出来たのでぽちっと投稿。段々駄文になっていく安定のクオリティ。
石切丸と太郎太刀は霊的なものが見えててそれを祓える、という独自設定が入ります。御神刀?だし有りかな、と。
それから、loveじゃないです。行き過ぎたlikeです。
やぁみんな、大典太光世さんだよー。
なんと、今日は楽しい楽しい内番だー!
いやほんっと馬当番も畑仕事も楽しいよ!手合わせは嫌だけど!
本日はフードマントと一緒に馬当番です。
つーかみんな凄いな、ジャージとか普通に着こなしてるんだけど。背中に○○大学とか○○部とか書いてあっても驚かないくらいしっくりきてる。まぁ一部は古風な格好だけどね、狐(大)のあの格好って何ていうの?
ちなみに私はジャージです。審神者ちゃんが用意してくれました。…何でサイズ知ってんの…審神者だから…?
「あんたみたいな刀が、写しの俺と同じ作業なんて嫌じゃないのか」
馬小屋の前で会って早々に暗そ~うな雰囲気のフードマントに言われた。つーかジャージにマント…邪魔じゃないの?マントが。あと写しって何?それから私は人間です。刀じゃないです。
不思議そうな顔をしてたのが伝わったらしく、フードマントは付き合い切れないとばかりに小屋の中に入っていった。
いきなり呆れられた…どうもすみません。
作業は大変だけど馬との触れ合いっていいなぁ。今は馬のブラッシングをしてるんだけど、気持ち良さそうにしてくれるのが嬉しい。人懐っこくて可愛いなぁ、日頃のストレスが癒される。あ、こういうのアニマルセラピーって言うんだっけ?
とかしてたら馬にフードマントが襲われていた。
や、フード噛まれて剥ぎ取られてるだけだけど。てうわっ!何だよ中身正統派王子じゃん!フードマントじゃなくて王子じゃん!
あーあ、王子の髪くしゃくしゃだ。
…い、今なら触っても平気かな?生正統派王子とか初めてだし。
馬に戯れられてる王子に近づくと馬は王子から離れた。こっちに向かって鳴いたのは威嚇?ああ、王子がお気に入りなのか。別にとったりはしないのに。
王子に手を伸ばしてくしゃくしゃの髪を整えてみる。おお!艶々サラサラヘアーだ!これは触ってて気持ちいい。
暫くそうしてたら王子の白い肌が赤くなっ…金髪碧眼白い肌、益々王子だね!
感動してる場合じゃなかった。王子にめっちゃ手を振り払われた。痛い。
そんでもってダッシュで逃げる王子。
そうだよね、普通野郎が野郎に触られたかないよね。恥ずかしいよね。
いや、何か本当にごめん。
それから暫く、何故か王子と遭遇しまくった。しかも何でか毎回フード外される時に。風とかちびっ子に突撃されたりとか真っ白あんちゃんとか。とりあえずその度王子のフードは戻しておいた。だって、何か大事そうにしてるし。
そんでもって真っ白あんちゃんは斬りつけ魔にこってり絞られればいいと思う。
「…何であんたは俺に構うんだ。所詮俺は写しだというのに」
ある日、またばったりとフードが外れた時に出くわした王子に聞かれた。
時間は夜、場所は廊下。王子はマントをどっかに引っ掛けたらしい。
と言うか、君ことある事に写し写しって言うけど写しって何?いい加減ゲシュタルト崩壊しそうだよ!
ついでに言うなら構ってる訳じゃなくてたまたま、偶然なんだけど。君の事探してる訳でもないし。
「自分の事を写しだと謗るなとでも言いたいのか?だが…」
あ、丁度王子の背後にでっかい月があったんだ。青…蒼かな?なんか月が綺麗だな。ここって自然が凄く綺麗だ。空気は澄んでるし、何気に小動物とか居るんだよね。小動物とか結構好きだな。
っとと、ごめんごめん、王子の話完全スルーしてた。何?
なんて思った時は既に遅かったらしい。
王子はマントを抱えてどっかに行ってしまった。
あの…本当、ごめんなさい…。
次の日から何故か王子がくっついてくるようになった。
他の人や審神者ちゃんには相変わらずだけど、私の前ではフードを取ってくれるようになったよ。
…何で?
