ!?」
そうだこの手があったじゃないか、フカヒレ入りニクマンをくれたあのコンビニにもう一度いけば、ニクマンをもらえる。
普通に考えたらねーよと言われるようなことでも起死回生、大逆転の一手を思いついたように、肉まんはスキップに加え鼻歌を歌いながらルンルンとニクアンをくれたコンビニ、イレブンセブンに向かうのであった。
コンビニの前についた肉まん。自動ドアをくぐり抜け、レジに置いてあるニクマン・チュウカマンスチーマーの前へと行く。
「ミ-!!!!ミフミフ-!!!!」
店員さんは自分にニクマンをくれた人とは違うけど、顔つきはすごく優しそうだ。これならニクマンをもらえる。
そう思い肉まんはレジ台にあがり、両手を振ったりスチーマーの方に指を向けたりと、必死にアピールするが目の前の店員は虫を見るような目で肉まんを見ている。
「ミッ!!!ミッミ!!!!」
どうにか肉まんをもらおうと暫くアピールを続けてた肉まんだが、突然店員の顔が歪み始めた。
肉まんが2つあるレジのうちの一つを占領しているせいで、客がレジ前で行列を作り、回転率がすごく落ちているのだ。
今は朝方で人も多めで、急いでるのか中には商品を手にとったものの、レジの人の多さを見て商品を棚に戻す客までいる始末。
大事なお客様を何人も逃してしまい、店員の肉まんに対するヘイトはどんどんと溜まってゆき、今この瞬間に爆発したのだ。
店員は、肉まんの身体をおもむろにわしずかみにすると、そのまま外へ連れ出して地面に叩きつける。そしてべっちゃりとなった肉まんを更に蹴飛ばし駐車場外へと飛ばす死体蹴りをかました後、手をパンパンとはらって店の中へと戻っていった。
「ミ…ミ…」
肉まんは痛さに苛まれながらも、あの店員への怒りが体の中を渦巻かせていた。
なぜ自分は叩きつけられてその後蹴られたのか、何も悪い行為はしていない。ただ単にニクマンが欲しくて店員に向かってくださいと言っていただけなのに…。
人間の頃ならばどうしてそういう行為をされたのかすぐわかったのだが、どういうことか肉まんの身体になってからは思考力が全く働いていない。
そうして肉まんは店員への恨みをどんどん膨らませていったのであった。