さぁ今日は畑仕事だ!
本日の相棒は神主さんです。
うーん、同じ姿の他人なのは分かってるけど、前ボッコボコにしたっぽいから何か気まずい。
つーかその格好で畑仕事するの?え?
神主さんすげぇ!
動き辛そうな格好なのにさくさく畑耕すし種まきも鮮やかだ。結構土固いのに簡単に耕してるよ。あれ、もしかして力結構凄い?
「折角だから、豊作祈願の祈祷でも行っておこうか」
え、どっからその棒取り出したの。えーと、そうだ、大麻(おおぬさ)とかいうやつだ。
きっとここの作物が美味しくていつも豊作なのはこの祈祷のおかげ…なのかなぁ…。
畑仕事を満喫した日の夜、のんびりと散歩に出掛ける事にした。
畑や馬小屋、演習場とか色々そろってるだけあって本丸は広いんだよね。ちょっとした林とか池まである。
娯楽の少ないここじゃ散歩も立派な暇潰しだ。あー…パソコン、マンガ、ゲーム、携帯…あればなぁ…。囲碁とか将棋なんて分からんっつーの。
暫く歩いてると少し開けた場所に出た。
お、新しい場所発見!
静かなこの場所を見回してて、ふと私の中にある厨二心がふつふつと湧き上がる。だって刀持ってんだよ?誰も見てないんだよ?
これはやるしかないだろ!!
刀を鞘から抜いて見よう見まねで構える。確か左手に刀を持って右手は軽く添えて…そう、構えはる○うに剣○の斉○一、強烈な突きのアレだ。
腰を落として体を低くして…地面を蹴るのと同時に一気に刀を突き出す…!
なんて私じゃへぼいのもいいとこだけど、くぅ~!気持ちい…
「何をしてるんだい?」
おぎゃあああぁぁぁ!!見られた!見られたぁ!!
突然の声に口から心臓飛び出す勢いで驚いたしとんでもなく恥ずかしさが!
恐る恐る声の方に体を向けるとフル装備の神主さんが居た。
や、夜戦ですか?
恥ずかしいやらビビったやらで震えそうになる手で刀をおさめる。
誰もいないと思ったからやったのに何でいるんだよ…うぅ、八つ当たりしそうだ。
「貴方はここで…」
うわぁうわぁ!聞かないでよ!見た事は内緒にしてて下さいお願いします!
その場はしー、のジェスチャーだけして逃げ帰ったよ。たっ、多分神主さんなら内緒にしてくれるだろう。
まさか何回か同じとこを見られるとは思わなかった…。流石にアレは止めたけど、刀を振り回して悦に浸ってるとことかさ。だって格好いいじゃん、実践は本当に勘弁だけど。
いや、学習しろよ自分!
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山姥切国広は内番用の衣に着替え馬小屋へと向かう。
馬の世話など写しの己には似合いの仕事だと自嘲し、天下五剣の一振りである大典太光世と一緒である事に益々コンプレックスを刺激される。
何故己が彼の刀と一緒に内番なのか。三日月宗近が居るではないか。
山姥切国広は会って早々にその思いをぶつけた。が、大典太光世は不思議そうにするだけで嫌悪の欠片もない。
大抵の者は卑屈な態度に多少なりとも負の感情を見せるのだが、彼は純粋に不思議そうにしているだけであった。
その事に居心地の悪さを感じた山姥切国広は早々に馬小屋の中へと入る。あの真っ直ぐ過ぎる程に真っ直ぐな視線を受け続けるよりはマシだ、と。
馬の世話を始めれば、居心地の悪い思いをし続けている山姥切国広を余所に大典太光世は大層楽しそうに世話をしていた。
嫌々世話をする者が多いというのに、実に珍しい。
彼の刀は普段は無表情のくせに、慈しむような笑みを馬に向けている。そして馬の方も彼には甘える仕草を見せていた。
その様子を見て山姥切国広の手が思わず止まる。
あんな穏やかな顔など見た事がない。
驚きに彼と馬を見ていると不意に引っ張られる感覚がした。その先を見れば馬が己の襤褸(ぼろ)を噛み引っ張っている。
何とかして襤褸を引っ張り返そうとするが、存外馬の力が強くまるで綱引きのようになった。
そうこうしている内に大典太光世が小さなこのやり取りに気づいたらしく、一人と一頭に近付いてくる。山姥切国広が大典太光世に気を向けた瞬間に襤褸は馬に完全に剥ぎ取られてしまった。
どうだ、よくやっただろう。誉めてくれ。
そう言いたげに大典太光世に向かって鳴く馬に腹立たしさを覚えるが、いくら何でも危害を加える訳にはいかない。
それに、彼の刀が己を凝視しているのが分かり視線をあちこちへと彷徨わせる。
いつまで経っても向け続けられる視線に我慢の限界が訪れようとした頃、不意に髪に何かが触れた。
反射的に顔を上げると目の前には大典太光世が居り、山姥切国広は彼が自分に触れた事を知る。
そして彼の顔を見てしまい、山姥切国広は目を見開いた。
何故なら彼は…。
瞬間、山姥切国広は大典太光世の手を勢いよく払う。呆気に取られている相手に構っている余裕はない。逃げるように馬小屋から自室へと駈けていった。
あんな顔は卑怯だ。
あんな、あんな、慈しむような、大事で仕方ないとでも言うような。
、笑みなど。
その日から、山姥切国広と大典太光世はよく会うようになった。
いや、大典太光世が山姥切国広を探している、といった方が正しいのだろう。
何故なら決まって襤褸が剥がされた時に彼が現れるのだ。剥がされた時に現れて、この髪と顔を隠すように襤褸をかけていく。どう考えてもタイミングをはかっていたとしか思えない。
山姥切国広は、その行動が何故か大事にされているように感じて擽ったさを覚える。
何故擽ったさを覚えるのか不思議で仕方がない。普段であれば…そう、彼以外にそうされたのであれば、写しである己を見たくないのだろうと考えるというのに。
決定的だったのはとある夜の事だ。
その日は遠征があり、加えて日々の大典太光世との遭遇で疲れていた。
注意力が散漫になっていて、そこで襤褸を引っ掛けた。引っ掛けたのは何故か固定されていた箒。また鶴丸国永の悪戯だろうか。
そしてここ最近、襤褸が外れるとやってくる天下五剣が一振り。
やはり今宵も彼は己の前に姿を現した。
何故己に構う。自身を謗るなと言いたいのか。だが所詮写しは写しだ。
山姥切国広は胸の内に溜まっていた思いを吐き出す。
これで大典太光世も自分に愛想をつかすだろう。
ちくりと胸を刺す痛みには気づかないふりをして、無意識に掴んだ胸には知らないふりをして、山姥切国広は自嘲する。
だが山姥切国広が俯いた顔を上げた時、彼の予想するものとは違う光景があった。
あの時、内番を共に行った時に浮かべていた笑みを大典太光世は浮かべていた。
酷く優しげな、慈しむような微笑み。
「………」
己の耳が正常に機能しているのならば、彼は確かにこう言った。
綺麗。好きだ。
吐息で、掠れた微かな音で。大切そうに、甘い響きで。
それを認識した瞬間山姥切国広は襤褸を抱え自室へと逃げ込んだ。乱暴に襖を閉め背中を預けると体から力が抜けてずるずると座り込み顔を覆う。
ああ、目玉が熱い。
頬を伝う生温い滴が鬱陶しい。
あの無表情を貫く男が微笑を湛え、喋る事のなかった口で紡いだ音ならば信じてもいい。そう、山姥切国広は思った。
写しである自分を綺麗だと、好きだと言った彼ならば信じてもいい。
大典太光世ただ一振りの前でなら、この襤褸で己を隠す事を止めてもいい。
その日から大典太光世は山姥切国広にとって一等大切な者となった。
それこそ、審神者たる主よりも。
石切丸は前々から大典太光世の事が気になっていた。
自分や太郎太刀のように奉納こそされていないものの霊刀と言われた刀。
破邪の刀。
最初から同類として気になってはいたが、最近になって彼はどうも「視えている」のではないかと思うようになった。己や太郎太刀のように、怨念、恨み辛み、執念…念、というものが。
先日、打刀と脇差しの混合部隊が検非違使に手酷くやられて帰ってきた時の事だ。
あの時、志半ばで散るかもしれないという刀の無念が戦場の念を引き寄せ「連れて」帰ってしまっていた。
出迎えた石切丸が念を祓わねばならぬ、と刀の頭に手を置いたのと同時に大典太光世が門へと振り向く。すると本丸の中に入ろうとしていた念…石切丸にはそれが黒いモヤに見える…それが霧散したのだ。
驚いた事に彼は視線一つで念を祓ってしまったのである。
何気ない仕草であった為に注意していなければ気づかなかっただろう。彼も彼で何事もなかったように本丸の中へと入っていった。
大典太光世にとって今の出来事は当たり前で、些事だとでもいうのだろうか。
ある日、石切丸は大典太光世と一緒の内番になった。
手合わせ以外は中々乗り気になり難い者が多い中、彼の刀は楽しそうに畑を耕している。
戦場での悪鬼羅刹の如き活躍からは想像もつかない穏やかな姿。それを微笑ましく思いながら石切丸も鍬を持ち畑を耕す事にした。
祈祷に興味津々な様子もまた微笑ましく、石切丸はまるで幼子でも見守るような穏やかな気持ちになった。
だがいくら微笑ましい一面があれど、やはり彼の本分は斬る事にあるのだと思い知ったのはその日の夜の事である。
石切丸と太郎太刀は定期的に本丸を回っている。
戦場に出れば出る程念を集め易い、それを定期的に祓っているのだ。
主や他の刀達は知らない。
二人はわざわざ知らせて怖がらせる必要はないと思っている為、ひっそりとそれを行っていた。
もっとも、三日月宗近はしっかりと把握しているようだが益になるからと放置されている。
石切丸はいつも通りの見回りをしていた。
その最中にふと感じた悪寒。強い負の感情に支配された怨念の気配。
石切丸は直ぐに走り出す。この念は少々厄介かもしれないと思いながら。
目的地は少し開けた場所で、中心地には人影が見えた。散歩に来た刀ならば早々に帰さなければ危険な為声を掛けようと口を開く。
しかしながら開いた口から音が出る事はなかった。人影の…大典太光世の気迫に押されたのだ。
何度か戦場を共にした事があるが、彼の刀が構える所を一度も見た事はなかった。
その彼が刀を構える。
肌を刺すような、などという表現は生温い。肌を切り刻まれ肉を細切れにされるような程に鋭く強い剣気。
石切丸は一歩も動けず、瞬きも呼吸をする事すら忘れ、死というものを目の前に叩きつけられている気分になった。今刀を砕かれても仕方ない、そう思える程に近い場所に濃厚な死の気配を感じている。
はらりと大典太光世の近くに落ちた葉が音もなく切り刻まれ風に散った。彼の前にはどす黒いモヤ。感じた通り強い怨念がそこに存在している。
全てが終わったのはほんの一瞬。
大典太光世が神速の突きを繰り出した瞬間、怨念はその全てを浄化された。最初から怨念など存在していなかったかのように。
大典太光世が構えを解いた事で場の圧力が消える。
ようやく空気を肺に取り込む事を許された石切丸は咳き込んでしまわないよう必死になる。今、音を立ててはいけないような気がしたからだ。
ゆっくりと呼吸を整え正常になってから、意を決して石切丸は大典太光世に声をかける事にした。かけた言葉が平々凡々過ぎた事は少々恥ずかしかったが…。声に返されたのは視線一つ。今の出来事など感じさせぬ、静かに凪いだ視線だった。
あまりにも静かな瞳だったのでつい石切丸は今の事を聞こうとした。が、言葉を紡ぎきる前に大典太光世の仕草に言葉を封じられる。
言葉を飲み込むのと同時に大典太光世は去ってしまい、石切丸は彼とは反対に暫くの間、場を動く事が出来なかった。
そんな出来事があった日から、石切丸は度々似たような場面に出くわすようになる。
見つかってしまってから、大典太光世は己が念を祓っている事を自分に隠すのを止めたらしいと悟る。
祓いの場にて互いが顔を長く合わせる事はない。しかしながら戦場を共にする以上の奇妙な関係を築きつつある。
同じ事をしている以上、太郎太刀もいずれ気づくだろう。
だが、もう少しだけこの奇妙な関係は自分と大典太光世だけが持っていたい。
そう、石切丸は考えた。